イマヘイは70年代はテレビドキュメンタリー、『未帰還兵を追って〜第一部マレー篇』(71)や『無法松故郷に帰る』(73)や『からゆきさん』(73;後年『女衒』をつくるにあたりこのリサーチは影響を与えてるはず)などのあと、79年に『復讐するは我にあり』で劇映画に復帰。ワカマツの70年代は76年『愛のコリーダ』を製作したり、その中心はやはりピンク映画の監督作、そして一般映画なのか79年の『餌食』や82年の『水のないプール』を監督。同年はピンク映画の盟友中村幻児が『ウィークエンド・シャッフル』を、高橋伴明が『TATOO<刺青>あり』を送り出す。黒澤は世界のクロサワらしく80年『影武者』を格式深く世界発信する。
赤いセシルBデミルであるヤマサツは、戦争と人間三部作(70〜73)、『華麗なる一族』(74)、『金融蝕』(75)、『不毛地帯』(76)から『皇帝のいない八月』(78)、『あゝ野麦峠』(79)と大作で快進撃。市川崑は『犬神家の一族』(76)からはじまる金田一耕助もののセヴンティーズ、80年代から90年代にかけても文芸を原作としたものを多くとして大作を手掛ける。深作欣二も同様に73年からの仁義なき戦いシリーズをはじめとした実録路線、『柳生一族の陰謀』(78)をはじめとした東映時代劇大作を中心とした動きから80〜90年代の文芸原作ものの大作、そして2000年代のバトルロワイヤルシリーズとヒットを飛ばす。佐藤純彌は『新幹線大爆破』(75)、『君よ憤怒の川を渉れ』(76)、『人間の証明』(77)、『野生の証明』(77)と国内海外に大ヒット。降籏康男は高倉健とのコラボ作品を中心とした作品群でセヴンティーズからミレニアム。
ワカマツの一般映画路線をピンクのエクステンションとも考えると、『水のないプール』(82)、『スクラップストーリー ある愛の物語』(84:少女Mっていたな、そうした時代だったのである。そうしたこともあり、この作品はもはやソフト化不可能とのこと)、 『キスより簡単』(89)、『キスより簡単2 漂流篇』(91)、『エロティックな関係』(92:長谷部安春の『エロチックな関係』のリメイク。)がある。
そうした時代には他に、森田芳光、伊丹十三、大林宜彦、ジブリ、ホイチョイプロダクションもいた。しかし、俺は怒ってるんだろっくんろーる、な内田裕也TOワカマツを考えるとき、性の開放の余韻を引きずる同時代のスキャンダル、東陽一、渡辺淳一、五社英雄がいることを知らなければならない。彼らは確かに興行界にヴォルケイノーをもたらした。
東陽一
『もう頬づえはつかない』(79)
『四季・奈津子』(80)
『ラブレター』(81)
『マノン』(81)
「想い出づくり」(81):陽一も淳一も関係ないが、女性の自立を主題としたテレビドラマ。クリスマスイヴ、すなわち24歳までに結婚できなければ恥という当時の世間体ムラ社会に生きる田中裕子、古手川祐子、森昌子の主演によるドラマ。できたらまた観てみたい。
渡辺淳一
『化粧』(84)
『ひとひらの雪』(85)
『化身』(86)
『別れぬ理由』(87)
『桜の樹の下で』(89)
『失楽園』(97)と『愛の流刑地』(07)はもっと後の時代だからエポケーする。
渡辺淳一の時代はもはやバブル、余裕のある時代にこそ生活エンジョイする読者も観賞者もその欲望に準じているかのよう。東陽一の自立も前のセブンティーズを引きずるかのような時代、しかし古色蒼然とはならず、竹下通りもフェスで踊りまくり、ピテカントロプス・エレクトスなんかのクラブも連日花盛り。
東陽一の時代は並行して、角川映画 『ねらわれた学園』(81)、『セーラー服と機関銃』(81)、『探偵物語』(83)、『時をかける少女』(83)、〜『Wの悲劇』(84)、『早春物語』(85)があった。
渡辺淳一の時代はおニャン子クラブ 85〜87である。
そして80年を通じて五社英雄の情炎の世界である。『雲切仁左衛門』(78)、『闇の狩人』(79)の時代劇を経て 『鬼龍院花子の生涯』(82)〜『極道の妻たち』(86)、『吉原炎上』(87)〜『女殺油地獄』(92)。
まさにバブリーに、そうした時代であった。
この時代とは何か。
そして最後に、クロサワもイマヘイもワカマツも製作DEお世話になったチームオクヤマ親子の作品群。
チームオクヤマ
『キネマの天地』(86)
『利休』(89)
『死の棘』(90)
『八月の狂詩曲』(91)
『海燕ジョーの奇跡』(84)
『カポネ大いに泣く』(85)
『恋文』(85)
『離婚しない女』(86)
『ハチ公物語』(87)
『その男、凶暴につき』(89)、『無能の人』(91)、『外科室』(92)
『226』(89)
『豪姫』(92)
『女殺油地獄』(92)
『いつかギラギラする日』(92)
『寝取られ宗介』(92)
『エロティックな関係』(92)
『GONIN』(95)
『EAST MEETS WEST』(95)
『うなぎ』(97)
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