昨日は朝起きてから夜寝るまで(もしかして寝てからも)、
前嶋さんのピアノが頭の中でエンドレスに鳴り響いていた。
とても確かな音で。
あの曲の数々がこんなにも私のなかに根付いてしまっていたなんて、
うかつにも東京公演が終わってから思い知らされた。
その音に乗ってドリアンが動いている。
叫んでいる。眉をひそめている。涙を流している。
ナイフを手にしている。
「僕は結婚なんかしないだろうな。
結婚するにはあまりに激しい恋をしているから」
「あなたほど僕を理解してくださったかたはいません」
「残念ながら君は理想の人間ではなく、俺の魂を描いたんだ」
「やめろ」「やめないと二度と祈れなくするぞ」
「またお会いできないかと思いまして。…駄目ですか?」
「僕は彼女に、悪人であることを告白しました。
…でも、彼女は笑いながら、悪人はきまって老いぼれで、
とても醜いと言うんです」
ドリアンは頭のなかで語り続ける。
わずかな間にその姿はあまりにも鮮やかに焼き付いてしまった。
去りし後、こんなに愛してたことに今更気づく。
そんなわけで、脳内再生のよすがとするため、
ドリアンの声を今書き留め始めています。
ああ、今回は書き起こしなどやらないつもりでいたのに…
またKさんたちと突き合わせ作業をすることになるんだろうなあ。
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