スピルバーグとイーストウッドにおいて、２つの世界が重なる。そこには希求が表わされる。かつての古き佳きアメリカが現代に再生されるかのような場所、そして壁が壊されること。理想ではなく希求である。そう考えれば、ただの人道的なメッセージ、ただのヒューマニズムになってしまう。そうではないヒューマニティであり、そこには個の内なる葛藤があるのであり、それが彼らの魅力を引き出す。
『宇宙戦争』、『ミスティック・リバー』、『リンカーン』、『Jエドガー』再見したし。アメリカ政治史上もっともレジェンドであるリンカーンの、個の内の葛藤とは何だったのか。『宇宙戦争』におけるティムロビンスを考えるとき、あれは家族（的）社会のなかで恨み等のネガティヴなエモーションを取り除くことが表わされていたのではなかろうか。アメリカ政治史上もっともノトリアスなJエドガー（フーヴァー）の、個の内の葛藤とは何だったのか。『ミスティック・リバー』におけるティムロビンスを考えるとき、あれは執着するまでの「悪」の排除が表わされていたのではないかと考える。
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