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2011年12月07日00:27

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録画DVDで三谷さん三昧

WOWOWには加入していないので、加入者である友人にすがりっぱなし。
三谷幸喜さんの舞台の連続放映も、複数の友の録画のおかげで観ることが出来た。
朝日新聞の連載エッセイはかかさず読んでいるから親近感はあるけれど、
実のところ私は三谷舞台をそれほど観ていない。
チケット取りは大変だし、タイミングをはずしたことも多いのだ。
だからこういう機会は本当にありがたい。友に感謝!
せっかくまとめて観たので、感想を短めにまとめておきたい。

・『ろくでなし啄木』(2011年1月)
ひとりの女をめぐる二人の男のスリリングな攻防。
旅の宿で起こった一夜の出来事の真相が、語り手の三者三様皆違う、
という設定は芥川龍之介の『藪の中』を連想させられる。
しかし何より圧倒的だったのは勘太郎くんの上手さ!
この作品は彼で持ってるんじゃないかしら。
八面六臂の大活躍。身体の扱いかたが段違い。
何をやってもさまになるし、にじみ出る愛嬌の素晴らしさ。
若い頃の野田さんのような吸引力。ああ勘三郎さん譲りだなあと感服。
はっきり言って竜也くんとは違う次元で圧倒された。
竜也くんも決して悪くはないのだが…
(彼の黒帽子とコートの扮装は中原中也を思わせる)
さっさっと左右からスライドする障子戸でどんどん場が切り替わるのは、
スピーディで面白かった。

・『ベッジ・パードン』(2011年4月)
ちょっと辛口の批評も聞いていたので、どんなものかと見始めたのだが、
充分面白いじゃないですか。何がいけないって言うんだろう?
二階仕立てで外壁を見せたり取り去ったりするセットも面白いし、
いろいろ笑えて、ちょっとほろ苦くて。
確かにベッジの弟の銀行強盗のくだりなどは、
ちょっと無理やりでどたばたな気もするけど、
それを補ってあまりあるほど、皆チャーミングで可愛いと思う。
萬斎さんは素敵だし、浅野さんの芸達者ぶりは安心して楽しめるし、
大泉さんもすごくはまってて良い。
『マイ・フェア・レディ』をやりたかったんですね、三谷さん。
ベッジ(アニー)の愛らしさといったらなかった。深津さんすごい。
ステカナやステカクの元気なコメディエンヌぶりが
ここにつながってるんだな、と実感。
でも自ら身を引く彼女が可哀想。森鴎外の『舞姫』を連想してしまう。
「今度は、あなたが語る番」ですっと声音が変わるラストには鳥肌がたった。

関係ないかもしれないけど、『啄木』での勘太郎くんの
「俺が月を見ている〜月も俺を見ている〜つくつく〜」に続き、
金之助とベッジの「靴、靴」「つく、つく」が繰り返されていておかしい。
ステカナの陰陽師「阿倍つくつく」にもつながってるのかしら。

・『コンフィダンド・絆』(2007年4月)
傑作の誉れ高い作品。期待通り素晴らしかった!
生瀬@ゴッホ、寺脇@ゴーギャン、中井@スーラ、相島@シュフネッケルの、
それぞれ個性的で性格の違う四人の男たちと、
堀内さん演ずる、明るくて屈託のないモデル・ルイーズの絡みの絶妙さ。
天才肌だけれど生活能力のない駄々っ子のようなゴッホ。
調子のよい色男ふうでありながら、意外に気遣いの細やかなゴーギャン。
社会的には一番安定した常識人ながら、他人に見せない顔を持つスーラ。
無類にお人よしだけれど、絵の才能も絵を見る目もないシュフネッケル。
最後に皆がばらばらになってしまう場でのシュフネッケルの哀れさに、
思わず涙ぐんでしまった。相島さん、いい!
堀内さんの魅力全開のルイーズの愛らしさは特筆もの。
定評ある歌唱も素晴らしい。
♪〜ゴーギャン、ゴッホ、スーラ、パ、シュフネッケル〜
という合間合間の歌が、耳について離れない。
生のピアノ演奏ってやっぱり良いなあ。

・『オケピ!』(2003年4月)
総勢13人のオケピメンバー。
あれこれ面白いネタが詰まっていて笑わせられたけど、
これはやはり生で観た方がずっと面白いんだろうな。
台詞をしゃべる人の周辺がズームアップされるだけでは分らない、
全体の動きの可笑しみはその場にいなくては無理だ。
そのせいか、ちょっと間があいたような気になるところも。
この録画は再演時のものだけれど、初演データと調べて見ると、
劇中の演奏曲はこの再演で7つも増えている。
布施さんの歌声を聴かせるソロナンバーなど、その歌は素晴らしいけれど、
いささかオーボエの見せ場が多すぎる気がして、バランス的にはやや疑問。
「タコに対する考察」の歌も初演にはなかったようだし、
新しくキャスティングされた人には、その人に合わせて台詞も変えているようだし、
真田さんや耕史くんの出た初演が観てみたいなあ。

ともあれ舞台細部を観ていると、
あ、この箇所についてエッセイに書いてたなあ、と色々思い出し、
改めて『三谷幸喜のありふれた生活』1〜7を読み返してしまった。
舞台の実際を知らないまま読んでいた時にはぴんときてなかったことも、
舞台映像鑑賞直後に読むと、臨場感があってひときわ面白い。
でも改めて振り返ると、プライべートと作品が重なるところもあって
いろんなことがあったんだなあ、と考えさせられた。
まだしばらく録画鑑賞→エッセイ読み→録画鑑賞、を繰り返しそう。

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