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2014年08月15日18:17

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933 マンドリン・フォーマット 21

シリンダー・オルゴールの蓋の裏側には作曲者や曲名、製造番号、メーカー等が記された厚紙製のチューン・シートというものが、タック( 鋲 )で留められています。中には石版刷りの多色印刷( Multi Color 1880年代に実用化) とか真鍮の厚板にビュラン( ノミ、鑿 )で文字を彫り込んだ豪華版も作られました。

通常は厚い紙( Buff Card )に枠が印刷され、曲目は独特の書体(大変読みにくい)で手書(工房の奥さん等、女性の手になるものが多いようです)のインクで記入されています。このオルゴールのオリジナルのチューン・シートは失われていました。

デュコマン・ジロゥ工房が使っていたチューン・シートの複製品がアメリカで販売されています。これを使って写真1のようにチューン・シートを復元しました。

和文における書道のように、欧文を美しい書体で書く技法はカリグラフィー( calligraphy )と呼ばれています。書道における篆書体、楷書体、草書体のように、カリグラフィーの世界でも多くの書体が作られました。写真2上段はフラクトゥール( Fralktur )という書体で、おもにドイツで第2次世界大戦までの出版物に良く使われていました。ディスク・オルゴールのディスクに見られます。写真2中段はカッパープレート( copper plate )、下段はイタリック( italic )という書体で、読みやすくエレガントな書体です。

今回はカリグラファーの林 綾子さん( カリグラファーズ・ギルド会員 )にカッパープレート体で筆耕をお願いしました。チューン・シートがとても小さいので大きな白紙に書いてもらい、スキャナーで読み込んで縮小してから、チューン・シートの画像データと組み合わせて、クリーム色の厚紙に出力( 写真1 )しました。これは本来のチューン・シートよりもはるかに美しい出来上がりとなりました。

でも写真3のような少し派手目のチューン・シートを使いたかったのが本心です。しかし人のオルゴールなのでオリジナル重視、味もそっけもない写真1の本来のデザインを使いました。
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