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2010年12月21日22:53

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『GODSPELL』細部の奥深さ

・ここはどこ?
冒頭と、再びそこに立ち返ったようなラストの場所。
ゴオォ〜…と響いてくるのは、戦闘機の音?
教会の窓の破壊のあとは、爆撃を受けたことを意味しているのだろうか。
この作品が生まれた頃、ベトナム戦争のさなかだったことを連想する。
今も世界のどこかで、攻撃におびえているひとたち。
いつ何が起きてもおかしくないこのあやうい世界のことを。

・ソクラテスの弁明
「私はあなたを愛しています」から始まる明星さんの台詞はソクラテスのもの。
彼は「アテナイの国家が信じる神々とは異なる神々を信じ、若者を堕落させた」
などの罪状で公開裁判にかけられ、
アテナイの500人の市民により、その罪は死刑に値すると断じられた。
「私の教えで若者が堕落したというのなら、私を悪意あるものと呼ぶがいい」と語り、
「♪たとえそれでも歩む道はひとつ 命尽きようとも 聞こえるかアテネの民よ」
と歌うのは、まさにこの史実に基づく。
このことを知らないと「聞こえるかアテネの民よ」は聞き取れないかもしれない。

ソクラテスは自身の弁明を行い、
自説を曲げたり自分の行為を反省したりすることを決してせず、
結果的に死刑を言い渡されるのだが、
同情者もあり、その気にさえなれば脱獄の可能性も十分あったのに、
票決に反して亡命するという不正をおこなうよりも、
死を恐れずに殉ずる道を選んだという。
なんとなくジーザスに通じるものを感じてしまう。

・使徒たちの個性
総勢12名の出演者のうち、ジーザスとユダをのぞいた他10名が弟子にあたる人々。
寸劇の時にはまたそれぞれ役割を演じたり、パリサイ人になったりもするが、
基本的にはジーザスをかこんでわいわいしている素朴な民衆。
それぞれにちょっと見栄っ張りだったり(転球さん)、
内気で引っ込み思案だったり(みやさん)、
善良なる天然さんだったり(長谷川さん)、
おっちょこちょいのお調子者だったり(アフロさん)というように、
各々キャラクターがくっきりしているので、観てて楽しい。

・洗礼の順番
耕平→桜井→アフロ→夏希→天辺→真美→明星→長谷川→みや→転球。
若くて素直で勢いのある耕平くんの一番乗りや、
夏希ちゃんと天辺さんが鉢合わせし、天辺さんが彼女に譲るところや、
皆の後ろで様子をうかがっていた内気なみやちゃんが、ようやく進み出るところなど、
それぞれの性格がよく分かる。
最後に洗礼を授けられた転球さんは、くるくるっとまわって、
♪everybody now(エッブリボディ ナウ)!の合いの手を入れる。
動きの細部まで、よく考えられているんだなあと感心。

・可愛いオーガスティン
ジーザスは律法のことを語ったあとすぐ、
♪ウンパッパ、ウンパッパ、ウンパッパと手拍子をして、
皆で♪ラ〜ララララ〜ラッラッ、ラ〜ラッラッ、ラ〜ラッラッ、と歌いながら、
滑車付きの台を押して中央に移動させ、
「やもめ女と裁判官」の寸劇が始まるのだけれど、
この聴き覚えのあるメロディーはドイツ民謡の『可愛いオーガスティン』。
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/ohkawaiiaugustin.html
http://www.geocities.jp/ezokashi/d_augustin.html
調べてみると、元々はペストが流行った頃の悲惨を歌った歌。
誰も彼も死に絶え、何もかもなくしてしまったという絶望。
メロディーこそなじんでいるものの、そんな歌だとは知らなかった!

(追記予定)
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