＜旧門司三井倶楽部＞
門司港めぐりセットチケットの見学館のひとつ。
http://maskweb.jp/b_mojimitsui_1_1.html
大正10年（1921）築の木造二階建て。ハーフテンバー様式で、重厚なつくり。
黒っぽい外観からは、駒込の旧古河庭園の館を思い出した。
三井倶楽部といえば、東京三田の綱町の豪奢な館も有名。
http://www.tsunamachimitsuiclub.co.jp/
さすが大財閥。あちこちに立派な建物が残っているんだな。
一時旧国鉄の所有となっていた頃は、「門鉄会館」と呼ばれていたとのこと。
もともとはだいぶ離れた山寄りの谷町に建てられたものを、
平成2〜3年にかけて解体・移築したのだとか。
旧大阪商船や、駅舎とまとめてこの一角で見られるのは
ありがたいと言えばありがたいけれど、そうやって整備されたものは
やっぱりどこか標本めくようで、いまひとつのめり込めない。
ちなみに、向かい側に建つ旧JR九州本社ビルは昭和12年（1937）築の
「旧三井物産門司支店」だった建物で、設計士はこちらの建物の設計士と
ご兄弟だと言う。こちらは一見シンプルだが、細部が大変私好み。
http://maskweb.jp/b_mojimitsuioffice_1_1.html
一階には落ち着いた雰囲気のレストラン。
二階には大正11年にアインシュタイン博士が宿泊した時の部屋が、
メモリアルホールとして展示されている。とても立派で洒落た部屋。
かと思えば、一方には作家・林芙美子の資料も展示されている。
昔の門司港の写真が興味深い。芙美子の生まれは下関だと思っていたのだが、
門司生まれとも下関とも言われているとか。
この地に立って見ると、確かに目と鼻の先だから
ほとんど変りはないようなものかもしれない。
尾道でも新宿落合でも、それぞれの記念館があるし、
なんだか『放浪記』の作者らしい。
＜旧大阪商船＞
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=38981
入り口の向きは逆だけれど、三井倶楽部と隣接している。
かつて「港の美貌」と謳われたというのも納得の素敵な建物。
八角形の望楼が絵になる。
かつては大陸航路の待合所として賑わったところだそう。
二階は、わたせせいぞうさんの作品ギャラリーとなっていた。
http://www.retro-mojiko.jp/siru/topics/topics003.html
http://www.retro-mojiko.jp/news079.html
わたせさんの作品は好き。『ハートカクテル』の頃は、日本離れしている
洒落た台詞がちょっと気恥ずかしかったのだけれど、鎌倉を舞台にした
和の物語・『菜（さい）』から大ファンになった。
とても色が綺麗で、建物や乗り物、植物までふくめた絵の構図が素晴らしい。
この港町の雰囲気とても合っている。
氏が神戸生まれだということは、なんとなく覚えていたのだけれど、
よくよく略歴を読むと、生後まもなくから高校までは小倉育ちとのことで、
ここはまさに地元！こんな素敵なところが作品ギャラリーになって
本当に良かったと思う。思いがけず出会えて幸せだったが、
それでなくても予定時間オーバーしているのに、歩みがまたまた滞ってしまった。
＜港の風景＞
もう3時だ。チケット最後のレトロ展望台に急ぐべきなのだが、
その道筋もまた、私が惹きつけられるようなものだらけ。
出てすぐのちいさな「春風海運」（←名前もロゴも素敵♪）だの、
スコットランド系の会社・ホームリンガー商店の瀟洒な白と淡い茶の建物だの、
また写真を撮りまくる。なにげなく停まっている赤いスクーターさえも可愛い。
関門橋を後ろにした倉庫群。壁に「扶桑倉庫」の文字。埠頭に寄せる波の碧。
さび付いたような鉄骨も、全部良い。どうしよう、ちっとも前に進まない。
レトロ展望台のある側は、この埠頭の向かい側なので、
ぐるっと回り込んでいかねばならないなあ、と近づいて行ったら、
跳ね上がっていた橋が今しも、きりきりと下に動き始めていた。
全然知らずにいったのだけれど、この「ブルーウィング門司」という橋は、
日に数回渡れるように稼動する橋で、ちょうどその時間だったらしい。
http://www.coara.or.jp/~tagi/fukuoka/kitakyu/kitakyu7.htm
動く橋というのは、見ていてドラマティック。
お江戸の勝鬨橋をまた動かす話も、実現すると良いのにな。
＜レトロ展望台＞
ようやくたどり着いて走り込む。
ここはつい先頃逝去なさった黒川紀章氏の設計だとか。
港の端に大胆に細長く突っ立っていて、かなり目立つ。
下はマンションで、最上階の31階だけを市が買い取り、
展望台にしたとのこと。
http://www.retro-mojiko.jp/asobu/kankou_kankou.html#tenbou
見た目は前衛そのもので、「レトロ展望台」という名は何なのかと思ったら、
レトロ建築物を眺められるから、という対象物主体の名らしい。
せっかくだからひと眺めだけしてみよう、とエレベーターで31階へ。
あっという間に地上103mに到着。
扉が開いてびっくり！そこに立っていたのは顔見知りのTさん。
最初に出会ったのは、去年思い切って参加したファンクラブ主催の
耕史くんの函館ライヴツアー。その後も、特に連絡しあうでもなく、
大阪ライヴなどのイベントごとに良く出会っていて、つい先日も
東京グローブ座での公演会場で顔を会わせたばかり。
ああ、小倉トークライヴにもいらしてたんだ！
というか、小倉会場でなら分かるが、足を伸ばした門司のほうで会うなんて、
本当にご縁がある。
ここにはお茶やお菓子などの喫茶コーナーもあり、
彼女はお友達とスイーツを楽しんでいたが、
私は何しろmonoさんをお待たせしているので、それはパス。
せっかくなので記念写真を、ということで、
ガラス越しに見える関門橋をバックに、ツーショット。
机のうえの一輪挿しなども可愛くて撮影し、
周りの景色は本当にざっと見て駅に急ぐ。
＜やっと小倉へ＞
ばたばたしているうちに、monnoさんから連絡メールが入っていた。
お待たせしたお侘びと、4時までに提出しなければならなかった
トークイベント用のアンケート内容の代筆をお願いして、
15時51分発に乗り、16時過ぎに小倉に戻る。
（続く・ようやく次回は小倉です）
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