住まいから駅までが遠いので、毎日自転車で通っているのだが、
金曜日の夜、自転車同士で出合い頭衝突を起こし、転倒した。
この辺りは細かい路地が多く、交差する場所がとても多い。
いつも気を付けているつもりなのだが、向こうもこちらも注意が足りなかった。
横から来て私の自転車の前輪にまともにぶつかった男性も転倒し、
両者とも地面に投げ出された。
幸いすぐ立ち上がれたし、
ちょっと身体を打った部分は痛いけど、骨折捻挫もないようだし、
お互い「大丈夫ですか?」「すみません」だけで左右に分かれた。
相手はさっと去っていったが、さて立て直した自転車に乗ろうとしたら、
あれ?前輪がうまく回らない…
さては衝撃で歪んでしまったのか!
私自身がたいした負傷でないのは幸いだが、
愛車が負傷してしまったのだ。
今更ながら口惜しくなったが、時すでに遅し。
転んだ時って、恥ずかしくてかっとなっているし、
冷静に対処するなんて、なかなかできない。
近くに大きめの自転車店があるのは覚えていたので、
なんとか閉店間際の店まで引き摺っていったところ、
車輪を取り寄せて交換しないといけないとのこと。
一週間以上かかるし、交換するのに8千円くらいかかる。
出費は痛いけれど、これなしには身動きとれないから仕方ない。
預けている間、代替車を貸してもらうことになったけど、
やっぱり一時的な代わりのものだから、勝手が違う。
もう自転車は私の身体の一部となっているからなあ。
何せ、交通費の節約も兼ねて、
このところ銀座でも赤坂でも上野でも、自転車を走らせて行く。
この間は人形町、浜町までも行ったし、橋を渡れば江東区だ。
今まで走った距離を考えたら、両国も大丈夫だと自信が持てた。
以前は歌舞伎座に自宅から自転車で行けるなんて思えなかった。
しゃっとした走り主体の奴じゃなくて、至って普通のママチャリなんだけど。
銀座方面に行くときは、
九段下あたりから靖国通りを神保町、小川町、淡路町と進んでゆき、
岩本町の手前で右折して、中央通りをまっすぐ行く。
この道は神田、室町、日本橋、京橋、銀座、新橋まで貫いている。
走っていると、町の雰囲気の移り変わりが身体で分かって楽しい。
昨日の歌舞伎座幕見も、本当なら自転車でいくつもりだったけれど、
さすがに借り物だとためらわれて、行きは地下鉄を使った。
でも昼の部の二幕目だけだと、見終わっても午後3時くらい。
どうせ急ぐものでもなし、と自転車で走り慣れた道筋を歩いて見た。
お江戸のひとは、このくらい皆徒歩だったんだから。
日本橋、神田、九段、と歩いていると、
「みをつくし料理帖」の澪ちゃんもこうやって歩いたんだな、と
自分のことのように感じられて楽しくなってきた。
俎(まないた)橋を渡り、元飯田町を通る。
神保町の書店に勤めていた頃は、時々俎橋を渡って
九段郵便局に荷物を出しに行っていたな、と懐かしく思い出す。
歴史散歩の気分になって、マイペースで歩いた結果、
銀座から家までは3時間ほどで着きました。
やっぱり自転車の3倍はかかるな。
たまにはいいけれど、早く愛車が帰って来て欲しい。
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