＜曙橋から荒木町へ＞
当初の予定では、ぐっさんの「トーキョーほッ！」で
耕史くんが歩いた場所めぐりということだったから、
街歩きは第二旭で終了だったのだが、
1月16日朝の「はなまるカフェ」にゲスト出演した時、
ラーメン好きの彼はまたしてもラーメン屋3店を紹介していて、
そのうち一店は、ところも同じ住吉町。
あけぼの橋通りを出て、靖国通り向かいの「てんぐや」さん。
せっかくこんなに近いのだし、ついでに味見しようという話に。
ただ、ラーメン好きでも立て続けに食べるのはいささかきつい。
腹ごなしを兼ねて、外苑東通りに上がり、
荒木町をぐるりと回ってくることにした。
こちらも起伏が多く、興味深いところなのだ。
せっかくだから実際の曙橋を渡ってゆこうと、
アーチ看板のあるあけぼの橋通りの入口から、左手の坂を上って外苑東通りへ。
道向かい側の下り坂のほうは合羽（かっぱ）坂。
右手に進むと、すぐに曙橋。欄干は白いコンクリートが続いたあと、
良い感じに褪せた緑色の手すりが印象的。
この橋は外苑東通りの一部となっていて、下に靖国通りを通す陸橋。
ちょうど旧牛込区と四谷区の境目で、橋を渡ると旧四谷区。
歴史は意外と浅く、出来たのは1957年。
名前はその時に公募されて決まったとか。
復興と成長を願う意味合いだそうで、なかなか綺麗な良い名だと思う。
靖国通りの上を過ぎ、この先、新坂に連なる杉大門通り、津の守坂、
新宿通りに挟まれた、勾配の多い台形の一角が荒木町。
http://www.arakicho.com/index.html
＜策（むち）の池＞
曙橋を過ぎ、外苑東通りを四谷三丁目に向かい、道左側を進んで、
荒木町のバス停を通り越す。
「杉大門通り」の最初の提灯の見える手前で左手に入ると車力門通り。
韓国料理店の看板が二つ続くが、
炭火焼肉と韓国家庭料理の「ふるさと」という看板を目当てに、
細い石段を下る。
降りて道なりにぐるっと右手に回り込んでゆくと、
忽然と小さな祠と池が目の前にあらわれる。
ここが「策（むち）の池」。
その昔、家康公が鷹狩の折に立ち寄って水を飲んだ時、
井戸で策の汚れを落としたことからそこは「策の井戸」と呼ばれるようになり、
その井戸を水源とした瀧の、滝壷にあたる池は
「策の池」と呼ばれるようになったのだとか。
車が行き来する外苑東通りや新宿通りからは想像もつかないけれど、
尾根筋にあたるような太い道を一歩なかへ入ると、
こんなすり鉢の底のような場所があるのは、何度見ても不思議。
小さな津の守（かみ）弁財天には灯がともり、
細長いきのこのような燈籠も可愛らしい。
池周辺はいつも綺麗で、街のひとの手できちんと掃除がされていることが伺える。
「津の守」というのは、松平摂津守（せっつのかみ）の名から来ている。
荒木町一帯にはその上屋敷があり、
「津の守坂」などの名称もそれに由来しているのだ。
料亭側からや、津の守坂側からなど、
ここに下ってくる石段はいろいろあるけれど、
流れの溜まりのようにこの場所にたどりつけるのは、なんだか魔法のよう。
子ども達が池の端で遊んでることもあるけれど、街中とは思えぬほど静か。
違う世界に来たような気がする。
＜細道たどって金丸神社へ＞
津の守弁才天の脇には、策の池の名の由来を書いた立札と、
「荒木町奥の細道」と書かれた表示がある。
その細道をたどり、料亭「雪むら」の脇から幅広の石畳の石段を上り、
趣のある格子戸の「千葉」を過ぎ、左手に折れて進むと
行く手右手にこれまた小さな金丸稲荷神社。
小さいけれど、歴史は古い。
美濃高須藩主であった摂津守の時代から守護神としてここに建立されたとのこと。
今もこの街の守り神。
隣のとんかつ屋鈴新の場所にはかつて見番があったそうで、
芸者さんたちもお参りしていたのだろう。
玉垣には伊勢丹の名もあり、「四谷三業組合」の名も見える。
美味しいとんかつで有名な鈴新では、三ヶ月に一度寄席もあるそうな。
一度くらい行ってみたいなあ。
http://r.gnavi.co.jp/g316800/
＜空き地の写真展示＞
お稲荷さまや鈴新の向かい側は、
建物が取り壊されたあと更地になっていて、白い覆いで囲われていたが、
その上にパウチ加工した写真がずらりと並んでいる。
近寄ってみると、街を歩く往時の芸者衆やら、
今はもう枯れてしまっている、策の池にそそぐ瀧やら、
花柳界華やかなりし頃の街の様子など、
昔の風物のあれこれが写されている。まるで写真博物館のよう。
街角で歴史を感じられるのはありがたい。
その中に見覚えのある松平容保公の正面を向いた写真があって、はっとした。
そう、幕末の悲劇の会津藩主として有名な容保さまは、この地のお生まれなのだ。
天保6年、美濃国高須藩主・松平義建の六男としてこの江戸の藩邸で誕生され、
のちに会津藩主の養子となって、激動の運命に翻弄されることになる。
京都守護職として、壬生浪士組に「新選組」の名を与えられた方。
2005年にこのあたりを調べながら歩いていた頃、
容保さまが江戸生まれだと知って、驚いたのを思い出した。
当時は他家への養子など、珍しいことではなかっただろうけれど、
もとはお墓も靖国通り沿いにある正受院にあったとのこと。
写真を見るとやはり新選組のこと、戊辰戦争のことを思い出してしまう。
囲いには、2月9日の「アド街っク天国」は荒木町とのお知らせもあった。
http://www.tv-tokyo.co.jp/adomachi/080209/index.html
おお、タイムリー。これは見なくちゃね、とrikopinさんと話しながら
再び下の靖国通りへ向かう。
（続く・次は新坂からてんぐやへ）
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