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日記一覧

音楽千夜一夜 第377回誰もがシューベルトのように「白鳥の歌」を歌います。松尾芭蕉の生前最後の句は、「旅に病で夢は枯野を駆け廻る」でした。与謝蕪村は「しら梅に明くる夜ばかりとなりにけり」と歌って死にました。子規の絶筆3句は、「糸瓜咲て痰のつ

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照る日曇る日 第913回戯曲家としても知られる俳優のサム・シェパードが書いた小説を、敬愛する小竹さんが翻訳されたと思って、手に取りました。題名もいかにもシェパードらしいし、表紙は宇宙飛行士だからこれは映画「ライトスタッフ」のノリだろうと思っ

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照る日曇る日 第912回次々にヒットを飛ばしているシリーズだが、今回は古典演劇物である。能や文楽や歌舞伎の見物に行こうと思っても、その演目の内容が分からないとつい二の足をタタラに踏むことが多いが、それらの芸能の代表選手の原作をノベライズした

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蝶人物見遊山記第223回〜これでも詩かよ第196番なんというても、芸術の秋じゃ。半蔵門で午前11時から午後4時15分まで「忠臣蔵」を見物したあとで、おらっちの大嫌いなロッポンギくんだりまで痩骨に鞭うってひいひいやってきた。  ダリだ、ダリだ

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ある晴れた日に 第417回「オレの生徒にクズはいねえんだよお!」耕君、それなあに?ドラマの「GTO」ですお。「お父さん、体が悪くなったら病院でしょ?」「そうだよ。耕君どこか悪いの?」「悪くないお」「悪くなったらお父さんにいうんだよ」「はい、

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照る日曇る日 第911回お名前何とおっしゃいましたっけと言われ斉藤としては斉藤とするという冒頭の1首から始まってちょっとどうかと思うけれどもわたくしにわたしをよりそわせてねむりますで終わる作者の第1歌集です。この方の斉藤斎藤ですが、斉藤が名字

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蝶人物見遊山記第222回もう印象派なんかさんざんみたからどうでもいいけど、せっかく上野に来たんだからちょっと覗いてみるか、というようなノリで乗り込んだ都美術館でしたが、これが想定外に面白かった。何が? ゴッホ対ゴーギャンという2人の男の構図

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照る日曇る日 第910回哲学的紀行文「紀州」、佐藤春夫、谷崎潤一郎などの作家論を集めた「物語の系譜」その他の雑篇からなる本巻では、部落問題の本質に迫った「紀州」の最終章も興味深いが、もっと刺激的なのは、古今東西の文献や思想を自在に引用しつつ

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照る日曇る日 第909回わが敬愛する歌人の15冊目の最新の歌集です。まずはこの題名、「ビビッと動く」に驚かされますね。誰でも作者は若者かと思うでしょうが、著者の奥村氏はじつは1936年生まれのちょうど八〇歳なんですね。その年齢を超えた軽やか

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蝶人物見遊山記第221回クラーナハ。はてな?名前は聞いたような気がするけれど、作品をみるのははじめての絵描きさんです。1472年に生まれて1553年に81歳で死んだルネサンス期のドイツ人だそうですが、なんと宗教改革のリーダーとして知られるル

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蝶人物見遊山記第220回先月に続く忠臣蔵の第2部は、お軽勘平の浄瑠璃「道行旅路の花婿」を40分の前座に5段目「山崎街道鉄砲渡しの場&二つ玉の場」、六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」七段目「祇園一力茶屋の場」を朝から夕方近くまでやる。見る方だっ

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自由律詩歌その11
2016年11月19日08:51

ある晴れた日に 第416回天才は天災である君の笑顔だけが私の仕合わせ談論風発がまだせ熊本まくんな熊本人間いつ死ぬか分からないゆえに人間は生かされてある間違いだらけだなんとかしてやれよひどいやつもいるもんだ虚が虚を喰らう空は晴れても心は昏い下

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ある晴れた日に 第415回今朝、アクザワ先生が歩きながら投げ入れたハイライトを、滑川*は黙って呑みこんだ。午後、カナイさんのお爺さんが投げ入れたポチの糞を、滑川は黙って呑みこんだ。夕方、お隣のヒグチさんが投げ入れた垣根のサツキの枝を、滑川は

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ある晴れた日に 第414回チチンプイプイ ブギウギブギトランプはんときたら、ぬあーんと、大統領になりはったんやて。嘘から出た真、瓢箪から駒、驚き桃の木山椒の木あ、大統領、 や、大統領! よ、大統領!メリケンはんの、オマンコと金玉を、ムギュー

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照る日曇る日 第908回著者による最近の文学・思想論集で、1の「災後と文学」では「永遠の0」「東京プリズン」、2の「文学の20世紀以後」では「巨匠とマルガリータ」「私を離さないで」、3の「時代の変り目の指標」では山田太一や沢木耕太郎、村上春樹

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1104フィリップ・K・ディックの「調整局」が原作。神様ではないけれどなんかうさんくさい運命を司る連中がいて、ヒーロー(モト・デイモン)とヒロイン(エミリー・ブラント)を操ろうとするんだが、操りきれなくて2

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照る日曇る日 第907回詩を編者が、短歌を穂村弘が、俳句を小澤實がそれぞれ50の作品を選び、解説を加えながら明治から平成の前半までの詩歌を総括するという気宇壮大なアンソロジーである。現代というても基本的には池澤の生まれた1945年以前に誕生

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第1回富士山大賞授賞式
2016年11月12日21:54

蝶人物見遊山記第219回秋晴れの好日、今年から始まった富士山にちなんだ短歌を募る大会があり、佳作の末席を汚したわたくしめもその表彰式に行ってきました。というより、選考委員長は岡井隆、選考委員は三枝昂之。穂村弘、東直子という一度は御尊顔を拝し

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1103終始緊迫した時間を維持しながらラストまでひっぱっていく演出力は立派。アンソニー・ホプキンスのレスター博士とFBI捜査官のジョデイ・フォスターの間で次第に友愛のようなものが形成されていくプロセスが興味

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1102レオナルド・ディカプリオのギャツビーはそれなりに健闘しているが、キャリー・マリガンのデイジーは完全にミスキャスト。トビー・マグワイアのニックも不満が残る。2013年製作のこれよりもやはり1974年の

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照る日曇る日 第906回1920年にドイツで生まれアメリカをのんだくれ、ファックしながら放浪し、94年に白血病で死んだパンク作家によるエッセイ&小説集ずら。この人は郵便局での労働と酒と女と放浪の合間に超マイナー紙誌に無慮無数のエロ話を書き飛

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寅さん2本
2016年11月08日09:38

闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1100&1101○山田洋次監督の「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」をみてあの岡田嘉子、太地喜和子と宇野重吉が一度にみられるという歴史的価値のある映画なり。○山田洋次監督の「男はつらいよ 柴又慕情」をみて19

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1099アフリカ由来の未知の強力ウイルスでパンデミック寸前になるが、そこはやはり映画で、やっさもっさしつつもマールく収まってしまうずら。ウォルフガング・ペーターゼーンの堕落と退廃は言わずもがなだが、ダスティ

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第2章 丹波夏虫歌〜君美の里「健ちゃん、健ちゃん、大丈夫かい。ほれ、ほれ、しっかりしなさい。お母さん、お母さん、健ちゃんにちょっと葡萄酒を飲ませなさい……。 ああ、これで大丈夫だ。気がついたようだ。長旅で着いたばかりなのににぎやかな人ごみで

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音楽千夜一夜 第376回定評あるレーベルからのCD10枚組大安売り版である。中身はバッハのマタイとヨハネの受難曲を2本柱に、パレストリーナ、ゼレンカ、スカルラッティなどだがデ・ローレのヨハネ受難曲、レヒナーの宗教的合唱曲という初めて耳にする

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 蝶人物見遊山記第218回&鎌倉ちょっと不思議な物語第373回毎度お馴染みのブンガクサンポ。今回は「ビブリア古書店の事件手帖」にちなんだ北鎌倉コース。円覚寺から始まって八雲神社、そして光照寺まで歩きました。光照寺は時宗ですが隠れキリシタン寺

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照る日曇る日 第905回第9巻から佳境に入ったこの小説は、著者の死と競争するようにめくるめくラストスパートに突入していく。本巻では、アルベルチーヌを「籠の鳥」に捕えたとはいうものの、我らが主人公マルセルちゃんの疑いと不安は一瞬も止むときはな

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西暦2016年水無月蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op. 245在るものはすべて「ない」のである。「生きる」もない「死ぬ」もない。「きたない」もない「きよい」もない。「ふえる」もない「へる」もない。つまり。「ない」というそのなか

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なにゆえに第32回
2016年11月01日09:27

西暦2016年神無月蝶人花鳥風月狂歌三昧ある晴れた日に第413回なにゆえに「真田丸」と「美しき伝説の商人」の主題歌は似ている時代劇を室内楽で捕捉せんとすなにゆえに谷戸を揺るがせ蝉が鳴く今年の夏はまだ終わらないなにゆえに朝から途方もなく疲れた

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