ワープステーションでのロケ予定は、別にファンに公開されるわけではないから、
見学したければ各自、自分で問い合わせるしかない。
人づてに8月8日〜10日までロケ予定と聞いたあと、再度詳細を確認したところ、
「8日、9日は一日中予定が入っていますが、
9日は山側なので殆ど見られないと思います。
8日は見られるでしょう。10日は外ロケと夜ロケです」と言われた。
8日はお盆休み前の平日で休み辛い。かなりの葛藤があったが、
一番見られる可能性がある日を棒に振るのはなんとしても残念なので、
無理やり休みを取ってしまった。
だんだん社会生活を踏み外しつつあるような…
平日なので、みらい平駅からのコミュニティバス南ルート10：10発が利用できる。
ワープ着は10時20分過ぎ。入口をくぐると、ここからまっすぐに見える
町屋のはずれあたりに人だかりが。撮影はもう始まっている模様。
＜猛暑の中の殺陣場面＞
あわてて駆けつけると、武家屋敷の白壁が続く通りに磐音の姿！
しかも緊迫した雰囲気。
衣裳は先日一度目にしたのと同じ、黒の着物に黒羽織、黒袴で、
手には岡持ちを持っている。頭はポニーテール。
場所といい、衣裳といい、小道具といい、
これは7月20日に見た場面の続きのように思える。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=886878383&owner_id=949383
その時と違うのは、見学している私たちに背を向けた、
どう見ても敵役らしき三人組が、磐音に相対していること。
磐音も一人ではなく、後ろに武士二人が控えており、三対三の睨み合い。
視線は迫り来る敵たちに、ひた、と向けられている。
敵役側にいる私たち見学者は、お顔を正面に拝めてラッキー。
しかしこの雰囲気は、これから戦いとなる場面か？！
「岡持ちを使った殺陣」があるというのは、
7月16日に見学していたKさんから聞いていたけれど、
その時は殺陣師の竹田先生による、動きの確認だけだった由。
それの本番が見られるのか。駆けつけた見学者一同色めき立つ。
なにしろ目の前で殺陣らしい殺陣を見るのは初めて。
そういう場面は夜が殆どだし、過去にもこれから始まりそう、
という時にはすでに閉園時間で、泣く泣く外に出ていたのだ。
白昼目の当たりにする機会が訪れようとは！
敵役の中心人物は、スキンヘッドの大漢。手には長い棍棒のようなもの。
よく見ると丸ではなくて多角形の角棒。
それを振り回して磐音に向かってゆく。怪力の怪人という感じ。
誰だか最初は分からなかったけれど、スタッフから「武藤さん」と
呼びかけられていたので、あとで調べたところプロレスラーでタレント
でもある武藤敬司さんだった。
http://www.all-japan.co.jp/fighter/mutou.html
そういえば去年のシリーズでも小川直也さんだとか、
格闘家のひとが敵役としてゲスト出演していたな。
磐音は棒の動きを見定めて、手にした岡持ちでそれを防ぐ。
棒は重たそうだし、振り回すほうも防ぐほうも、
タイミングをはずすとかなり危険。
竹田先生も出てきてお手本を見せ、何回かテストが繰り返される。
岡持ちを盾のようにするところでは、蓋が落ちかけたり、
実際に落ちてしまったこともあったけれど、
これはわざと落す演出なのだろうか。
それにしても暑い！
この通りはわりと道幅もあり、両側を白壁に囲まれ、影ひとつない。
道には少し砂利があるものの、白っぽく乾いた土も光を照り返す。
ここしばらく茨城のこのあたりでは何のお湿りもないらしく、からから状態。
見ているだけのこちらも、否応なく汗が噴出す。
日傘をさしていても背中をたらたらと流れ落ちてゆく汗。
よりにもよって、この夏の最高気温が出ようかという暑さの中で、
袷の着物、羽織袴を着けての立ち回り。仕事とはいえ過酷！
しかしカメラが回っている限り、磐音の顔は暑さのけぶりも見せない。
カットがかかっても、袴姿ではいつもの着流しの時のように
瞬時に裾を持ち上げて涼むことも出来ないのがお気の毒。
スタッフは冷却剤を衿に差し込んだり、飲み物を持っていったり、
冷感スプレーをかけてあげたり、と忙しい。
いつも通り、付き人としてお兄様もすぐ側にいて何かと世話をやく。
ちょっとの間、長屋門の下の陰に引っ込んだ時は椅子に腰掛けて
がばっと腿の付け根あたりまで袴を捲り上げていたようだけれど、
この暑さでは無理もない。
でもこちらから見ると、座った状態の白いおみ足だけが垣間見えて扇情的。
足元は紺足袋に黒の鼻緒の草履である。
門の陰で一緒に談笑しているのは誰かな、と思ったら
先日も一緒の場面を撮影していた別府伝之丈役の林剛史さん。
もう一人は？と見つめていると、
開園時間から見ていたひとが「中居様よ」と教えてくれた。
おお、関前藩江戸屋敷の直目付・中居半蔵を演ずる鶴見慎吾さんを
ワープロケで見るのは初めてだ。
ちなみに中居さまの羽織は青。伝之丈はグレー。足元はむろん白足袋。
今回のシリーズは藩の物産所も本格的に動き出すところだし、
中居さまと伝之丈の登場回数も多いのかもしれない。
同じ場面だけれど、今度は磐音と悪漢だけを集中して撮るらしく、
中居さまと伝之丈はいったん控え室のほうに引っ込む。
お二人は見学している私たちの目の前を通っていったが、
その際、鶴見慎吾＠中居さまのほうから「こんにちは」と頭を下げられた。
予想もしていなかったのでびっくり。なんて腰が低いかただろう。
中居さま、好感度アップ！
伝之丈くんは、あとでくわえ煙草のままふらりと出てきて、
暑いのに日盛りに立ったまま、しばらく磐音の立ち回りの様子を眺めていた。
一対一の立会いとなって、再び繰り返される角棒と岡持ちの殺陣。
見学者の右手すぐ近くには、スタッフのためのテント（coleman製の緑色）
が設置されていて、モニターをのぞくひともいれば、
小道具をかかえた係りのひとたちも行き交う。
猛暑日だけに、小道具さんたちも帽子の下に手拭をかぶっていたりして、
暑さ避けには余念がない。
ゴルフのキャディーさんみたいな格好のひとも。
テントの中には予備の岡持ちや角棒も置かれている。角棒は六角形。
途中「練習用のでいいよ」と言われて運ばれた六角棒には緑色のテープが
貼られていて、それが目印らしい。
磐音の刀も練習用のものは緑のテープ貼りだった。
岡持ちは三つくらいあって、壊れた時用だろうかと眺めていると、
スタッフのかたがその蓋の端を、鋸で切り始めた。
木屑がこちらのほうにまで飛ぶほど、ぎこぎこ挽いている。
あ、これは六角棒で壊されたあとの状態にするためかな、と思ったが、
そうではなくて、蓋のかみ合わせを修正するためだったらしい。
裏側に薄く放射状の切り込みが入ったものもあった。
これは穴を綺麗に開けるためだろう。
武藤さんは六角棒を八の字型に振り回す。
かなり力がかかるだろう上に、この暑さでスキンヘッドの頭は
さきほどより赤く染まっている。
威嚇するような掛け声をあげながら突き出される棒を、
磐音は岡持ちで絡めとり、相手の顔をそれで打つ。
一瞬ひるむものの、再び突き出された棒によって、
盾となっていた岡持ちには穴が開いてしまう。
ここも「1、2、3、4」と掛け声をかけながら入念なテストが繰り返され、
本番ではパキーン、と見事に貫通。
「あ、ほんとに開いたね！」と監督さん側から声が飛ぶ。
壊れた岡持ちを捨て、いよいよ刀を抜く磐音。
おお！と見学者も固唾を呑む。
今度は刀で棒を受けて払うのだが、力任せの棒は横ざまに彼の腹をとらえ、
磐音は踏み切りの停止版にひっかかったような状態で、
長屋門の扉に吹っ飛ばされ、押し込められる。
門に押し付けられているようなかたちなので、見学者側からその姿は見えず、
ダン！ダン！ダン！ダン！と、磐音を追って門に打ちつけられる棒の
激しい音だけが聞こえてくる。磐音危うし！どきどき。
おそらく右に左にと避けているのだろうが、
これもタイミングが狂うと怪我をしかねない。
このあたりでカメラワークが変わるため、見学者側まで映り込む可能性が
あるのか、位置を移されて完全に何も見えなくなってしまった。
ならば、と一同移動して、お太鼓橋を渡り、橋のたもと側から長屋門を眺める。
後ろ姿の磐音が少し見えた。ここはお定まりの居眠り剣法の構えか。
敵役ともども、単独のアップ場面なども撮られている様子。
そのうちまた以前の場所から見られるようになったようなので、
もとの位置へ戻る。
時刻はとうに昼を回っているが、昼食休憩の様子はまったくない。
汗をかいた衣裳や、気持ちの持続のことを考えても、ここで中断して
休憩して、あともう一度この場を再現するのは大変すぎるだろう。
ここは勢いのまま一気に撮るのがベスト、とは理解できるものの、
ずっと日向にいるこちらも、照り殺されそうな陽気。
入っていきなり張り付き状態のまま、持参の飲み物など飲み尽くしてしまった。
煮られているように顔が赤らんでいるのが分かる。危険危険。
磐音の白い顔も、心なしかほんのりとうす紅がさしているような。
しかしこの暑さのおかげで、珍しい姿が見られた。
カットがかかるたび、結髪さんが寄ってきて、磐音のポニーテールを
くるっとまとめておだんご状にピンで留めるのだ。
そんな姿を目にするのは初めてで、皆大騒ぎ。
留めたピンがピンク系の色のせいか、このまとめ髪のスタイルになると、
まるで女の子のように可愛らしい。おだんご髪の姫侍。
こういうのこそ、見学者だけが目に出来る特典。
我々のミーハー視線はさておき、殺陣は最終場面に近づいている様子。
棒を落とされ、素手で向かってくる相手の後ろに磐音はひらりと飛んで、
首の後ろを峰打ち。どう、とばかりに前に倒れる悪漢。
「勝負あった！お引きなされ！」と叫ぶ磐音。かっこいい決め台詞！
最初は「お引きなされ」を先に言っていたようだが、
声に乗せるとおさまりが悪かったらしく、
最終的には「勝負あった」が先となったようだ。
テストのところでは地面にマットが敷かれ、悪漢はそこに倒れこむ。
この陽射しではちょっと置いただけでも、マットも熱を帯びて熱いだろうに
武藤さん大丈夫？と案じてしまう。後ろ頭も真っ赤でゆでダコみたい。
この場面の最初と最後で、こんなに顔の色が違ってつながるんだろうか、
と余計な心配をする。
ここは何回もテストが繰り返され、
磐音はその都度ツバメのようにひらりと飛び、決め台詞を口にする。
さぞ暑いだろうに、その凛々しい表情は変わらない。
二人だけで撮ったあと、中居さまと伝之丈、敵役の助っ人二人も加えて
同じ場面を撮影。三人組を見送ったあと、中居さまたちと会話を交わす
場面まで撮って、ようやくこの一連の場面は終了。
時刻は13時半を回り、もっとも暑い時間帯。
撮影再開は15時過ぎとのことで、皆々遅めの昼食休憩に入る。
＜キャストあれこれ勢揃い＞
見学者はいつも通り無料休憩所のテーブルで歓談しながら、
目のほうはぬかりなくガラス越しに関係者の出入りを追う。
あの若者二人は誰だろう、と思ったら、
先にゆくのはつい先ほどまで伝之丈だった林さん。
ちょっと長めの髪をゴムでとめて、Tシャツと迷彩パンツというような格好だと、
普通にかっこいいイマドキのお兄ちゃんという感じ。
似たようなスタイルのもう一人は？と目を凝らすと
お久しぶりの川村陽介くん＠品川柳次郎であった。
http://www.horipro.co.jp/hm/kawamura/profile/index.html
今年の撮影で見るのは初めて。
思えば去年の撮影時は「あのひと誰？」状態で、
全然未知のひとだったのだが、今は柳次郎として愛おしい。
撮影再開は結局15時半頃となった。扮装した役者さんたちが、
ガラス戸に向かって左手に見える芝居小屋方面の楽屋から次々現われる。
「あ、松吉だ、松吉！」と皆騒ぐ。
宮戸川での磐音の同僚にして、地蔵の親分の手下・松吉の内野謙太さん。
その後ろは…「あれ誰？何の役？」
「え、あの格好って地蔵の親分みたいだけど、え？？」
一部のひとたちから、陽炎2の予告が流れた時に、
配役に高橋克実の名がないことに不安の声があがっていたけれど、
やはり諸事情によりこの役は今回高橋さんではなく、
山西惇さんにチェンジしたらしい。
http://www.cubeinc.co.jp/members/prf/006.html
なんだか虚をつかれてしまった。
少し親分のイメージは変わってしまったようだけど、
おかみさんは同じひとなのかしら。
そしてこの日最大のニュース！宇梶剛士（うかじたかし)さん登場。
配役に宇梶さんの名があがっていた時から、何の役だろう、
レギュラーなのだったら、浮世絵師の北尾重政とか？と、
色々憶測を逞しくしていたのだ。
でも扮装は無精髯をはやし、ややよれっとした格好の武士。
え、まさか、まさか。第1シリーズではついに登場せず、原作ファンが
残念がっていたあの方が、よもや第2シリーズにして初登場なのか？！
少し遅れて扮装をすませた柳次郎が加わり、撮影が始まっても半信半疑だったが、
あとでひとから教わって宇梶さんのブログを見たところ、
紛れもなく「武左衛門を演じる」と書いてあった。
http://www.vv.fm/blog/ukaji.php
やった！竹村の旦那がついに登場。
宇梶さんは背が高く、逞しくて頼りになりそうで、
あのいい加減な武左衛門には格好良すぎるんじゃないかしら、とも思ったが、
あとで磐音とともに廻船問屋沿いの川べりを走る場面を見ると、
とととと、という走りが頼りなげに愛嬌があり、
あ、竹村の旦那っぽいな、と安心した。
この夕方の撮影は、最初小橋を挟んだ路地のほうで行われ、
規制されてそばには行けなかったものの、皆ねばり強く、
スタッフ・キャストの食堂に使われている建物の、わずかな隙からのぞくようにして見た。
路地一体は綺麗な色の暖簾がかけられ、赤い燈籠も立ち、
華やかなお茶屋さん街という感じ。
人探しの体で磐音、柳次郎、武左衛門たちが走ってきて小橋を渡る。
松吉や地蔵の親分も出てきて「にらんだ通り…」と松吉が言うのが聞き取れた。
ここはどうも、行方不明になった幸吉を探す場面のようで、
先日見た釣銭騙りを探して奮闘する幸吉の話の続きかと思われる。
磐音と武左衛門が走る場面は、ぐるっと回ってお太鼓橋のたもと側から見た。
二人の走りを真横から見るのは新鮮で面白い。
たたたっという感じの磐音とととっ、という感じの武左衛門。
いかにもへっぴり腰。
カメラは二人の真正面から、足元抜きでバストショットのみ撮っているよう。
このあたりで、無常の閉園お知らせのアナウンス。
走りの場面もほぼ終ったようなので、聞き分けよく出口に向かうと、
武左衛門と柳次郎が相次いで控え室のほうへやってきた。
「お疲れさまです！」と皆で声をかけると、宇梶さんは最初自分に
かけられた声とは思わず、びっくりした様子。
そのリアクションが可愛らしくて、いっぺんに身近な存在となった。
残念ながら磐音の退出は見られなかったけれど、
殺陣場面といい、レギュラー陣多数出演といい、
盛りだくさんで大満足の一日だった。
（9日に続く）
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