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2008年09月13日11:21

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グーグーだって猫である

9月10日、池袋HUMAXにて鑑賞。
http://www.gou-gou.jp/top.html

予想通り、小泉今日子さんがとても良かった。
私にとって、原作者の大島弓子さんはずっと読み続けてきた
大切で特別な作家だから、やたらなひとに演じられては困る。
素敵に年を重ね、聡明で物語への理解が深く、大島ファンでもある
彼女なら大丈夫、と信頼していた。
この作品での彼女はとても小声で、静かな佇まい。
末期の眼かと思えるほど。
苦しみも悲しみも、ひそやかな喜びも、きちんと受け止めて
自分で引き受けることに感動した。

大島さんの作品は、言葉のひとつひとつが詩のようで、とても深い。
画面のなかでなじみの作品が大写しになるたびに、
あらためてその言葉に打たれる。
「バナナブレッドのプディング」も「四月物語」も、
皆リアルタイムで読んできた。
本当にすごいものを手にしていたんだなあ、と改めて思う。

犬童監督も大島さんファン。
その作品世界への理解と敬意は伝わってくるけれど、
やっぱり原作にはない、脚本オリジナルの部分のところどころは
ちょっと違和感を感じてしまう。
不思議な青年・青二役の加瀬亮くんの無機質な雰囲気は
作品世界に通じる感じだから良いとして、
上野樹里ちゃん演じるアシスタントのナオミをとりまく、
恋人のマモルだの、恋敵の女子高生たちだのは、ちょっとうるさくて、
うだうだしたことに無理につき合わされてるような気分。

監督の、今までの大島作品の映画化である
「赤すいか黄すいか」や「金髪の草原」も見ているけれど、
やっぱり「金髪〜」でも、原作にない、主人公なりすの男性関係に
拒絶反応が出てしまったのだ。そんな生々しいもの見たくない。
ファンとして心が狭すぎるのかもしれないけど、どうしても受け付けない。

でも、もちろんオリジナルの素敵なところも多々。
いかにも大島作品に出てくるような着物姿の「お母さん」を
演じる松原智恵子さんは、絵そのままのイメージで
おっちょこちょいで可憐な母だったし、
井の頭公園の動物園につとめる、麻子さんのストーカー的な
小林役の、山本浩司さんは面白かった。
(それにしてもいつもクセのある役が多いな)
なかでも吉祥寺の街の案内のようなナレーションをつとめる
マーティ・フリードマンは良かった!
このひとも、いかにも大島漫画に出てきそうな感じ。
死神として、麻子さんを導いてゆく夜の場面は、もっとも印象的。

あれは精神世界のなか。
公園のなかの店で待っている、人間の姿をしたサバ。
ひと目見て「サバ!」と抱きつく麻子さん。
少女のような、でもずっと大人のようなサバを演じた大後寿々花さん、
若いのに落ち着いていて、素敵だった。
あ、ネコだ、という感じが確かにする。
麻子さんとサバがちゃんと会話している画面に、ただただ涙がこぼれた。
犬童監督作品中で大好きな「メゾン・ド・ヒミコ」の幽玄に
通じるようなイメージ。

監督は、脚本を書いた当時、サバを岸田今日子さんでイメージしていたとのこと。
ああ、確かに!ちょっと年齢が分からないような、人間じゃない魔もののような
岸田さんは、年経たサバにぴったりだったかもしれない。
現実の実写のサバのほうは、原作のような大きい洋ネコじゃなく、
小ぶりな和ネコになっていたのが、いささか残念。
サバとは作品でもずいぶん長いお付き合いだったから、
思い入れもひとしおなのです。
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