『うなぎ』
好感がもてる純愛物語系ハナシであり、終盤の警察署から出てきた役所広司と清水美沙が並んで歩くところ好い。けれど、やはりイマヘイらしいドロ〜ンとしたとこが満載である。オトコは、イマヘイがいつも表すように、ネットリしていても無駄口を語らず只々ハナシを聞く優しさ表す。黙々としている彼はオンナと妻とを二重写しにする。赤い殺意は情念にある。嫉妬を現さない彼は情念に苛まれる。そうしたところは、復讐するはの狡猾でクチの上手い榎津巌と正反対のようでありながらも、内面は同じでありイマヘイ的。オンナはイマヘイ描いてきたかつての縄文土偶的な母性女性ではなく、ジブリに描かれるような清廉潔白敬語使用女性、一見淡水魚に合うタンパク系だけれど実はイマヘイがいつも表すような、内面情熱のカタマリ系- 最終盤のカルメンにその顕れ表される -であり、うなぎの強い嗅覚にその情熱は掴み取られる。
オブセッションのようにつきまとう柄本明の存在がやはりキーなのかな。彼がイマヘイ的な地の底から湧き出るようなものを湧き出させる。でもやはり、90年代らしさが出ているナウさがあるうなぎである。
純愛物語系ハナシ、オレはこんなのも撮れるんだぞ、とギャクに言ってるのかのような作品でもある。
久しぶり観たけど、やはりオモシロかった♬
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