短縮された日常

非常事態ゆえ、私にしては珍しく正真の"日記"が続く。

東電の計画停電の予定は二転三転し、
思ったより多くの電車が運休・間引きされ、通勤は皆大変だった様子。
私のほうは金曜日に職場で借りた自転車を戻さなくてはならないので、
自宅から50分ほどかけて新宿、代々木、原宿と走り、
代々木公園脇からNHK放送センター脇を通り、
観世能楽堂を横に見ながら松濤を抜けて駒場へ。
電車とは無縁で、ある意味楽だった。

お天気もよく暖かいのは幸いだったが、
代々木から原宿にかけては結構アップダウンが多くて足にくる。
でも金曜日に圧倒された人の波を思うと嘘のように走りやすい。
心なしか自転車走行のひとは多いような。
途中、道端のごみの中に人形ケースが出ているのを目にして胸が傷んだ。
我が家で一番被害が大きかったのは、やはり人形ケースのガラス破片だったから。
母が息子のお節句に送ってくれた、素敵な人形のケースだったのに。

電車が動いていない地域の同僚は出勤が無理だったので、
総勢4人だけで床にばらまかれた本を書架に戻す作業は大変だった。
しゃがみこんで拾い、伸びあがって棚に置くのを繰り返すのは重労働。
だんだん疲労がつのり、無口になっているところへ、
自発的に助っ人に来て下さった先生がいて大感謝。
以前は関西の大学に居て、阪神淡路大震災を経験なさったとか。
痛みを知る人は、肌身でその大変さが分るんだなあ。
涙が出るほど嬉しかった。

他にも助っ人多数で、思ったより早く修復完了。一安心。
電車の運行もあやしいので、皆早めに帰って下さいと言われ、
1時間以上はやくあがらせてもらった。
渋谷まで歩く途中、東急本店に立ち寄ってみると、
「本日は18時で閉館します」との貼り紙。
シアターコクーンのマチネ公演はやっていたようだが、
オーチャードホールの本日のバレエ公演は中止。
ザ・ミュージアムの展示はお休み。
ル・シネマの上映は、19時台の最終回中止。
いずれも地震の影響のため、という掲示があった。

早く帰らせてもらって良かった。
近所のスーパーも6時で繰り上げ閉店。
相変わらず商品は少なく、パンの類は棚にない。

明日の停電、電車運行はどうなるのか、まだよく分らない。
先行きが読めないのはちょっと不安だけれど、
それでもまだまだ恵まれていることを痛切に感じる。
もっと壮絶なことに直面している方々に比べれば、何のこれしき。

明日は天気が崩れ、冷え込むという。
北はもっと寒いだろう。
被災地の方々の生活が、一日も早く良い方へ向かいますように。