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2011年12月30日00:34

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「平清盛」撮影見学で見た平安装束

先日(23日〜25日)のスタパ撮影見学で登場人物たちが一気に身近になり、
大河ドラマ「平清盛」完全読本を読みふけって、今頭の中は平安時代。
私が観たのは頼長の屋敷や鳥羽院御所の場面(第8回〜第10回)だったので、
烏帽子やら冠やら直衣やらが目に焼き付いている。

先んじて22日から見学を始めていたKさんからのレポに、
”頼長衣装は黒烏帽子、白の直衣、織物の柄は臥蝶(ふせちょう)、指貫は灰色”
とあって、おお、さすが詳しい!と感嘆していたのだが、
一緒に見学していた時に、虎の巻を見せてくれた。
・近藤富枝「服装から見た源氏物語」(朝日文庫、1987年)
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%8D%E8%A3%85%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%81%9F%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%BF%91%E8%97%A4-%E5%AF%8C%E6%9E%9D/dp/4022604751
とても役立ちそうだったので、私もすぐにamazonにて購入。

この本には当時の女装束、文官と武官の束帯などが図入りで説明されていて、
一位から初位までの束帯の服色なども列挙され、とても分りやすい。
上の位ほど濃い色で、下に行くほど淡い色となっている。
一条天皇の頃からは、四位以上は黒となったそうで、
確かに摂関家の藤原忠実、忠通、頼長は揃って黒だった。
その黒の下に見えている襟は鮮やかな紅なので、際立った対比。
さらに御簾をくぐって退出する後ろ姿を見ると、
裾(きょ)と呼ばれる後ろに垂らす布も紅。
それが腰のあたりで襞をとってたくしあげられていて、
なんだか西洋の貴婦人のドレスの腰飾りのように優雅。
下に穿いている指貫(さしぬき)はダブッとしたゆるやかな袴。
足元は基本的に素足。
御簾の向こうの廊下を進んでゆく姿は、まさしくその時代の殿上人らしかった。

23日は頼長邸の場面。
頼長は為義から賂として差し出された白鸚鵡に箸で餌をやっているのだが、
動物好きな耕史くんだけに、鸚鵡もよくなついているようで、
撮影の合間に彼が身体を上下してみせると、それを真似るのが微笑ましく、
見ていて飽きなかった。

与えた餌をがっと足の爪で掴んでは口へもっていく鸚鵡を見て、
軽く微笑むような頼長、その頼長を見て微笑む父・忠実、
その様子を苦虫をかみつぶしたような顔で見ている兄・忠通という、
三者三様のアップがこたえられなかった。
(モニターは4面あるが、しばしばそれぞれのアップ専門で別画面となる)

頼長邸のあとは、四の宮雅仁親王の場面。
髪は下げ美豆良(みずら)で、非常に目立つ。
この髪型を見るとどうしても山岸涼子さんの『日出づる処の天子』を
思い浮かべてしまうけれど、そもそもこれは元服前の子供の髪型。
彼はまだせいぜい十代初めのはずだと思うと、あまりにデカい。
最近は主要キャストは強引に子ども時代から演じることが多いようだが、
ここはやはりまだあどけなさを残す子役にやって欲しかったと思う。

今様を愛したひとだけに、庭の葉蘭に這っていたかたつむりを扇に取り、
「舞え舞え蝸牛 舞はぬものならば 馬の子や牛の子に蹴させてん
踏破せてん 真に美しく舞うたらば 華の園まで遊ばせん」
と歌っているらしいのはよく分った。
(音声はいっさい聞えず画像だけだが、間違いなくこの歌)
もともと『梁塵秘抄』が好きで、ちゃんと予習も怠りなかったKさんが
「あああ〜声が聞きたい〜」と身悶え。
この風狂の様子を、乳母である朝子と夫の通憲(信西)が扱いかねて見守る。
朝子役は久しぶりに見る浅香唯さんだった。
阿部サダヲさんとはなかなかお似合い。

24日は見学に出遅れ、すでに第9回の九の宮誕生の賀の宴が始まっていた。
私の到着までに義清が祝いの歌を所望され、
「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の 割れても末に 逢わんとぞ思ふ」
という崇徳帝の歌を代わりに披露して顰蹙を買う場面が済んでしまったとか。
それに続く四の宮・雅仁が毒づいて場の雰囲気をぶち壊し、
璋子が得子に責められて涙を流す場面を繰り返し見る。
頼長は嫌悪感を示し、気分が悪くなったと言って退出。
忠実の含み笑いも怖かった。
庭には清盛らが控えていて、下からじっとこの混乱を眺め思うところある様子。

御所のしつらえは手が込んでいて、とても雰囲気があった。
御帳(御帳台)の四隅にちゃんと狛犬が飾られている。
頼長らは一枚敷きの畳に坐し、上皇たちはもっと丈のたかい華やかな壇座で、
おお、これは本当にお雛様のお内裏様や百人一首の上皇や帝の座と同じだな、
とわくわくしてしまった。

25日は、頼長と清盛のちょっとした絡み。
北面の武士として警護についている清盛が、
手すさびに銭(おそらく宋銭)を投げ上げては受け止めているうち、
手元が狂ってうっかり取り損ね、
ちょうど近くの渡り廊下に差し掛かった頼長に見つかってしまう。
落ちた宋銭をカメラがズームアップし、
すぐ近くに頼長の綺麗な足が見えて、ちょっとどきどき。
頼長は拾った銭をすっと清盛のほうへ渡すのだが、目はまったく合わせない。
下々のものと関わることなどもってのほかなのだろう。
やってきた盛国にとりなされて清盛が立ち去ったあと、頼長の表情のアップ。
彼は基本的にいつも伏目がちだが、何かを見る時はまばたきもしない。
大きな目が見開かれ、そのあとすうーっと瞼が降りてくる。
どうやったらあれほどゆっくり瞼を動かせるのだろう、
と驚嘆するほどゆるやかな速度。
顔の筋肉を完全にコントロール出来てこその技だ。

撮影合間にちょっと笑った時、白い歯がのぞいたので、
あ、今日は鉄漿(おはぐろ)なしなのか、と意外だった。
その前二日とも、ちゃんと塗っていたのを見ていたのだが、
この日の場面では表情のみで口は聞かないから省いたのだろうか。
確かにつけるのも拭うのも時間がかかって大変そうだけれど、
すでそれが当たり前のようになじんでしまったので、
口の中だけ現代になっていて、不思議な感じがした。
また機会があれば、スタパ内の平安の都をのぞいてみたい。
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