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2014年04月06日00:17

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武井武雄の世界展(日本橋高島屋)

4月5日、会期終了前日にようやく鑑賞。
http://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/takei.html

武井武雄は大正から昭和にかけて活躍した童画作家。
「コドモノクニ」「子供之友」「キンダーブック」などの雑誌や、
おもちゃの制作、本の装丁など、さまざまな分野で挑戦を続けた。

卓抜したセンスで、日本人離れした世界的なイメージ。
この絵は一度見たら忘れられない。
お化けなど、怖いような異世界の絵も多いのだけれど、
不気味というより突き抜けていて、シュールレアリスムの域に達している。
今回まとめて観て、ちょっと岡本太郎の作品にも通じるような気がした。
まったく古びない新しさ。

”大正・昭和のこども達は、このファンタジーで育ちました”
と、チラシのキャッチコピーにあったけれど、私もまさにそう。
私の場合は「キンダーブック」ではなく、戦前に出たアルス社の「少年文庫」の挿絵だ。
私の生まれる前から実家においてあった本(おそらくは父や叔父たちが昔読んだもの)で、
童話の数々がこの不思議な絵とともに深く心に残った。

ともかくその洗練されたデザイン力、独特のメリハリある線は素晴らしい。
童話の挿絵も流麗な線だけれど、
野菜たちが相撲をとったりしてわいわいにぎやかな「八尾金」だとか、
果物、卵、魚などさまざまな食材たちが重量挙げをしている絵だとか、
モノの擬人化は漫画的センスに満ち溢れて楽しい。

どちらかというと昔の作品のほうに親しんでいたので、
1960年代〜70年代の作品は今回初めて新鮮に眺めた。
詩が添えられた「青の魔法」や「星曜日」は印象的。
痛烈な文明批判を感じる。

「青の魔法」(1964年)

青の魔法をかけられて
昔の空は青かった。

青の魔法をかけられて
昔の海も青かった。

魔法使いの居ない今
空と海は灰色だ。

地球は廻っているけれど
青の魔法をしるひとは

みんな僕らを見限って
月の世界へ行ったのだ。

「星曜日」(1965年)
遠い星を見ている者は幸である。
星に着陸してその無慈悲な肌にさわる者は不幸だ。

もしも愛するものがあったら
遠くにおいて手を伸さない事にしよう。

征服は又の名を惨敗と言う。
…(後略)

黒柳徹子さんがやはり武井武雄の大ファンで、
ご自身の書いた童話を武井武雄の絵で絵本になさっていたのは知らなかった。
『木にとまりたかった木のはなし』(岩崎書店)
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%A8%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%9C%A8%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%97-%E9%BB%92%E6%9F%B3-%E5%BE%B9%E5%AD%90/dp/4265944299
武井氏が挿絵を快諾された直後亡くなられて、約束は果たされなかったものの、
それまで描き溜められた絵のなかにぴったりのものがあって実現したのだとか。
展示されているのを拝見したが、とても素敵な本だった。

グッズ売り場がこれまた盛りだくさんで、
どれもこれも可愛く、ものすごくそそられたのだが、
ぐっとこらえて「ハトとタカ」「八百金」「重量挙げ」の葉書のみ購入。
手ぬぐいやガーゼハンカチも素敵だったけれど、布ものに手を出すときりがない。
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