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2011年03月07日21:37

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濱田岳くん(『TAROの塔』第2回)

『TAROの塔』第2回は「青春のパリ」。
http://www.nhk.or.jp/dodra/taro/index.html

美輪さんの歌う主題歌『水に流して』は、
一度聞くとしばらく耳から離れずぐるぐる回ってしまう。
”いいえ、私は何も後悔してない”
”私は代償を払った、清算した、忘れた”
”私のいろいろな過去を束にして火をつけて焼いてしまった”
”私はまたゼロから出発する”
なんという強さ!ピアフの強さ、美輪さんの強さ、太郎さんの強さだ。

万博当時の現在進行形のドラマと、過去の回想が行きつ戻りつするつくりは、
第1回から一貫しているけれど、今回の回想は青春時代がメイン。

青年期の太郎を演じるのは濱田岳くん。
http://www.stardust.co.jp/section3/profile/hamadagaku.html
楽しみにしていた通りすごく良かった!ブラーヴォ!トレビアン!!
世を超越した強烈な自我が確立される前の、
まだまだ思い惑う青年芸術家のナイーヴさが切々と伝わってくる。

あまりに強烈なかの子を母に持ったのは、大いなる呪縛であったろう。
芸術に突き進め、あなたの芸術性は私があげたものだと激しく煽る彼女に、
「あなたから何も貰わなかった!貰ったのは孤独だけだ」と反駁するところ、
いたく胸にこたえた。本当に無理もない。
尋常ならざる母子の会話。芸術に身を殉じるということの凄まじさ。

世の憧れを集めていた芸術の都パリの空気。
そんな中で日本人同士だけでつるんでいる先輩画家への憤懣や、
思うように描けない苦悩などが鮮やかに迫ってくる。
秘密結社のあやしい儀式から母へのイメージがかぶる場面や、
急死したかの子(享年50歳)の棺の中を花で埋め尽くして泣く一平、
(色は白じゃなくて真っ赤だけれど白雪姫の棺みたいだった)
橋の上からセーヌ川へと飛び込み、水中をただよう場面など、
ファンタジックな場面が多くてぞくぞくした。
一度沈み、ぽかっと浮上した目に映るパリの空に再生を感じた。
この回はとても好き。映画的なイマジネーションがある。

濱田岳くんを最初に見たのは、
伊坂幸太郎原作の映画『フィッシュ・ストーリー』(2009)。
(同監督の『アヒルと鴨のコインロッカー』は未見)
回りから見下され利用されてばかりの大学生役。
小柄で気弱で情けない青年なのだけど、
独特の風貌も相俟って、とても印象的だった。
『鴨川ホルモー』でも気弱で情けなく、
しかし開き直ったかのようなちょんまげ頭になってからは圧倒された。
ちょっと変わった面白い子だなあと思っていたら、
『ゴールデンスランバー』のキルオにはびっくり。
飄々として、どことなく人を食ったような不思議な人物。
他の誰も替わることのできない、独自の存在感だった。

繊細なナイーブさと飄々とした軽み、どこか茫洋とした大きさなど、
太郎役は濱田くんの持ち味が生かされてとても良い。
今後も楽しみ。
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