谷中からアメ横あたり（『あまちゃん』ロケ関連地めぐり）

NHK朝ドラ『あまちゃん』も東京篇編となり、
なじみのある谷中やアメ横周辺が舞台となったのを機に、
またあのあたりを眺めてみたくなったので、
自転車でさあっと回ってみた。[6月30日（日曜日）午後]

＜大名時計博物館＞
・東京都台東区谷中2−1−27
http://burari2161.fc2web.com/daimyoudokei.htm

アキの東京の住まいとなったGMTの谷中寮の外観は、
この建物の塀と、塀越しに見える黒い木造の二階建て。
小さな潜り戸も見える。
建物の窓外にはスダレもかかっていて、ちゃんと使われているようだ。
いまやロケ地としてすっかり有名になったらしく、
何人もの人が「あ、ここだ」と写真を撮ったりしていた。

撮影に使われたのはこの外側だけだけれど、
せっかくなので博物館にも入ってみる。
なにしろここは7月の頭から9月の末までの三ヶ月間、
まるまる休館してしまう。開館時期でも夕方は4時で閉まる。
今まで何度かそばを通りながらも、入り損ねていた。
訪れたのは6月30日なので、まさに三ヵ月休みの直前。

大名時計博物館の入口は、塀の奥手の黒い木の門のほう。
門の前に「勝山藩下屋敷跡」の碑が立ち、
門から博物館入口への道からも、鬱蒼と茂る緑が濃い。
石像や棕櫚の木なども見えて、年代を感じさせる。

ここは陶芸家の故・上口愚朗氏が生涯にわたり収集した
貴重な和時計のコレクションを展示するために作られたものとか。
見たところ、展示室は蔵のような感じで、一室だけ。
ガラスケースの中に凝ったつくりの櫓時計がたくさん。
台時計、尺時計、枕時計、印籠時計、御籠時計、置時計など、
技術のかぎりを尽くした工芸品のようで眺め入った。
お香の燃え方で時をはかる香盤時計などを見ると、
落語の「たちきれ線香」を思い出してしまう。

＜SCAI THE BATHHOUSE＞
・東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
http://www.scaithebathhouse.com/ja/gallery/
谷中交番や愛玉子（オーギョーチー）の道向かいに側面が見える、
もと銭湯の形をそのまま生かしたギャラリー。

『あまちゃん』ロケには直接関係ない場所だが、
ここの側面の壁にはNHKの主要ドラマ（朝ドラや大河ドラマ）の
現在放映中作品のポスターが貼られているのが常なので、
確認してみたら、やはり『あまちゃん』ポスター二種類が貼られていた。
（海女の絣袢纏、鉢巻姿で主要キャスト全員で並んでいるものと、
アキ単独で海でウニを手にしている笑顔のもの）
偶然とはいえ、ヒロインが谷中に住んでいる設定だから、
なんだか本当にご近所の臨場感があってわくわくする。

しかしここは直射日光がまともに当たるので、色の覚めるのが早い。
2004年には『新選組！』のポスター二種類が貼られていたが、
浅葱のダンダラ羽織は、可哀想なほど褪せていたものだ。
見たところ『あまちゃん』ポスターの青はとても綺麗だった。
もしかしたらそのまま放置せず、貼り直しているのかも。

＜アメ横センタービル＞
・東京都台東区上野4丁目7番8号
http://www.ameyoko-center-bldg.com/

いつ行っても大賑わいのアメ横（アメヤ横町）は、
JR山手線上野駅〜御徒町駅の線路に沿った商店街。
魚介類、お菓子、雑貨など、何でも安くて品揃えも豊富。
アメ横センタービルが立つのは、アメ横と「上中（うえちゅん）」
http://www.ueno-nakadoori.or.jp/map/index.html
（上野中通り商店街）との分岐点。

ドラマの中ではアメ女の専用劇場「東京EDOシアター」となっている。
やはりここでも携帯やデジカメで撮影している人多数。
ドラマの影響ってすごいなあと改めて思う。

＜ドラマとは関係ない郷愁＞
私は上京してすぐ御徒町を最寄駅として通勤していたから、
このあたりは古いなじみの場所でなつかしい。
夕暮れ時のアメ横を歩く。太刀魚1パック三百円か。安いなあ。

北ではなく西のほうだけれど、
私の郷里も海沿いで海産物が名産だから、
意識せずに小さいころから魚となじんでいた。
あの頃普通に食べていたものが、
東京ではかえって贅沢なんだと来てから知った。
ウニの瓶詰は、こちらで買った時びっくりして、
「これはウニじゃない…」と思ったのを覚えている。
郷里では近くの漁師さんが自家用に詰めていたものを、
分けてもらって食べていたのだ。

やっぱり私の味覚を作ったのは、小さい頃の魚なのだと、
アメ横にあふれる魚の匂いを嗅ぎながら、
なんだか郷愁にひたってしまった。