10月16日、杉並公会堂にて鑑賞。
http://www.anido.com/html-j/event-j2.html
今年8月23日にお亡くなりになった川本先生を偲ぶ、
ゲストトークと懐かしい時代の写真のスライド映写、
数々の名作の上映など、盛りだくさんの内容。
改めてその素晴らしい作品群を堪能。
フィルム作品はすべてフィルム上映というのもうれしいこと。
多彩な活躍をされた先生を偲ぶだけに、長丁場だった。
15:00 開場
16:00 開演
16:05【映画上映】「セルフポートレート」1988 1min.
16:10 トーク-1 片山雅博氏+細川晋氏
16:45【ビデオ上映】「人形と生きる/新編集版」52min.
17:40 休憩
17:50 トーク-2 なみき+山田典子さん
18:10【映画上映】「いばら姫またはねむり姫」(1990) 22min.
18:25【ビデオ上映】「三国志の魅力」
18:30 トーク-3佐藤三郎氏×飯田静男氏+なみきたかし
19:00【ビデオ上映】「名場面再演」
19:05 休憩
19:20【ビデオ上映】「TV番組より」
19:25【映画上映】「犬儒戯画」1970 8min
19:35【映画上映】「詩人の生涯」1974 19min.
19:55 トーク-4高畑勲氏+片山雅博氏
20:30【映画上映】「道成寺」1976 19min.
20:50【映画上映】「火宅」1979 19min.
21:10 閉会
という予定だったけれど、やはりずれ込んで遅くなったのは致し方ない。
三越劇場でのパペットショー記録映像などは初見で楽しかった。
また、バックスクリーンに映るお若い頃の先生の写真の、
しゅっとシャープで素敵なこと！
先生の名は、NHKの人形劇『三国志』の人形制作の折、
広く一般に知られたかと思うけれど、
友人がアニメーションに関わっていたおかげで、
私は上京した30数年前から、アニメーション上映会に親しみ、
日本の古典世界への深い理解に基づく高い美意識の作品に感嘆してきた。
何度接しても、息を詰めるようにして見入ってしまう。
一番好きなのは『道成寺』（1976）。
男に焦がれ、騙されたと知って追いかける清姫の修羅。
でもその一途さが哀れで哀れで。
足のうらを血まみれにしながら追いかけて追いかけて、
水のほとりでようやく相手の姿を見かけて止まったあとの、
真正面からとらえた彼女のバストショットは素晴らしい！
ぐっと相手を見込んで、息を整えながらも、
はあ、はあ、はあ、と大きく波打つ胸や肩。
この人形は生きている！と初めて観た時震撼した。
これらの動きを作り出すために、何千回、何万回の
忍耐強く果てしない撮影の時間があることを思うと、
気が遠くなりそう。
続く『火宅』（1979）は、まさにこの路線の集大成というべき傑作で、
鴛鴦を射ることを競う男たちを見守る暗い水辺で、
目を閉じて数珠を繰り祈る場面の緊迫感たるや言葉に尽くせないけれど、
ヒロインの受ける地獄の責め苦があまりに理不尽で、
私としてはちょっと辛くて。
痛ましくもうつくしい一途な女の情念の世界は、惹かれてやまない世界。
岸田今日子さんの原作による『いばら姫またはねむり姫』（1990）も大好き！
思えばこれらの作品を、出来あがる都度、ほぼリアルタイムで
日仏会館、草月ホールなどで折々に拝見し、
先生と言葉も交わせたことは、本当に幸せなことだった。
会場では先生のお顔の映像も、録音されたお声もいっぱい流れたし、
いましもご本人が壇上にお出ましになるのではないかと。
なんだかまだ遠くに行かれたような気がしない。
客席のあちこちになつかしい顔もあって、しばしタイムトリップ。
企画されたアニドウのなみきたかしさんに感謝。
ラビュタ阿佐ヶ谷でも11月に特集上映があるようなのでまた足を運びたい。
*写真は左から
・『道成寺』
・『火宅』
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