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2006年11月08日23:17

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虹の女神

http://rainbowsong.jp/00_top.html
ひさびさの岩井俊二的ワールドにひたった。
監督は別人だけれど、脚本・プロデュースともに彼の手に成るこの作品は、
やはり岩井俊二の味わいが濃い。
ひかりのなかに浮き上がる風景。
すっすっと自然に寄ってゆくカメラのライヴ感。
なにもかもいつのまにか自分の目の前で起きているような親密さ。
なにげない表情のいとおしさ。過ぎ去った日々のきらめき。
大好きな「Love Letter」を思い出す。

彼はいつも他の子を見ていて、自分の気持ちに気付きもしない。
気の置けない友達として頼られて、ついつい面倒を見てしまう。
思いを深く内に秘め、それでも自分を女と認めてくれない
彼の鈍感な一言にキレてしまう。
上野樹里演ずるあおい、とても良かった。
彼女の普通っぽい猫背の風情が良かった。
市原隼人は映画デビューの「リリィ・シュシュのすべて」での
壮絶ないじめられっ子のイメージがあまりにも強烈で、
その後も私の中では「可哀想な子」だったのだが、
ちょっと頼りない等身大の若者を演じてとても好感が持てた。
そして蒼井優ちゃん!彼女の神々しさはなんといったらいいのだろう。
盲目のカンのよさ。聖なる妹。何か巫女のようだ。
相田翔子演ずる千鶴は…コワイです。

焼け焦げた携帯電話に胸を突かれた。
でも彼女が最期に聞いたのが彼の声、
最期に見たのが彼の送ってくれた虹の写真なのだとしたら、
救われるような気がする。
関係ないけれど、ここまで携帯が一般的に普及していると、
常に傍にあるものなのですね、死の現場にさえも。
お棺の中に本人の携帯を入れるという話も聞いたことがある。
パスワードでロックされているのなら、
その中に降り積もった通信は、誰の目にも触れず消え行く運命。

今の私は喪服、お焼香、位牌などに過剰反応してしまい、
涙腺がすぐ刺激される。
でもこぼれた涙はそればかりじゃない。
映像をつくる、見るという行為があまりにもなつかしいから。
青臭いような学生映画。恥ずかしくもいとおしい、そんな昔の記憶。
高校の頃の国語の先生は大の映画ファンで、
夏休みには私たちを使って8ミリ映画を撮影していた。
上京してすぐに友達のアニメサークルに通って、
自分でも作品を作った(撮影は他の人に頼んでしまったけど)。
オールナイトで見続けた大林監督の自主作品群だとか。
何十年ぶりに聞く「フジカZC1000」という名称だとか。
世界が終わってしまう前に、恋人に会うために歩き続き続ける
新井素子の「ひとめあなたに…」だとか。
追憶といろんな感傷がごちゃまぜになってこぼれ続ける涙。
泣けるのは悪いことじゃない。この涙は甘やかだ。

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