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2012年04月01日10:37

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D.Actors File #45 山本耕史

素顔のインタビューとドラマ撮影現場の様子が交互するスタイルで、
実に濃密な5分間。

ひさしぶりに書き起こしたくなったのでやってしまいました。
見た目の描写はどうしても書き手の主観が入ってしまうけれど、ご容赦。

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#45 山本耕史
大河ドラマ「平清盛」藤原頼長役

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黒帽子、黒縁メガネ、顔左側からの斜め角度のアップ

「僕が生きている人を演(や)ると必ず35で死んでいる、というね。
 で、今35なんですよ、僕。
 頼長もそうでね、土方歳三さんもそうで…うん」
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D.Actors File

・顔を上げる頼長(黒直衣)

・撮影合間、座った板の間を畳んだ扇でとんとんと軽く叩き、
 パッと頭上に揚げ、後ろを振り向き、顔の向きを変える。

・結髪さんが生え際を整え中の顔、斜め方向アップ。

”1976年生まれ。0歳からモデルとして活動”

・セットの渡り廊下を行く。スタッフから「よろしくお願いします」の声。

”俳優として舞台、映画、ドラマで活躍する”

・渡り廊下に立ち、段取りを聞いているらしい様子。
 台本を持ったスタッフと話す耕史頼長。

”「新選組!」「陽炎の辻〜居眠り磐音江戸双紙」に出演”

・用意される撮影カメラ。

・板の間に座る頼長。準備のスタッフが周りで動く。
 動きの確認か、上体を傾け、左右に顔を向ける頼長。
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”役者を目指したキッカケ”

「それは舞台ですね。
 舞台の『RENT』っていう、まあ、ブロードウェイのミュージカルがあって、
 それをやった時に、僕はこうゆうことをやる人なんだ、
 という風に思った作品があって、
 まあその(RENTを)作った彼も35歳で亡くなっているんですけど」
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・御簾越しに見える廊下に立つ鳥羽法皇と得子、向き合う形で忠実と頼長。

頼長「法皇様の政(まつりごと)とは、
   身分卑しき者を引き立てることとお見受け致しまする」

”藤原頼長は朝廷の権力争いの中心人物”

頼長、忠実、鳥羽院越しの得子の順にカメラがその表情をとらえる。

得子「…私(わたくし)のことを言うておるのか」
頼長「はて、何か心当たりでも?」(まばたきもせず正面から見据える)

”「保元の乱」の首謀者として知られる”

・家盛に言葉をかけている頼長。

頼長「何ゆえ正妻の子である自分が、こんな思いをせねばならぬのかと」

家盛の杯に酒を注いでやる。斜め俯瞰でとらえるカメラ。
動揺している家盛の表情アップ。

頼長(ぐっと寄って)「家盛、そなたじゃ」(にっと口角をあげる)
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グレーの壁バックのバストショット。
黒帽子、黒縁メガネ、黒インナー、黒ジャケット、シルバーネックレス。
角度変わって初めてエレベーターの中だと分る。
「そう、帰ったらもう4時だったかな」
はあ、と答える取材スタッフの声。ピンポン、とエレベータ階到着の音。

廊下を歩きながら話す。
「昨日もわりと一日中だったので」
赤いラインの入った黒い靴で歩く足元から上へとあがるカメラ。

どんどん歩を進めながら
「(頼長を演じるのが)難しいというよりも、まああの、
 そういう意味では中途半端に演(や)るとアレなんで、
 もう中途半端じゃなく、ビシッと、思ったね、原色で演じてるというか、
 あの、あんまり細かいニュアンスをちらつかせないように、
 もう、どしっと一本線で行ってる演じ方なので、
 そういう意味ではとっても演じやすいというか…
 演じやすいというかその分、難しさもあるんですけど」
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・折れ烏帽子、ほつれ髪、指などに血糊がべったりとついている頼長。
 撮影合間、手に紙コップの飲み物。

・スタッフの間に垣間見える、口から血を流している頼長。

・手前に撮影スタッフたち。画面奥のほうに輿。その傍に立つ頼長。

・頬から首にかけて血まみれの頼長アップ。
 どこかを見やっている目(少し血走って)

・唇の色も褪せ、血まみれの手で紫直衣の胸元をさわっている頼長。虚ろな目。
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”山本耕史 35歳”

「今年っていうのは、こう、いろんな、まあ別に、ねえ、
 死ぬとかいう話じゃないんですけど、
 まあ何かしらの、なんか、巡り合わせの年なんだろうなと思ってるんですよね、
 今年は」
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・うつむいて右手小指で唇を触っている頼長。

・身体を後ろに倒し、頭だけ立てている頼長の横顔、ときおりまばたき。
 周りを行き交うスタッフ。

・首に巻いた布も血に染まっている頼長。鉄漿が目立つ。

・暗い廊下のセット。戸の隙間からひとすじの光。
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「全てがその、俳優…まあ役者業にも役立ってるし、
 逆に言うと俳優業がプライベートにも役立ってるから、
 まあ、切り離せない所ですかね」

”役者=天職”

「天職っていうのは自分に向いてるってことですよね。
 それね、自分の思い次第だと思いますね。
 天職じゃないものを天職だって言ったら天職だし、
 天職のはずのものを、俺、やっぱ合わないと思ったら天職じゃないし、
 そういう意味では天職かな、じゃあ。
 自分でそれが絶対そうだと思い込んでいるから。
 うーん、だからやっぱり思い込みなんじゃないかな、はい」
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・「はい、お願いしまーす」のスタッフの声。
 セットの陰から頼長、撮影場所に足早に歩いてゆく。
 うらぶれた折れ烏帽子、紫直衣、うす紫の差貫という姿。
 組まれたイントレのわきを通り、鎧姿の役者たちの間を抜ける。

・「…近づけることさえおそろしいとの仰せ。お立ち退きくだされ」という
 忠実の家人の台詞が聞える中、
 輿にもたれ、血の気も失せ息も絶え絶えの様子の頼長。
 目を閉じ、胸元に手をやっている。

・邸のセットの中、涼やかにうつくしい頼長の横顔。
 
・笑みを浮かべ、顔をあげる頼長のアップ。

・御簾越し、素の表情でスタッフとしゃべっている耕史頼長。

・セット庭に小日向@為義、金田@通清、スタッフ。
 廊下に立って彼らと談笑している耕史頼長。
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「だから別に僕から役者っていうものを無くしたら、僕ではなくなるし、
 役者でない山本耕史っていうのは、僕にとってはいないのかな」
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・セット廊下、向こうから前傾姿勢で歩いてくる頼長。

・「カット、OK!」の声で顔を起こし、口を開け息を通す様子。

・廊下セット、右から左へと移動する頼長。

D.Actors File #45 山本耕史
大河ドラマ「平清盛」藤原頼長役        (終)
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NHK Eテレ 2012年3月31日 0時55分〜1時


見ながら本当にどきどきした。
淡々と話す素の耕史くんインタビューもむろん良かったのだが、
やはり本編と撮影合間を取り交ぜた頼長ショットの生々しさが圧倒的。
そう、スタジオパーク見学がくせになってしまうのは、
こういう撮影合間のなにげないしぐさ、虚実皮膜の様子を、
のぞき見ることが出来るからなのだ。
時に個々の役者のそういう姿を、
カメラのひとつがずっと抜いていてくれたりするから。

鳥羽院、美福門院との会話は第14回。家盛との場面も同じ回。
第14回の家盛とのシーンは来るかもと予想していたけれど、
第22回、保元の乱での痛ましい姿には惑乱してしまった。
あの血まみれ姿は矢傷を負って忠実の邸に輿で運ばれたのに、
門を開けてもらえず追い返される場面に違いない。
あの気位の高い頼長が… 切ないなあ。

3月15日にKさんが見たと言う第21回の撮影では、
鸚鵡をかかえて逃げ出すところまでで、血糊場面はなかったよう。
私が見た翌16日忠実撮了(第22回場面)の際、
思いがけず花束を持って出てきた耕史頼長の姿は、
かなりうらぶれた折れ烏帽子にほつれ髪だったから、
モニターが消えたあと、この日の夜にかけて撮った場面かもしれない。
いずれにせよかなりのネタバレ映像、たいへんなインパクト!

ある程度役に入っている時と素に戻っている時では、
扮装をしていても表情ががらりと違う。
そういう不思議に魅せられて撮影見学を繰り返してきたようなもの。
この番組でその一部が保存出来たことは本当に貴重。
頼長扮装中でも完全に素の表情のほうは、
一応採録でも「頼長」ではなく「耕史頼長」として違いを出してみた。

素顔インタビューは斜め方向から固定したアップ映像も良かった。
これはどこでどういう光線で撮ったのだろうか、
白いひかりにうきあがるような透明感。

忙しい撮影合間の取材のせいか、
瞼が二重三重になってるような、やや疲労した表情に見えたけれど、
いつもながら非常にたいへんなことを淡々とこなして行く姿勢に打たれた。
あの渾身のヘドウィグの時も、本当に肉体的には大変だったはずなのに、
ごく淡々と、あたりまえのように語っていたっけ。
「役者=天職」
彼の言葉には気負いもなくブレもない。
こと仕事に関しては本当にストイックで真摯なひとだとあらためて思う。
あと、土方にだけは「土方歳三さん」とさん付けなのもいつも通りで、
変わらぬ敬意が感じられたのが嬉しかった。
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