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日記一覧

西暦2015年神無月蝶人酔生夢死幾百夜極寒の僻地にあって九死に一生を得た私らは、ようやく郷里に帰還しようと寒村の小さな駅に辿りついたのだが、プラットフォームに立つと、アテルイという名の記された深紅の長い長い貨物列車が、轟音をあげて通り過ぎて

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照る日曇る日第883回2000年を過ぎてからしばらく夢中になった短歌に飽きてきた頃、(私はなんでも2年で飽きるのです)、谷川俊太郎選手の詩と出会った。もちろんそれまでにも彼の詩を読んでいなかった訳ではなかったが、当時朝日新聞に毎月1回連載さ

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寄せ集め洋画3本立
2016年07月29日10:44

闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1057、1058、1059○シドニー・ポワチエ主演・監督の「ブラック・ライダー」をみて1971年のアメリカ西部劇映画。シドニー・ポワチエが黒人を率いて西部の新天地を目指す苦労話ずら。にわか牧師に扮したハリー・ベラ

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照る日曇る日第882回 詩は時間の経過とともに現実の素直な描写やそれにともなう感情の吐露を離れて、もっと非現実的な世界、主観的で複雑な心象の世界へと表現を純粋に特化してゆく。 それが詩の近代化とか現代化という現象なのだろうが、その道行きがそ

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照る日曇る日第881回「日本近代詩の父」というレッテルを貼られている詩人であるが、さあそれはどうだろうかなあ。ボードレール並みとはちょっといかないと思うよ。でももしそうなら「日本近代詩の母」は中原中也ということになるんかなあ。私が昔から好き

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照る日曇る日第880回ここに登場して思い思いに云いたいことを喋っている3人の若者に私はなぜだか羨望を覚えた。彼等は高橋選手や私らの時代とは違って、自分の言葉で自分の思想を自由に語っている。彼等にとって政治や運動は構えてする特別のものではなく

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由良川狂詩曲
2016年07月25日10:58

連載第1回プロローグ ある晴れた日に 5月のはじめのある晴れた朝、健ちゃんが洗面所の水道の蛇口をひねった途端、長さ10センチ足らずのほっそりしたウナギが、キュウキュウ泣きながら、水盤の底へとまっさかさまに吐き出されてきました。 ウナギは、真

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邦画2本立て
2016年07月24日09:37

闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1055&1056○「ペコロスの母に会いに行く」をみて認知症の母親とその息子の葛藤と愛を描く。最後に母親の幻視のなかに浮かび上がる昔の家族と一緒の姿が感動を呼ぶ。○原田真人監督の「金融腐敗列島 呪縛」をみて銀行

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照る日曇る日第879回「京の夢大阪の夢」、「少将滋幹の母」、「少将滋幹の母 乳野物語」、「幼少時代」の4著作を柱にした本巻ですが、私は2番目が一等面白く、次点は4番目の作品でした。谷崎という人は母親に特別の感情を懐いた作家で、それが「母を恋

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1053&1054○ドン・シーゲル監督の「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」をみてエイリアンがいつの間にか侵入して愛も感動もないそっくりさんを増殖させていくという怖い話をなんとサム・ペキンパーが書き、才人ドン・シ

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音楽千夜一夜 第371回私は花鳥風月にだけは恵まれた田舎で育ちましたが、音楽的な体験はほとんどありませんでした。家にあったヤマハの古いオルガンで賛美歌を自己流ででたらめに弾くくらいが関の山で、家でクラシックのレコードを聴いたことなど一度もあ

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音楽千夜一夜 第370回イタリア弦楽四重奏団のモーツァルトの「ハイドン・カルテット」を70年代の旅先で耳にしたときは、最初の一音で陶然となって、なぜだか涙が出て仕方がありませんでした。ああ、これがモーツァルトだ。これが弦楽四重奏だ。これが弦

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ある晴れた日に 第389回某月某日地下道ですれ違おうとした男が、いきなり私の腰に腕をまわしてエイヤとぶん投げようとしたので、そうはさせじと、こっちも彼奴の腰に腕をまわしてナンノナンノとこらえていると、いつのまにか周りに人だかりができた。する

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ある晴れた日に 第388回総務課の川口課長から電話があって「ちょっと話がある。今すぐ行くから」というので、部下の酒井君と待機していると、来期の経費計画をすぐに出せという。「おらっちはよう、安倍蚤糞は失敗すると読んでいるけどよお、株式の投資が

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ビートルズもんの2本
2016年07月16日07:57

闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1051&1052○マイケル・エプスタイン監督の「ジョン・レノン ニューヨーク」をみて2010年製作のドキュメンタリー映画ずら。レノンがロスで羽目をはずして浮気して、頭に来たヨーコにしばらく許してもらえず結局エ

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照る日曇る日第878回大岡信は水の男であり、水の詩人である。かつて私は彼が生まれ育った静岡県三島市を訪れたことがあるが、町中の至る所に富士山から湧きだした透明な伏流水が日夜滔々と流れ、その流れと共に人々が営んでいる温和な暮らしをある種の桃源

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1050人世にくたぶれたやさぐれ探偵ロバート・ミッチャムの心の隙につけこむのは触れればおちなん臈長けた元娼婦現市の金持ち実力者の妻のシャーロット・ランプリングずら。こういう魔性の女の手にかかったら、男は身も

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照る日曇る日第877回本巻では巻第七の「清水冠者」から巻第九の「小宰相身投」までを例によって達意の名文で現代語訳している。思えばつい最近まで都で安倍蚤糞のように偉そうに威張り返っていた覇者平家が、源三位頼政の一点突破発作的突出によってたちま

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1049タイトル通りにヒロインの女の子が主人公なのだが、私はあんまり好きになれなくて、むしろ初恋役の男の子のほうが心に残った。彼は蜂に刺されてアレルギーで死んでしまうのだが、何を隠そう私も彼と同じ蜂アレルギ

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.10481944年12月、敗色濃厚になった独軍がアルデンヌの森で起死回生の反攻大作戦をおっぱじめるがやっぱりみじめに敗退してしまう第2次大戦余話ずら。前半は格調高い展開だが、終わり際では独軍戦車指揮官がクレ

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照る日曇る日第876回本書にはカナダの若い作家が10数年に亘って書きためた7つの短編がおさめられている。陸上競技のランナーの勝負に生きる厳しさと孤独を鮮やかに切り取った「ミラクル・マイル」、表題の「煉瓦を運ぶ」の青春の光と影の一瞬の暗転も、

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音楽千夜一夜 第369回管弦楽曲はピエール・ブーレーズとクリーブランド管による2度目の録音であるが、最初の鋭角的な切り込が消えて全体的にまろやかな仕上がり。人はそれを円熟というかもしれないが、これではブーレーズらしさがまるでない。ピアノ曲で

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1047なんとなくビスコンティを思わせる悠揚迫らぬ格調高い語り口に引き込まれて珍しく最後まで一気にみてしまった。スコセッシも少しはビスコンティを意識しているのだろうが、主人公のダニエル・デイ=ルイスはまあい

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蝶人物見遊山記第212回&鎌倉ちょっと不思議な物語第369回萩原朔太郎(明治9年1886年〜昭和17年1942年)は鎌倉を3たび訪れています。最初は大正2年1913年5月10日から14日の4日間で、27歳の朔太郎は妹ユキを同伴して、彼の初恋

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1046所詮はこの世ではうまく生きていけないかかし同士の哀しい同行二人の1973年の道逝き物語。冒頭の出会いのシーンはアメリカ風の能のようだ。乱暴者ジーン・ハックマンの乱暴で刑務所に入れられた二人だが、その

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闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1033、1044、1045○クリント・イーストウッド主演・監督の「センチメンタル・アドベンチャー」をみてイーストウッドが瀕死のカントリー歌手に扮して実の息子のカイル君に助けられながら一世一代の録音を敢行して死んで

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蝶人物見遊山記第211回〜これでも詩かよ第179番&ある晴れた日に第387回印象派は大好きで、昔はなんでもかんでも見に行っていたのだが、だんだん飽きてしまひ、ゴッホ以外はもういいやと思っていた。ゴッホ、ゴッホ、ゴホゴホ。ロッポンギにルナちゃん

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照る日曇る日第875回古典の注釈本はたくさん出ているが、この新潮日本古典集成新装版の最大の特色は、その校注もさることながら、文末に置かれた解説「平家物語への途」の素晴らしさにある。氏はまず、この物語が「将門記」、「陸奥話記」に始まり、「保元

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なにゆえに 第28回
2016年07月02日08:18

西暦2016年水無月蝶人花鳥風月狂歌三昧ある晴れた日に第386回なにゆえにおむつ代だけで1月5万もかかるのか貧乏人は入院できないなにゆえに鼻や口に乱暴にノズルをつっ込むもっと患者を優しく扱えなにゆえに意識があるのに手足が動かぬこんなに酷いこ

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ある晴れた日に第385回二十四の高齢男子の一人とて三色丼に取り組む料理教室デジカメが向けられるたびにVサインしている愚かな男よ英国がEUを離脱するというので大騒ぎ私は朝からフルニエを聴くEUを離脱したる英国と同盟結んで米から離脱「争点」議論

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