2009年の第1シリーズでは毎回食い入るように観ていたドラマ『JIN−仁−』。
http://www.tbs.co.jp/jin-final/index-j.html
今回（2011年）の完結シリーズの展開はいささか無理がある気もしていたけれど、
さすがに最終回は胸に迫るものがあった。
前シリーズ第一回に呼応して登場した耕史くん演じる野口医師が、
思いがけず大事な役どころだったのも嬉しい。
「完全シナリオ＆ドキュメントブック」の石丸プロデューサー談話によれば、
耕史くん本人は「久しぶりに出演したと思ったら、
こんなに長いセリフを覚えさせられた。しかも、一番重要な部分を」
と言っていたそうで(p.407)、やはり予想外で驚いたのだろう。
http://ishop.tbs.co.jp/tbs/org/drama/jin/book/-/ps_id/1613947/s_cd/0001/c_cd/33724//?&xadid=90020
病院の外階段、病院前の植え込み近くのベンチなどでの二人の会話場面は、
あたりの建物や回りの緑濃い通りなど、ロケ地の風景が印象的で、
久々に撮影地を訪れてみたい気になった。
26日の最終回放映後一週間とたっていない7月1日、お友達を誘ってお茶の水へ。
昔、神保町の書店に勤めていたので、お茶の水は馴染みのなつかしい街。
細かい移り変わりはあるものの、古風な雰囲気が残っていて好もしい。
＜聖橋と湯島聖堂＞
待ち合わせしたJRお茶の水駅の聖橋側の改札前から、
本郷通りに連なる聖橋を渡って湯島聖堂側へ。
橋の上から見る駅ホームと蛇行した神田川は良い眺め。
この季節、川辺に生い茂った緑は色濃い。
聖橋を渡り切って、左脇の階段から下の道路（外堀通り）へと降りる。
橋の下の歩行者通路は、橋の中腹と同じく細長いアーチ形のトンネルとなっていて、
外壁にからまる蔦も趣深い。
トンネルをくぐり秋葉原のほうへ進むと左手に湯島聖堂の塀。
http://www.seido.or.jp/access.html
その昔の「昌平坂学問所」。元禄3年に五代将軍によって創建された由緒あるところ。
中も風格があって良いのだが、何度か入ったこともあるし今回は割愛。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=996817755&owner_id=949383
仁もこのトンネル通路を抜けていたが、未来がここの雑踏で振り返る場面では、
聖堂の特徴ある塀が画面左手奥に見えている。
＜順天堂へ＞
踵を返し、外堀通りを水道橋方面へと進むと、
右手には東京医科歯科大学とその大学病院が大きくそそり立ち、
道をはさんで左手にお茶の水橋が見えてくる。
お茶の水橋の先あたり、神田川のゆるやかな蛇行は絵になる景色で、
『JIN−仁−』冒頭で、幕末の写真と現代の写真が重なり合う
タイトルバックを思い出してしまう。
東京医科歯科大学の次に道を挟んで現れるのが順天堂医院。
（この境目の道は、日本サッカーミュージアムに面しているので
サッカー通りと命名されている）
茶色い外壁の建物は、その足元の庭のベンチに仁と野口が座って
会話する場面の前に、あおった角度で映っていた。
ドラマの中では「東都大学付属図書館」のロゴになっているけれど、
もちろん現実にあるのは「順天堂」の三文字。
http://www.juntendo.ac.jp/hospital/
前シリーズの第一回を観た時にも、順天堂だということはすぐ分ったけれど、
実際に足を運ぶのは初めて。
入口に近寄ってみると、あ、『JIN−仁−』のポスターが貼ってある！
仁先生を中心に、主要キャスト6人の顔が並ぶ見なれた図柄。
でもよく見ると、これはドラマのポスターではなく、
そのイメージを使ったキャンペーンポスターだった。
上に”−現代（いま）なら守れる！−”
下に”2回の予防接種ではしかは無くせる”の文字。
さらにその下には、
”JIN−仁−の主人公『南方仁』は、
順天堂の脳神経外科医をモデルにしたフィクションです。”
なるほど、これは効果抜群の宣伝になりますね。
＜二人のベンチ＞
この入口あたりは、スターバックスや日比谷花壇も入っていて、
エスカレーターで二階に上がるとレストラン（山の上ホテルのヒルトップ）もあり、
ちょっとお洒落なショッピングモールのような雰囲気。
建物入口は外堀通りからはちょっと奥にひっこんでいる位置で、
その手前右手には木々の植え込みもあり、ベンチも並んでいる。
ここが仁と野口が並んで腰かけていたところ。
この場所は、下の道路からループ状の通路を通って登るので、
ぐるっと二回りくらいする。（左手には階段もあり）
実際の場所に立ってみると、やはりカメラのレンズとは遠近感が違うのを実感。
画面上では外堀通りの向かい側を歩く人などが近々と見えたのに、
ぐるっと回る通路の分も含め、二倍以上離れている感じ。
カメラは二重の通路が映らないよう、かなり低めに狙っているのだろう。
位置からすると、植え込みの中に入って二人を映したように思われる。
仁の右手に見えている葉っぱはマロニエ。野口の左は桜の樹。
＜外階段＞
お隣の東京医科歯科大学の建物群が同じ敷地内にまとまっているのに比べ、
順天堂のほうは、たくさんの建物が道路を挟んでいるので、
館から館への渡り廊下で連結されている。
http://www.juntendo.ac.jp/hospital/intro/map_parking.html
このメインの建物である1号館と2号館の間は、それなりの幅の道路なので、
長めの連結歩道橋が設置されているし、
2号館と9号館の間にも細めの裏通りをまたぐ屋根付きの渡り廊下。
私としては、あのタバコを吸いに外階段に出て来た野口と、
階段上から降りてくる仁との会話部分が非常に印象的だったので、
この外階段の位置は是非とも確認しておきたかった。
外階段の下のほうに、屋根付きの渡り廊下や道が見えているから、
多分すぐ分るだろうと思っていた通り、これは2号館の外階段。
渡り廊下は9号館へとつながっている。（↑地図参照）
画面を見る限りでは、会話しているのは渡り廊下のすぐ上あたり。
上の方から降りてくる仁を待つ野口の後方に白い囲いと茶色いビルが見えるが、
現地を見てみると囲いは5号館回りの工事のためのようだった。
ビルの方は順天堂の敷地の隣の天野ビル（文京区本郷2-8）。
カメラが切り返して仁の顔をとらえると、
バックに「…お茶の水学院」と大きな文字のあるビルが映る。
これは神田川の向かい側にある「池坊お茶の水学院」（千代田区神田駿河台2-3）。
例によってカメラのレンズマジックというか、
画面ではぐんと近く見えるけれど、実際にはだいぶ遠い。
ああだこうだ言いながらこの狭い通りを行きつもどりつしていると、
警備の方から「JINの場所ですか？」と声を掛けられてしまった。
「今日はもう2組目ですよ」と続けて言われる。
あとで再び通った時には、「あれからまた3組いらっしゃいましたよ」とも。
皆考えることは同じか。やはり『JIN』は人気なのですね。
(『Mother』の時はあまりにマニアックすぎて、いつも一匹狼だった）
こんなことでもないと、順天堂の施設の場所を詳しく見ることもなかっただろう。
9号館の後ろの7号館が、有山記念図書館だということも初めて知る。
＜元町公園＞
「あの公園はこちらですよ」と親切な警備員さん。
元町公園の場所は確認しているし、
外堀通りを行けばそこに面しているのも承知なのだが、
せっかくのご好意なので、2号館と9号館の間の道を通り（やや上り）、
8号館の角を左に折れてしばらく行き、左に少し下ると元町公園（文京区本郷1-1）。
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_kouen_annai_kuritukouen_kouen_motomachi.html
こちらは脇の側で、児童公園としての遊具などもあるが、
何しろ大正時代の関東大震災のあと、
震災復興公園として設置されただけに、一部の遊具はかなり古い。
滑り台が昔の台所の流しのような石の素材なのである。
でもデザインはシンプルにして優美だし、好感度大。
外堀通りに面した入口は、正面階段の突き当たりの壁泉が目を引く。
アーチ形が連なるデザインがうつくしい。
上の広場へと至る左右対称の階段のそばに、キスゲのようなオレンジ色の夏百合。
左手のほうに進むと藤棚があり、道を見降ろす小さな塀に十字形の透かし。
それに向き合うようなかたちで、仁が手紙を読んだ場所がある。
画面を見ても非常に印象深い、段々になった植え込みのようなものは、
水階段とも呼ばれるカスケード。両脇に人が歩く階段がある。
今は水は流れていなくて、いささか澱んでいたけれど、この意匠は本当に趣がある。
画面を見ると、仁は左手の階段のすぐ脇のベンチで咲からの手紙を読んでいるが、
現地のベンチはもっと左手だし、造り付けで移動不可能だから、
撮影の時は小道具のベンチを階段すぐ脇に置いて撮影したものと思われる。
それにしても良い場所を選んだものだなあ。
この公園は二層になっているので、外堀通りに面しているとはいえ、
一段上がっていてひとの目には触れにくく、静かな感じがするのだ。
こういう古風な場所が残っているのも、このあたりのよいところ。
『JIN−仁−』がお茶の水界隈でロケされて本当に良かった。
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