冒頭、辞書が映し出され、「サボタージュ」とは「世間を不安に陥れるために、建物や設備を故意に破壊する行為をいう」と字幕が出る。ジョゼフ・コンラッドの『密偵』を映画化した日本劇場未公開作品。テロを助長する映画として上映禁止になった国もあるそうだ
フランスのギョーム・ブラックの映画は初めて見た。ずっと見たいと思っていた映画監督だ。U-NEXTで見ることが出来た。濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる』を観て以来、映画を一つの形に押し込めて考える必要がないと感じたから、彼の映画も見てみたくなった
久しぶりに川島雄三の古い日本映画を見る。毎日新聞連載の大佛次郎の小説を「銀座二十四帖」が原作。脚色に今村昌平の名前があり、気になって見てみた。今村は助監督にも名前があった。川島雄三は『幕末太陽傳』(1957)、『州崎パラダイス赤信号』(1956)、
アルフレッド・ヒッチコック得意のスパイもの。スパイとメロドラマが結びついた作品で、『汚名』(1946)というケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンの傑作を思い出すが、本作は1936年のイギリス時代の作品。第1次世界大戦最中のスパイ暗躍を題材に
1934年のイギリス時代のヒッチコックのサスペンス映画。『暗殺者の家』というタイトルが付けられ、原題は「The Man Who Knew Too Much」。同じ原題のタイトルでヒッチコックが22年後の1956年、ハリウッドでセルフリメイクした作品の邦題が『知りすぎていた男
これまでにあまりない映画体験だった。ドキュメンタリーのような社会的なある立場の世界観や価値観を見せられたような印象。とても真っ当なことを描いている映画なのだが、まともすぎる印象があった。それでも人と人が出会うことの奇跡的な体験が描かれていて
この映画は公開時に観て好きだった映画なので、今回4Kリマスター版公開ということで、再び観た。市川準の映像センスと静かで澄んだ空気感がなんともいいのだ。西島秀俊による「語り」中心に展開する淡々とした映画だ。会話はとても少ない。村上春樹の短編『
なかなか辛辣で皮肉の効いたロマンチック・コメディだ。ヒッチコック初期の作品で、殺人事件も起きずサスペンスものではない夫婦の愛を描いたもの。脚色に名前があるアルマ・レヴィルはヒッチコックの妻。夫妻の新婚旅行体験が物語に織り込まれているそうだ。
黒沢清の初の時代劇である。しかもエンタメのミステリー会話劇である。戦いがふんだんに描かれるようなアクション時代劇ではない。しかも、黒沢清がいつも描いてきた不穏さや得体の知れない禍々しいものも描かれない。いたって真っ当なエンタメ時代劇であり、
話題の衝撃映画『シラート』を観た後だっただけに、ホッとした気持ちになり癒やされた。死者をいつまでも慈しみ、細やかな生きている日常を大切に過ごしている人々を描いたこの映画は、愛すべき作品だ。映画全体として、カメラやスクリーンのフレーム枠が強調
文豪ジョン・ゴールズワージーの同名戯曲をヒッチコックが映画化したサスペンス。1931年の初期のイギリス時代の作品。上流階級の新旧両家の争い。古くからの土地を守る地主と成り上がりで土地を買いあさり事業を拡大しようとする資本家。対立する両家の息子と
「髪の毛より細く、剣のように鋭い橋」が「地獄」から「天国」へと渡る場所にあるのだという。どうやらイスラム教の終末論からきている言葉のようだが、「シラート」とはそんな困難な道のことを指すらしい。いろいろと話題沸騰のこの映画、ネタバレ禁止とも言
大島渚の沖縄映画『夏の妹』(1972)がなんだか物足りなかったので、同じ沖縄の孤島で生きる人々の土俗的な映画である『神々の深き欲望』を久しぶりに見直した。大島渚がインテリが描く観念的な映画になりがちな傾向にあるのに比べ、今村昌平の映画は民衆的で
ヒッチコック自らが冒頭に登場し、本作は「トゥルー・ストーリー」であることを告げている。事実を元にした作品であり、これまで作ってきた虚構のサスペンスとは違う迫真性があるというのだ。未見だった1956年のヒッチコック映画。ヘンリー・フォンダの情けな
ミケランジェロ・アントニオーニの映画作品は『情事』、『太陽はひとりぼっち』、『夜』、『赤い砂漠』など好きなのだが、本作はあまりに直接的なメッセージ映像が描かれていて、あまり面白くない。以前にも観た記憶があるのだが、最後の爆発イメージと砂丘の
ヒッチコック初期1930年のサスペンス映画。演劇的な作品であり、ミステリ小説および舞台が原作になっている。『恐喝(ゆすり)』に続くヒッチコック3作目のトーキー映画。巡業劇団の女優がある晩に殺された。同じ劇団仲間の女優ダイアナ・バーリング(ノラ・
加藤泰のフィルモグラフィの中でも異色の珍作。真田十勇士を題材にした福田善之の戯曲の舞台を映画化。全編にミュージカルやレビューのシーン、現代語によるセリフ回しを盛り込んだ異色のアクション時代劇。なんてったって猿飛佐助(中村錦之助)は赤ん坊の時
ヒッチコックのイギリス時代の初のトーキー映画。殺人事件が起きるサスペンス映画で、ヒッチコックの原点とも言える映像の工夫が随所に見られて面白かった。最初、無声映画のように始まる。刑事たちが犯人の部屋に踏み込む。新聞を読んでいる犯人が、部屋にあ
<ネタバレ注意>是枝裕和監督は、これまでずっと疑似家族の共同体的な居場所についての映画を作ってきた。棄てられたものたちの、大切な人を失いながらも生きていく家族の、血は繋がらない中で社会から見捨てられたものたちの共同体だ。『誰も知らない』は、
一世を風靡した藤純子の「緋牡丹博徒」任侠シリーズの第6弾。本作は第3弾『花札勝負』の後日談に当たり、脚本は加藤泰と鈴木則文コンビ。数年前に関わった女賭博師・お時の盲目の娘・お君を探してお竜は浅草にやってきていた。目の手術をした少女のお君だった
アルフレッド・ヒッチコックがイギリス時代に手がけた監督第7作、1928年の無声映画。U-NEXTには未見の初期のヒッチコックの映画が結構あるので順次見ていこうと思う。これはリストにあった中で一番古い映画。無声映画でそれなりに長い。妻に先立たれた裕
久々のゴダール映画である。U-NEXTでまだ未見のゴダール作品があったので視聴。Wikiによると、「オペラ『カルメン』の著作権保護期間が1983年に切れパブリック・ドメインになったことで各国でさまざまな『カルメン』に想を得た作品が作られた。そうした状況の
安部公房×勅使河原宏のコンビによる不条理劇の映画化作品は『砂の女』、『他人の顔』があり、学生の頃に名画座で観た記憶がある。その独特の映像世界は強く印象に残っている。本作は『砂の女』、『他人の顔』と共に、安部公房の「失踪三部作」の一つと言われ
リチャード・フライシャーは様々なタイプの娯楽映画を作ったアメリカの職人監督。『海底二万哩 』、『ミクロの決死圏』、『ソイレント・グリーン』などのSFエンタメ大作から、『絞殺魔』や本作『見えない恐怖』などの犯罪サスペンスもの、『トラ・トラ・トラ』
これまで見てきた大島渚作品とはガラリと雰囲気を変え、沖縄観光旅行のような軽いタッチの作品で、これが大島渚作品か?と肩すかしを食らう。武満徹の音楽にしても安っぽい感じだし、栗田ひろみの舌足らずな台詞まわしもあって、なんだか大島渚映画としては物
ジェーンを演じるベティ・デイヴィスがとにかく怖い。皺だらけで化粧をした老婆の狂気。過去の栄光が忘れられないおぞましい女の狂気を描いた怪作である。無声映画のハリウッドのスター時代をいつまでも忘れられない老女優を描いたビリー・ワイルダーの『サン
東西冷戦時代の物語。音速の6倍で飛行し、レーダーに影すら残さないソ連の最新鋭戦闘機ミグ31を、アメリカ空軍の一軍人がモスクワから盗むというとんでもない話。グレイグ・トーマスのベストセラー小説の映画化。元空軍の優秀なパイロットだったが、ベトナム
加藤泰の晩年の作品。おなじみ江戸川乱歩の怪奇ミステリー小説の映画化。加藤泰監督は、独特の映像演出を随所でやっている。普通のショットが少ないぐらい独特の奇をてらったショットが多い。イマジナリーラインを何度も飛び越え、360度カメラがぐるっとあお
ジャン=ピエール・メルヴィルの傑作『サムライ』が4Kレストア版で劇場公開されたので、観に行った。レビューについては6年ほど前だがしっかり書いたので、それ以上付け加えることもないのだが、それでも観た記念として少し書いておく。『サムライ』(1967)
<ネタバレというか、結末の内容に触れています。ご注意ください。>ジャファル・パナヒ監督の前作『熊はいない』(2022)は、人々を縛り付け怖がらせる幻想としての「熊」に怯えている人間たちと、映画を撮ることでその抑圧幻想に加担する恐ろしさを二重構造