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2012年10月02日13:00

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「鍵泥棒のメソッド」〜日本映画ならではの職人芸

内田けんじ監督最新作。いきなり別の映画のことを書くけれど、この監督のデビュー作「運命じゃない人」は私のお気に入りムービー。おカネをかけなくてもアイデアさえあれば実に面白い作品ができるという素晴らしいお手本。全国の高校映画研究部員必見の一本です。映画の中で高校生にムリなことはクルマの運転ぐらい。もちろん演技力・技術力はおいといて。

さて「鍵泥棒のメソッド」、今回も筋立てが実によく練られていて、セリフのひとつひとつにリアリティーがあるかそして矛盾がないかかなり丹念に精査された様子、数多くの伏線やユーモラスな仕掛け、たび重なるどんでんがえしなど、脚本作りに相当の時間が割かれているのがよくわかります。この監督が寡作なのもなるほどなと思った次第。

そして脚本が凝ったものである以上、“記憶喪失の殺し屋”や“ヘタクソな貧乏役者”そして“カタブツの婚活女性”そこに加えて数多くのなりすまし等、多彩な人格を演じることを要求されたであろう出演者の力量に負う部分もかなり大きいはず。そこはメインキャストの堺雅人・香川照之・広末涼子が見事な演技力でこなしきっております。

この職人芸とも言える細やかなアイデアの積み重ねこそが、サムライムービーやアニメ・CG以外の領域において、莫大な製作費のない邦画がこれから生きていくべき道なのでは。かっての邦画に影響を受けたタランティーノにも、やたら組み立てに凝る作品が多いことは単なる偶然ではないと思うし。もちろん映画館で観るのがベターだけど、もう少し待ってDVDでもぜひ。
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