招待券が当たったというお友達が誘って下さったので、
7月10日に鑑賞。
http://www.megurogajoen.co.jp/event/kabuki/index.html
歌舞伎座は30年以上通い続けた、一番馴染みのある劇場なので、思い入れも深い。
ドキュメンタリー映画『わが心の歌舞伎座』を観た時も随所で涙ぐんでしまったほど。
http://www.shochiku.co.jp/kabukiza-movie/
そんなわけで、この展覧会のちらしを見かけた時も気になっていたのだが、
雅叙園の絵天井と歌舞伎座正面を組みあわせたイメージ写真だけで裏は真っ白。
具体的にどんな展示なのか、詳しいことは何も載っていなかった。
公式サイトを見てもご同様で、内容は謎のまま会場へ。
まずは旧館の「百段階段」を上る手前に、
歌舞伎座で去年まで実際に使われていた花道の一部や客席、
毎月飾られていた出し物の絵看板、『暫』の衣装などがお目見え。
お囃子の音が流れていて、いやおうなしに歌舞伎座気分に。
この部屋では係のかたが色々説明してくださった。
花道は18メートルあった花道の、8メートル分だそうだが、
実際に歩くことも出来るというので、体験させていただいた。
揚げ幕内側の鳥屋も再現されていて、そこから花道を覗き見ると、
あの、揚げ幕のチャリ、という音が思い出される。
晴海通りに面して、昼の部、夜の部それぞれの演目が飾られていた
絵看板も一堂に会して華やか。
展示されている『暫』の衣装は40kgの重さがあるとか。
残念ながら撮影可能なのは、この場所の展示のみということだが、
階段を上がってめぐってゆくそれぞれの部屋にも様々な道具や衣装の展示。
A.十畝（じっぽ）の間
＜歌舞伎座の変遷と歴史＞
ロビー（大間）に敷かれていた桜の花模様の赤絨毯や
朱塗りの丸柱がなつかしい。
戦前の歌舞伎座の写真なども。
B.漁樵（ぎょしょう）の間
＜歌舞伎衣装展示「勧進帳」＞
義経、弁慶、富樫の衣装が間近に見られて感激。
義経の紫のあでやかなこと。
富樫の直衣の上品な水色に浮かぶ鶴亀が意外に可愛らしくて微笑ましい。
C.草丘（そうきゅう）の間
＜知られざる歌舞伎座＞
『わが心の歌舞伎座』の一部、裏方さんたちの様子などや、
シネマ歌舞伎『女殺油地獄』の予告編などの映像が流れていて、
椅子に座ってしばし鑑賞。
『わが心の〜』の画面にも登場した「着到板」や「大提灯」なども。
一般観客は実際に目にする機会はなかったため、貴重な展示。
D.静水（せいすい）の間
＜歌舞伎衣装展示「藤娘」＞
藤娘の衣装は二着展示。華やかで品があってうっとり。
紅い帯揚げの出し方が胸元に添うような丸みで、ハートマークのよう。
E.星光（せいこう）の間
＜鳴物展示、体験＞
いわゆる効果音を出すための「鳴物」あれこれ。
ハンドルを回して布をこすり、風の音を出す器具など、実際に体験。
波の音を出すあずき入りの笊は、思ったよりずっと長くて大きく、
力がないと上手く揺らせない。
能管、小鼓、大鼓、締太鼓などは眺めるだけで手には出来ないけれど、
見ているだけでも背筋が伸びるような、凛とした美しさ。
F.清方（きよかた）の間
＜想い出の歌舞伎俳優/生まれ変わる歌舞伎座＞
なつかしい歌舞伎役者さんたちの写真パネルなど。
2013年春に竣工予定の”第五期”歌舞伎座のイメージ映像も流れていた。
でも実際のかたちを見てみないと実感がわかないな。
幕見は今まで通りちゃんとあるのかしら。
G.頂上（ちょうじょう）の間
＜歌舞伎座土産＞
グッズ販売のお部屋。
歌舞伎座の売店で売っていた羊羹だのおせんべいだの、
手拭だの、もちろん全種類ではないけれど見覚えのあるものがあれこれ。
菩提樹の実を連ねた小さな根付を、携帯のストラップ用にいただいた。
古風で重厚で、しかも装飾に富んだ雅叙園の建物は、
歌舞伎座のお道具を並べるにはぴったり。
予想以上に堪能できて満足。
誘って下さったお友達に感謝感謝。
それにしてもしみじみ歌舞伎座が懐かしい。
新しい歌舞伎座にもむろん行くことになろうけれど、
改めて以前の歌舞伎座の喪失感を味わうことになるかもしれない。
あの世界はまさにもう”わが心”のなかにしかないのだ。
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