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日記一覧

照る日曇る日 第1207回村上隆の人と作品について、この国の人々の評価は、かつての村上隆と同様、(もう一人のムラカミである村上龍はいつのまにテレビ局の裏口に消えてしまったが)毀誉褒貶の只中にある。本書では、世界の芸術家を目指す人たちがぶち当

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照る日曇る日 第1206回全集といっても分厚いのが1冊だけであるが、それがかなり格好良いのだ。著者は1813年にドイツに生まれ、23歳で死んだ戯曲家、動物解剖学者で、フランス革命でギロチンの刃の露と消えた革命家の最後を描いた「ダントンの死」、それ

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照る日曇る日 第1205回第2巻が面白かったので、これに手を出す。山折哲雄、長谷川公茂、河合雅雄氏との対談だが、どれも興味深い内容だ。 本書の中で河合氏は、名著「攻撃」で有名な動物学者ローレンツの、「人類は異星人の攻撃で大同団結しない限り、世

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照る日曇る日 第1204回全編を通じて技巧の限りを尽くした達意の名文にうならされる。 まずは奇妙なタイトルで戸惑うが、この本は五十肩に悩む著者が実際に中国に旅行して按摩をしてもらう話、でもある。 しかし著者が出かけるのは中国だけではない。「肩

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照る日曇る日 第1203回これは、2017年8月号から隔月で昨18年10月号まで「群像」に連載した8本の短編を集成したもので、当年とって81歳になる老文学者の最新作です。作者は歌人奥村晃作氏とほぼ同年ですが、さすがに加齢や病気の話柄は増えた

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西暦2018年葉月蝶人酔生夢死幾百夜マガジンハウスの編集部で、サワダ選手が「今日はお世話になったのでなんか美味しいものでも食べましょうか」というた途端に、目の前の日程表がずり落ちたので、左隅の画鋲を刺しているうちに、誰もいなくなった。8/1あ

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蝶人物見遊山記 第304回金婚の佳き日を迎えたIご夫妻のお招きを頂いて、久しぶりに箱根を訪れ、楽しい2日間を過ごしました。いつもそぞろ歩く湿性花園は、春なお遅くまだ開いていませんでしたが、2つの美術館を探訪することができました。ポーラ美術館

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照る日曇る日 第1202回校注の浅野三平氏によれば、享和19年(1734)に大坂で生まれた著者の上田秋成は、生後間もなく父母に捨てられて上田家に引き取られたが、疱瘡で右の中指を失い、「性多病にして時々驚癇を発す」る人物であったそうだ。後年苦

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照る日曇る日 第1201回こないだ、1968年に、一艙の船で南米ブラジルなどの南米諸国に渡った、日本人家族の軌跡を、半世紀に亘って取材し続けた「乗船名簿AR29」という番組をみました。元NHKディレクター相田洋氏の執念が、乗り移ったドキュメ

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闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1952〜19621)塚本晋也監督・主演の「野火」市川昆と違って強烈な色彩と美しい自然、戦死、戦傷の悲惨さの激情的な演出が際立つ。特に人肉喰いを描くシーンの凄まじさが凄い。2)鈴木清順監督の「夢二」いちおう竹久夢

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音楽千夜一夜 第425回毎日毎日人が死ぬ。自分より若い人もじゃんじゃん死んでいく。おらっちもいつ死ぬか分からない。んで、死に土産に、こいつらも聞いておきたいと思って、お金も時間も置き場所もないのに、トチ狂ってクナッパーツブッシュの203枚組

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ある晴れた日に 第552回お父さん、埼京線、終点は大宮でしょ?そうなの?お母さん、ぼく、ドクダミ好きですお。そう。お母さんも。ド、ク、ダ、ミ、好き!お母さん、一人ぼっちって、なに?一人だけのことよ。お母さん、このさい、ってなに?お母さんはね

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照る日曇る日 第1200回ジョン・チーヴァー(1912-1982)は50年代からニューヨーカーを拠点に数々の短編小説を書きまくったアメリカの作家だが、村上春樹がいうとおり、時代に流されない確固とした個性と骨格を保持し続けた、かけがえのない才能の持ち

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照る日曇る日 第1199回わが敬愛する歌人の17冊目の歌集が著者82歳の初春に上梓されました。満81歳の1年間に詠まれた作品の中から選ばれた409首です。 高橋が筒香(つつごう)をゴロに打ち取った三分間の大仕事よし 白鵬の体(からだ)意外に小さ

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闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.19412〜194211)ラッセ・ハルストレム監督の「ギルバート・グレイプ」ここで登場する発達障害児、ディカプリオが長じてあのデカプリオになるとは夢にも思わなかったなあ。確かウシガエルに空気を入れて破裂させるシー

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ある晴れた日に 第551回お母さん、イソウロウってなに?何もしないでおうちに居続ける人のことよ。ぼく、光触寺と報国寺好きですお。そうなの。じゃあ行きましょうか?いやですお。ぼく、岡田准一になりました。こんにちは、岡田准一さん。お父さん、加藤

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照る日曇る日 第1198回題名からして童話ではないかと想像していたら、そうではなくて短編小説集だったのであてが外れたが、どの作品も、ちょっと奇妙な味わいの大人の童話、というても差し支えないでしょう。極力本邦伝統の私小説の趣から遠ざかり、独自

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幸いなるかな
2019年02月09日09:59

これでも詩かよ第253回コウ君が笑うと、世界が輝く。ケン君が笑うと、世界が揺れる。私が笑うと、突然、世界が歪む。そこで、ミエコさんが笑うと、世界が溶ける。ああ、幸いなるかな、まだ笑うことができる者たちよ。幸いは、微笑みの中にある。そのとき世

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自由律詩歌 その40 
2019年02月08日10:20

ある晴れた日に 第550回ひきひきひき ひくひくひくひけひけひけひこひこひこひさひさひさひしひしひしひすひすひすひせひせひせひすひすひすひせひせひせひそひそひそひたひたひたひちひちひちひつひつひつひてひてひてひとひとひとひなひなひなひにひに

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照る日曇る日 第1197回2段組638頁の本巻には父あるいは天皇制をテーマとした「父よ、あなたはどこへ行くのか?」、「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」「みずから我が涙をぬぐいたまう日」、「水死」を主軸に、60〜70年頃に書かれた中短編「狩

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西暦2018年文月蝶人酔生夢死幾百夜不思議なことだ。あんなに滅茶苦茶に汚れていた部屋が、私がベッドで眠っている間に、塵一つない整然としたピッカピカの部屋に、生まれ変わっていたのだ。7/1さるアーチストから連絡が入って、開場寸前の展示会の出品商

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照る日曇る日 第1196回「不思議の国のアリス」の続編であるが、正編と同様さほど面白いものではなく、まして世紀の傑作であるなどと泣いて喜ぶほどのファンタジーでもない。「不思議の国のアリス」ではトランプが出てきたが、本書においてはナボコフの「

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照る日曇る日 第1195回奈良時代の薬師寺の僧、景戒が主に聖武天皇の御代の事跡を中心にコレクトした多種多様な勧善懲悪物語であるが、その顕現の在りように霊異的な類例があるので、このようなタイトルになった。らしい。正式には「大日本国現報善悪霊異

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蝶人物見遊山記第303回今回の出し物は、舞囃子が観世流の「高砂」、金春流の「忠度」、喜多流の「唐船」、独吟が宝生流の「羅生門」、狂言が和泉流の「蚊相撲」、能が観世流の「胡蝶」と宝生流の「春日龍神」でした。育成の会とはいえ、栗林祐輔選手の笛と

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蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.303年が明けたが、なんの感慨もない。徒に馬齢を重ねてやろうと思うのみ。去年と変わらない青空をきれぎれの白い雲が流れている。あ、そうだ元旦の朝の残んの月と金星は、殊のほか綺麗でしたね。1/3モザ

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ある晴れた日に 第549回なにゆえに子供はどんどん大きくなる大人はだんだん縮んでいくのになにゆえに地震は熊本を何度も襲う満遍なく全国に散らばれなにゆえに年が明けても悪が蔓延るぶち壊さんとアカンかもしれんなにゆえに時代は虚ろに進みゆく我らの幸

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