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2018年06月30日23:45

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ナラタージュ



『ナラタージュ』
ナラタージュとはアマチュアに朴訥な語りを表すのか。しかしそのぎこちなさもやがて、素朴なものから、女性性にもつ神経過敏な不安へと、あのゴロゴロに慄く様に表され生え変わり、行定特有のニョロニョロとした根の生え分かれるアングストが作品をおおっていく。

結構オモかった。行定勲はナルセ・フェチなのだろうか。『贅沢な骨』をはじめ、彼のテクストにはやるせないものが漂っては顕れる。単純にあからさまあらわしながらも掴みどころのないものを松潤は表していた(註1)。受け入れる優しさが表されるもの、良く言えば優柔不断、悪く言えば優柔不断なものをカスミン、表していた。どちらの主人公も共感から離れていき、唯一親しみを持てていた坂口健太郎からも、20代初めの男性とはジェラシーとプライドが混じり合うからああいったものであろうとはいえ、やはり同一化されるものがなくなり、登場人物誰にしも着いて行けなくなる。そうしたところも、私的にはナルセないを感じさせるものがある。

思い遣りから修羅へと変わる様、人は誰しもあろう。そうした考えで見るなら、松潤と坂口に表されるもの、違ったものでも、そうした共通するものがある。青春の1ページ的なもの表されるのだろうけれど、なんだかカスミンが可哀想にも思えてくる作品である。

註1  それが表現できていたかどうかはイマイチわからないが、行定がそうこの人物に表そうという意図は文脈から感じられる。しかし、松潤の美形顔のこの人物から感じられるものは、最初は信頼感を漂わせ、次にこのヒト放っておけない感を誘う色ごと詐欺師ごときものである。



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