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2018年09月26日22:52

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野良犬


『野良犬』
『酔いどれ天使』あまりにも極論的にワルを切り取るな、と思っていたら、木村功に同情するミフネを志村僑がたしなめるところがあり、やはりそうなのかとなる。アムビギュイティが表されながらも、やはりワルはワルだと言い切ってしまうところはクロサワチックである。乙女チックも表されながらのマスキュリン、繊細にして剛力あやめなのである。金剛力士的に悪を憎み、民の繊細な部分を悪から守ろうとしている。その一方で、主人公の犯人に対する同情、そして志村喬が言う言葉など、野良犬を狂犬にさせてしまう世の中を糾弾する姿勢もこの作品には表される。『天国と地獄』における山崎努に対するシンパシーは、そうした同じものが表されている。黒澤明のアプレゲールに向ける眼差しは、この作品から強く志向され表されていくのか。

戦後の出来事、様々に表され、なるほどなと、なる。まだ配給制度というものが戦後にはあったのか。GHQの時代である。もはや戦後ではないと言われた時代の前は、復員兵がゴロゴロ街を歩いていたのか。アプレゲールという言葉が流行るぐらいに、ジェネレーションの違いも生まれてきているのか。それは新しいものを生み出そうという気概、その時代にあったことうかがわせる。後の時代から窺い知るではなく、その当時の同時代性があるから強烈に描かれているということ、熱きものとして表される。真夏の激昂、登場人物たち彼らが生きる出来事的空間から熱く響いてくる。





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