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日記一覧

闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1366顔、顔、顔、これは奇跡の映画ではなく、顔の映画である。黒白の鋭い陰影を突き抜けて迫って来る、これは人間の顔の映画である。聖書に描かれたとおりの、イエスの誕生から刑死と復活までをなぞる物語のように見え

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照る日曇る日 第1091回これまでに日本文学の通史を読んだことはなかったわけではないが、小西甚一選手の「日本文藝史全5巻」を除いて、どれもこれも退屈&無味乾燥で心に沁みなかったが、幸いにもこの本はそうではなかった。全体を通じてポップでアナー

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邦画いろいろ
2018年06月28日10:07

闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1361、62,63,64,651)宮崎駿監督の「ハウルの動く城」この映画をみていると、アニメーションでは、実写では不可能な、より美しくリアルな世界を描くことができることがわかる。タイトルは宮崎が固執した「ハウルの蠢く

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照る日曇る日 第1090回はじめからおわりの表3まで、恥部も露わな痩せた孤独な女が、「トモダチ」をつくりたいとさ迷い歩く、いささか風変わりな漫画である。われらが自分の頭を叩けば、しゃれこうべの音がする。そのコツコツと響く虚しい音を聴かされ、

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照る日曇る日 第1089回森は木で、鋼は弦で、羊はハンマーのフェルトで、それらが三位一体となってピアノがつくられるというが、これはめずらしや調律師を主人公とする、感動的というまでには至らない、ちょっと少女小説のように甘めのビルダングスロマン

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照る日曇る日 第1088回冒頭でタイトル通りアルベルチーヌは消え去って逃げ去ってしまうので、主人公は多大の衝撃を受けて、例によって例の如く毒にも薬にもならぬ超主観的な脳内思弁を繰り返すので、こいつ女の気持ちも分からんな、なんちゅ阿呆かいな、

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蝶人物見遊山記第286回&鎌倉ちょっと不思議な物語第402回鎌倉文学館で開催されている「明治、BUNGAKUクリエーターズ展」(7月8日まで)に協賛して、我らがタカハシ源チャンが登壇する「明治150年の文学」講演会が開催されるというので、降りしき

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照る日曇る日 第1087回死語となりはてたはずの「国体」はどっこい戦後も今もしたたかに生きていた、という「思い付き」を、様々な知見と力動的な思考で実証しようとしているが、限られたスペースの中であまりにも多くのことを猛烈な勢いで詰め込もうとす

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照る日曇る日 第1086回1981年に双葉社から出版されたあの有名な「AKIRA」以前の作品だが、最近つくづくニッポンが嫌になっている私には、こちらのほうが親しみが持てる。「さよならにっぽん」は、なんらかの理由で離日してNYで徒手空拳で柔道&空

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照る日曇る日 第1085回1982年から翌年にかけて「ガロ」で連載された、ご一新前後の彰義隊をめぐる若者たちの物語で、もしかすると著者の最初の作品集ではないだろうか。これは映画化されているようで、2回ほど見物しかけたが、どうにこもうにも見る

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照る日曇る日 第1084回1996年5月、著者は自宅付近で大型四輪駆動車にひき逃げされ、一命は取り留めたものの、現在まで続く創作に従事できない長い長い療養生活に入るが、この作品は、その直前まで月刊「ヤングロゼ」の連載されていた「万事快調」「

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闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1357,58,59,601)リチャード・ドナー監督の「リーサル・ウェポン」脚本の勝利。愛する妻を亡くして自棄自暴に陥っているメル・ギブソン刑事という設定が効果的なバックグラウンドになっていて、その上に黒人の相棒ダニ

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照る日曇る日 第1083回これは1994年から45年にかけて祥伝社の「フィールヤング」誌に掲載された表題作の「私は貴兄のオモチャなの」をはじめ、「でっかい恋のメロディ」「虹の彼方に」「3つ数えろ」の4つの中編を収録したものである。映画などに

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照る日曇る日 第1082回昔から映画では小津安二郎、山田洋次、最近では是枝裕和、テレビドラマでは山田太一、坂元裕二などがこの国の「家族」のありよう、を見つめてきたが、岡崎京子のこの作品などは、その視線の鋭さと深さにおいては、先行者たちのそれ

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照る日曇る日 第1081回プロバンス地方の荒廃の山野に、毎年倦まずたゆまず3万個のドングリの実を植え続け、ついに豊穣なる緑の王国に変えてしまったつましい農夫の「奇跡」の物語です。どうやら著者のジオノの父親がモデルになっているようですが、この

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照る日曇る日 第1080回「ちょっとピンボケ」で有名な、1913年生まれのユダヤ系ハンガリー人のカメラマン、エンドレ・フリードマンの写真集です。これは夭折した恋人ゲルダ・タローとの共同ネーム「ロバート・キャパ」が遺した、およそ7万点のネガか

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蝶人物見遊山記第285回今回の演目は舞囃子が、喜多流の「忠度」、金春流の「巻絹」、宝生流の「絃上」でしたが、「忠度」が安心して見られました。「巻絹」のシテはなんだか舞の所作がぎこちなく大鼓を激烈に叩き過ぎるうえに小鼓ともども地謡を消すほど掛

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恋の2本立てずら
2018年06月13日07:46

闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1355,561)スティーブ・クローブス監督の「恋のゆくえ」ボー・ブリッジとジェフ・ブリッジ兄弟のピアニストに紅一点のミシェル・ファイファーがボーカルで絡む。ブリッジ兄弟のピアノは誰かが弾いているが、ファイファ

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照る日曇る日 第1079回今は亡き「平凡パンチ」に1988年の3月から11月まで連載されたそうだが、最初のほうは、ほとんど試作とデッサンくらいの恐る恐るといった風情の浅い入り方で、先が危ぶまれるくらいだから、これは作者もさることながら、半分

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照る日曇る日 第1078回 1994年に祥伝社から発行されたこの本には、表題作を含めて「VANPUS」、「ひまわり」「水の中の太陽」「乙女ちゃん」の5つの短編が収められていて、どれもそれぞれに面白いとしか言いようがないが、本書に見るかぎり作者の脳

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照る日曇る日 第1077回&闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1354 原爆とその被害の状況をこれくらい生々しく描きだしたドキュメントはどこにもないだろう。私たちはもう一度この文章を読んで、いかに核が恐ろしい被害をもたらすか、戦争が民草の日

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ある晴れた日に第514回なにゆえに世界はしんと静まり返る金トランプの一騎打ちを前になにゆえにトキオの誰それがどうしたこうしたそれが国家の一大事かよなにゆえにこれから藤沢に行きたいという小田急の回数券を買うんだとなにゆえにイチローは身を引いた

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照る日曇る日 第1076回 何についてどう語ろうかと手さぐりしながらそれでも死者の俤なぞをぽちぽつ語り始めるうちに、霧の中からおもむろに姿を現す戦前、戦中、戦後のひとの世のいとなみ。やっさもっさを呟いていたはずの作者の後ろ姿は、ふと気がつけ

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家族の肖像その35
2018年06月07日08:58

ある晴れた日に第513回落語ってなに?面白い話をすることだよ。お父さん、安いって割引のことでしょ?うむ、まあそうだね。おばあちゃん、寝られなかったね。うん。おばあちゃん、亡くなったよね。うん。ドクターゴン、ドクターゴンよ。お母さん、ぼくはム

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西暦2018年睦月蝶人酔生夢死幾百夜私は、近づいてきた極右ファシストの独裁者に向って、拳銃を右手で握って、顔面など数か所に弾を撃ち込んでから、ゆっくり引き揚げたのだが、彼奴は死んではいなかった。どうやら、いつものように左手で撃たなかったのが

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蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.294国内で追いつめられると、すぐに海外に脱出して「お得意の」外交に取り組んで大枚の札びら、すなわち税金をばら撒き、支持率が上昇するのを待つという安倍蚤糞のいつもの手口なり。5/1せっかくイチロ

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ある晴れた日に第512回なんとなく我らも勇気づけられる92歳で首相になったマハティールさん生きとるんかはたまたすでに死んどるんかわいらあよお分からん今も雀の子メダカかたばみシジミチョウ小さきものはみな愛し宝くじに当たってからは伸び伸びと風景

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鎌倉百景その1
2018年06月03日09:27

ある晴れた日に第511回〜西暦2018年皐月蝶人花鳥風月狂歌三昧雪ノ下にsous la neigeてふ店ありき巴里のやうな装いなりしが死病とてライフル猟銃で心臓を打ち貫きて死せる人ありなにゆえに小林理髪店はがらがらなのか連休初日だというになにゆえに駐車

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照る日曇る日 第1075回鎌倉蝶という言葉には、なんとなく惹かれるものがある。鎌倉蝶というのは鎌倉特産の珍しい蝶かと思っていたのだが、そういうことではなくて、昔から主にクロアゲハなどのアゲハチョウをその名で呼ばれることがあったらしい。古くは

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蝶人物見遊山記第284回ブルーノ・ムナーリの絵本「木をかこう」を読んだら面白かったので、本展覧会に行ってみたのだが、もっともっと面白かった。この人(1907-1998)は啓蒙的な絵本作家であるばかりではなく、 なんでも考えてなんでも創る、言

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