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2006年05月25日01:09

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函館旅行記2(5月20日午後〜夜)

<さびれた商店街>
市電の駅から土方歳三最期の地碑までの道の途中は、
私にとって危険な誘惑地だった。
さびれた商店や倉庫、空き地が連なっている。
褪せたペンキの色合い、植物がからまって朽ちてゆくような廃屋、
そんな風景を見ると絶対通り過ぎることが出来ない。
右から左からなめるように撮ってしまう。出会いはいつも一期一会だから。
普通の観光客ならこんな地味なところで立ち止まらないだろうなあ。
行きはそれでも急いでいたが、帰りにふたたびひっかかり、
古びたウナギ屋さんだの木造家屋にかこまれた駐車場だの夢中で撮影。
五稜郭は目前だというのに、何をやってるんだか。

<五稜郭公園(五稜郭祭メイン会場)>
最寄りの市電駅から五稜郭へは結構歩く。ガイドブックによれば約15分。
広い行啓通りから斜めに入った道を行くと五稜郭タワーが見えてきた。
道向かいに立つ土方のブロンズ像は
「歳三、北の大地を駆ける」の冒頭で見たものだ。
でも手前のアイスクリーム売り場のにぎわいに埋もれてしまってる。

足を踏み入れた外堀の広場には開陽丸ともう一艘の山車。
黒い船体とたくさんの白い帆が晴れやか。
これが明日のパレードに出るんだな。
吹き抜ける風に「五稜郭祭」の幟がはためいて、風景はひろびろと静か。
まず一の橋を渡り、次に事実上の入城場所となる二の橋を渡ると
立派な藤棚をくぐる。
木造の橋の減り加減が江戸時代のようで好もしい。
地図を見ると三の橋は二の橋側とはほぼ反対側の裏手にかかっている。

城壁の石垣を折れると正面の松林を背景に
「五稜郭祭」の文字が大書された舞台。
観客席となる青いビニールシートはもうだいぶ埋まっていたけれど、
それでもぎゅうぎゅうというほどではなく、
のんびりした田舎の運動会という風情。
オープニングセレモニーの鏡割りの直後、観客にもふるまい酒。
希望者は前に出て紙カップについでもらい、
さきいかや鮭のとばなどのつまみを取る。これまたのどかな感じ。
お天気なればこそだが陽射しをさえぎるものとてなく、
いささか暑すぎる。

<土方歳三コンテスト>
エントリーは16名。芝居としては市村鉄之助に自らの写真を託し、
これを日野に届けてくれ、と送り出したあと
撃たれて倒れるというのが基本設定。
でも台詞や演出は各々のアレンジでかなり異なっている。
「これを持って日野へ行ってくれ」と皆が言う中で、
日野と言わず多摩と言われた方がいたのは新鮮だった。

付き合う鉄之助のほうはずっと同じ女性。
衣装は黒の詰襟、白の襷がけ、白鉢巻。髪はポニーテール。
それにしても16回も呼びつけられては駆けつけ、
また舞台を走り降りるのは大変だったことでしょう。

土方役の衣装は見たところ3系統。
・京都時代の新選組のだんだら羽織に袴、下駄スタイル
(多分一番安上がり)
・写真の洋装を忠実に摸した黒の洋服、白マフラー
・黒の詰襟の上にちょっと派手な陣羽織
(あまり土方らしく見えない気が…)
観客のほうは正直なもので、羽織姿が二人続いたあと、
初めて洋装姿の人が登場すると「おお〜」と湧いていた。

多分この三番目が東京都杉並区からの参加で優勝した方だったと思う。
衣装の厚みを見るだけでも強いこだわりが感じられ、
土方写真と同じポーズで撮った写真を大きく引き伸ばしたものを
見せたのも、アピール度抜群。

面白かったのは奥様とご主人、娘と父親というように、
家族で参加している例が2つもあったこと。
こういう場合は娘、父、というように連続して登場していた。
両方とも土方ファンで、それぞれ自分なりに工夫して臨んだらしい。
おうちではお互いが鉄と土方を交互に変わりながら
練習してらしたんだろうか。想像すると微笑ましい。

司会の女性はきびきびとテンポよく進行されていて好感が持てた。
舞台向かって下手寄りが審査員席。
演技後のコメントは順番に振られていたが、
耕史くんはいささか疲れ気味のように感じられた。
審査員席も日陰がなく暑そう。

そのあとはちびっ子コンテスト。いろんな幼稚園・保育園からエントリー。
5人くらいの新選組隊士が登場してしゃぐまをかぶった官軍と渡り合い、
「かんぐんがつよすぎてこのままではまけてしまう。
ひじかたさんをよぼう!」と
皆で「ひじかたとしぞう〜」呼ぶとちびっ子土方が颯爽と登場して
官軍を打ち払っちゃうわけです。おお、正義のヒーロー!
可愛いけれど9組連続で見るのはちょっと疲れた。

審査の間は司会女性と引率の幼稚園の先生方のお話。
コンテスト入賞者が決まり、表彰式の頃には日もやや傾き、
松葉に吹き寄せる風も涼しくなってきた。
辺りに松が多いのは日本らしくていいなあ。
ここは赤松の林だ。マツタケはないだろうけど。

<函館博物館五稜郭分館>
ようやく今日の式典が終わってほっとしたらもう16:00近く。
公園の一角にある博物館へ。昭和29年築という建物。
館の手前には箱館奉行所の屋根の一部と大砲が展示されている。
入り口左手の枝垂れ桜は満開で散り始めの頃。
開館は16:30までだったのでもうあまり余裕がなく、急いで入る。
小さいながら一階、二階と五稜郭の構造や箱館戦争についての資料が
いろいろ揃っていて、興味深く眺めていると再びNさんKさんに遭遇。
伊庭八郎の迷子札やら刀の鍔などまである。
鍔には萩らしき花まで描かれていて粋。
新選組隊士の中島登(のぼり)の描いた有名な「戦友姿絵」。
斎藤一は敵の首を二つも持っている。切り口の血の色が妙に生々しい。
首はひとつでも相当な重さだというからこれは大力の誇張なのかと思う。
井上源三郎の首が重くてついに持ち帰れなかった少年の逸話や
杉浦日向子さんの「合葬」で少年達が二人で髻を分け合って
一つの首を運んでいたのを思い出す。

<ラッキーピエロ 五稜郭公園前店>
NKコンビと共に休憩。ほんとは来る時に寄って食べたかったのだが
大変な行列であきらめたのだ。
勇んで「土方歳三ホタテバーガー」を頼んだら売り切れ。
懸念はしていたけど無念…
明日は電話予約を入れてから来ようと心に誓う。
致し方なく二番人気という「くじら味噌カツバーガー」を食べる。
昔の給食にあった鯨の竜田揚げを思い出してなつかしく、美味しかった。
店内にはバーガーをほおばる香取局長の写真もあったが
副長はどこなのか確認できず。

<中島三郎助最後の地碑>
日没までに行って写真を撮っておきたいというKさん。
すでに黄昏は迫っている。
地図を見るとわざわざ最寄り駅まで市電でゆくより
ここからまっすぐ歩いた方がよさそうなので、
見当をつけて高砂通りをまっすぐゆく。
とはいえこのあたりは五差路が多くて少々方角が分かりにくい。
税務署近くの中央分離帯のような場所にその碑はあった。
戦争終結の15日の翌日に父子ともどもの討ち死にをしたひと。
献花のほか、近くに「浦賀奉行所」の幟もはためいている。
風が強まる中、再びKさんに分けていただいたお線香と折鶴をそなえ、
三人で合掌。
このあたりはこの人の名前をとって中島町。

<五稜郭タワー展望台>
二人とお別れしたあと今来た道をとってかえして五稜郭タワーへ。
すでに6時を回り、沈む夕日と追いかけっこ。展望台は夜7時まで。
この4月に新しく立て直されたというタワーは90メートル以上もあり、、
今までのものより30メートルも高いのだとか。
旧タワーはすぐ脇で解体を待っているようだ。

夕日の最後のひかりを浴びて、五稜郭の星型のかたちが
眼下に綺麗に浮かび上がり、
ついいましがたまで行われていた式典の会場が中央に見える。
元は箱館奉行所があったというその場所に、
2010年には建物が復元されると聞いた。
そうなるとコンテストなどの特設会場はここには設置できなくなる。

椅子に腰掛ける土方のブロンズ像の後ろに夕日が落ちてゆく。切ない。
歴史回廊と名づけられた小さなジオラマのような展示もよく出来ていた。
ことに心惹かれたのは沈む開陽丸を前に
松に片手をかけじっと俯く土方の姿。
史実ではないと言われる「嘆きの松」の場面だけれど、
10センチにも満たない人形なのに
その表情の素晴らしさに前から横から斜めから
ためつすがめつ眺めてしまった。

<函館山>
タワー向かいのラーメン屋「あじさい」で塩ラーメンを軽く食べてから
夜景を見に函館山へ。駅まで市電で帰って山行きの市営バスに乗る。
観光コースなのでバスガイドさんの解説付き。山頂までは30分ほど。
ライトアップされて華やかなベイエリアの洋館のそばも通るので、
バス内の照明は抑えられている。
昨日は雨もあり視界があまりきかなかったというが、
今夜はこの季節には珍しいほどくっきりと遠くまで見えるとのこと。

山を登り始めると、街を見下ろせるポイントごとに車内から歓声があがる。
まさに宝石箱のようなきらめき。現実のものとも思えない。
上から眺めるときゅっとくびれたような函館の街のかたちがよく分かる。
三方を海に囲まれているのだ。津軽海峡越しに青森の方まで見通せる。
バスガイドさんが、千人を超える死者を出した
昭和29年の洞爺丸の事故のことを話してくれた。
函館港を出てすぐに沈没したのだという。
帰ったら「飢餓海峡」を読み返してみようと思った。
山頂はさすがに空気が冷えていたが耐えられないほどではない。
40分ほど自然と人工の美の競演を眺めて帰りのバスで下山。

荷物だけ預けていた駅近くのホテルにようやくチェックイン。
堺さんご出演のダヴィンチ・コード関連番組を
うつらうつら眺めてから就寝。

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