君は、物は何でも手前からむこうを向いていないと気がすまないようだね。
たしかに、玄関のくつ
アパートの駐車場の車
なるほど、まつ毛の先
帽子のつば、鉛筆
君は、僕の助手席で、うつらうつら。
右に曲がる時、窓ガラスに頭をぶつけ、
「は、」
左に曲がる時、君の右手を僕の左手に落として、
「あぁ、ごめん」
出発地点から到着地点までの道は直線で、左右に揺れながらむこうを真っ直ぐ向いて。
車はバックしてはいけない
車庫入れなんてもってのほか
そういえば、
棚には人形がない
(試しに置いてみるか)
そうか、本は背表紙
君はむこうを向いて、いつか出ていく。
玄関のくつ、
こちらに向けて置いてみようか。
※当然、フィクションです。
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