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日記一覧

いつか私が人間だった頃
2021年05月31日10:22

これでも詩かよ 第293回いつか私が鳥だった頃、私は瑠璃色の翼で覆われたルリビタキだったが、赤いモミジの葉っぱをついばんでいる間に、飢えた台湾リスに食べられてしまった。いつか私が魚だった頃、私はウナサブロウという名の天然ウナギだった。ある日

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これでも詩かよ 第292回台湾リスが、庭の蜜柑を全部食べちまったよええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやんご覧、カラスどもが、寄ってたかってトンビを苛めてるええやん、ええやん、そんなこたあ、どうでもええやん売れない絵描きは、どうや

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照る日曇る日 第1585回もっと長生きできたのに、何故か生きる気力を喪失して自死同然にフルベンが死んで、トスカニーニはワーグナーの演奏が途中で分からなくなって突如引退し、その直前に未来を嘱望されていた後継者のカンテルリが飛行機事故で夭折し、

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闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2568〜771)グザヴィエ・ドラン監督の「トム・アット・ザ・ファーム」2013年製作の男同志の愛の物語だが、あんまり惹かれなかったのは私が最近車に轢かれたからだろう。2)トーマス・ビルテンゾーン監督の「ホーム

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照る日曇る日 第1584回著者の2人がゲスト共にいろんな所を訪れて短歌を「吟行」しようという面白い企画です。こういう気軽な企画物とはいえ、そこにかえって登場人物の隠された人柄や人間性や資質のあれやこれやがはしなくも露呈するのはじつに興味深い

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照る日曇る日 第1583回「乳と卵」で芥川賞、「先端で、さすわさされるは そらええわ」で中原中也賞を獲った作者による2012年の詩集。表題作のほか「戦争花嫁」「治療、家の名はコスモス」「バナナフィッシュにうってつけだった日」など全9編をあつめた

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闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2558〜671)小林正樹監督の「怪談」武満徹の音楽は、映像に対峙し、映像と共に新次元へ飛翔する独創的な「音の創造」に全力を尽くしている。2)黒沢清監督の「アカルイミライ」2003年公開の話題の映画。脚本と演出

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照る日曇る日 第1582回強国トルメキアの侵攻に対しおんぼろ飛行機で偵察を続けるナウシカは、土鬼(ドルク)の船団に遭遇、そこに王蟲の大軍が突撃して三つ巴の戦いが繰り広げられる。ナウシカは、土鬼の罠に嵌った王蟲の危機を救おうと孤軍奮闘するので

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照る日曇る日 第1581回最初は恋に恋するようにウブな学生だった牧水が、超美貌の人妻と巡り会って恋に落ち、さんざん気を揉ませられた挙句に晴れて性交し、その喜びやら煩悶やら悲哀なぞをいちいち歌にして爆発させてゆく。これぞ虚実皮膜の全面展開、藝

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照る日曇る日 第1580回今頃になって読んでみた第138回芥川賞の受賞作品。ここ10年ほどこの賞を受賞した作品を読むたびに失望と落胆、選考委員の阿呆莫迦さ加減に憤りさえ覚えてきたが、この人の、この作品での受賞は頷ける。大阪弁を交えた文章も知

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音楽千夜一夜第475回リハビリの合間にふと思い立って高橋アキさんが弾く武満徹のピアノ曲を聴いてみました。収録されているのは1979年作曲の「閉じた眼」から始まって「ピアノ・ディスタンス」「遮られない休息」を経て、1992年の「ゴールデン・ス

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照る日曇る日 第1579回タイトルに惹かれて手に取った今年3月に初刷が出た著者の最新刊であったが、「主権者のいない国」と題された終章までは、いろいろな媒体に発表された論考の寄せ集め的集積であり、せんじ詰めれば先に出た「国体論」のリピートなの

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音楽千夜一夜第474回ベートーヴェンの交響曲がミミタコで嫌になってきたら、この6枚組をお勧め。リストの編曲ときたら天下一品だし、カツァリスの演奏も水を得た初ガツオの如く新鮮ずら。ベトちゃんのシンフォニーが、いかに面白く滋味に満ち溢れているか

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照る日曇る日 第1578回林養賢と三島由紀夫という副題が付いているが、文学や哲学にも造詣の深い精神病理学者の著者が、金閣寺を焼いた人物と、その事件を小説に書いた作家を俎上に載せてあれやこれやの蘊蓄を語るが、どうもあんまり共感するところはなか

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闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2548〜571)K・S・ラヴィクマール監督の「ムトゥ踊るマハラジャ」1995年のインド製ダンスミュージカル映画ずら。公開当時は症驚いたが、いま見ると退屈でさして面白くもない映画だ。2)ジョン・ランディス監督の「

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音楽千夜一夜 第473回先年力尽きるがごとく泉下の人となってしまったヤンソンスによるラフマニノフの5枚組CDで、3つの交響曲と4つのピアノ協奏曲のほか交響詩、交響的舞曲、私の好きな「パガニーニの主題による狂詩曲」などの代表作が漏れなく収録さ

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照る日曇る日 第1577回こちらは最近村上春樹が翻訳する以前に篠崎書林から出た絵本であり、前者のような省略のない完本であるから、大きなリンゴの木の献身的な愛情と限りない悲哀がズキズキと伝わってくる。感動的な作品ではあるが、リンゴの木が、それ

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照る日曇る日 第1576回「やっぱ本は題名だな」と、つくづく思わせられる見本がこれで、そらあ若い女性の詩集のタイトルが、男性性器の世紀末的比喩が煽情的な関西弁で繰り出されているんやから、いったいどんな中身何だろうと男も女も読む前から期待する

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音楽千夜一夜 第472回8枚組で1390円という値段につられて衝動買いしてみたら、意外や意外、曲も演奏も録音も3拍子揃って優秀なので驚いた。初めて聴く名前だが、ドラティ、モントウーに師事し、ストコフスキーとセルに認められた1938年生まれの

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照る日曇る日 第1575回前書きに書かれているように、この小説は、ローマ帝国植民地時代のイングランド中央部に進駐していた第九軍団が、紀元117年に北上したまま行方不明になってしまったこと。そしてそれから1800年の後、その軍団のシンボルである

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音楽千夜一夜 第470回エリック・サティのピアノ音楽は、タイトルこそちょっと奇妙だが、聴いてみると真っ当な音楽で、それでも5メートルくらい離れて観察すると、世のいわゆる正統派や主流の人たちとはちょっと離れたところで竹林の禅僧みたいな笛を吹い

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照る日曇る日 第1575回2013年から2020年までの足掛け8年間に、石垣島と宮崎で詠まれた418首を集めた歌人の第6歌集である。潮の香のパンツ、靴下、ランニング 少し惜しみて洗いゆくなり生き生きと息子は短歌詠んでおりたとえおかんが俵万智でも日ごとに

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音楽千夜一夜 第469回モザールはやはりアマデウスやイタリア四重奏団の演奏を好む小生ですが、ベートーヴェンとなれば知・情・意を三拍子揃えたこのカルテットに指を屈せざるを得ません。この7枚組CDは1978年から83年にかけてのスタジオ録音です

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照る日曇る日 第1573回森鴎外の末子である森類の人世の照る日曇る日を愛情豊かに描いた評伝小説。フィクションと断ってはあるが、まあ実際この通りの波乱に満ちた生涯だったんだろう。森類で思い出すのは、松本清張の傑作『或る「小倉日記」伝』の「小倉

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照る日曇る日 第1572回ユーラシア大陸の西端に発生した産業文明は1000年後に絶頂期を迎えたが、と同時に急激な衰退の道を辿ることになった。「火の7日間」と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、地表のほとんどは不毛の地と

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照る日曇る日 第1571回さすがに殺人こそ犯さないが、宮澤一族によって意識的か無意識かはいざ知らず、かの天空まで高く聳え立つ「賢治聖人伝説」を一挙に突き崩そうとする「伝説の」1冊である。著者は大方の「賢治教」の信者とは異なり、彼の人間的・芸

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照る日曇る日 第1570回平安末期頃に作られた全31巻という大部の説話叢書で、天竺部5巻、震旦部5巻、本朝部10巻にのぼるが、全体を通して3巻の欠本があり、本書でも冒頭の21巻は欠本している。この新潮版では本朝部10巻を全4冊にまとめているが、天竺部と

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音楽千夜一夜第468回こないだ聴いたブルックナーに続いてメンデルスゾーンの交響曲を聴いたが、東独産ライプチッヒ・ゲバントハウスの地味でくすんだ音色が好ましい。中ではバーバラ・ボニーやペーター・シュライヤーの歌唱が加わった2番の合唱交響曲「賛

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西暦2021年卯月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第390回自分の判断ミスで第4波来襲を招き寄せた張本人のポピュリスト・イソジン知事。緊急事態宣言より効果のない「蔓延防止」で責任を糊塗し、今度は「大阪聖火リレーの中止要請」と来

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ある晴れた日に第649回なにゆえに「蔓延防止」をぐちゃぐちゃといま必要なのは「都市封鎖」だぜなにゆえにやまゆり園を巻き込むのだオリンピックとは関係がないなにゆえにマンボウだけに頼ってるヤンボウニンボウトンボウもあるでよなにゆえに感染退治に投

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