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2010年07月29日00:00

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東京海洋大学(『Mother』第3話ロケ地)

第3話の初めのあたりでは、実家に頼らず、
なんとか職を見つけようとする奈緒の奮闘が描かれる。
まずは以前声をかけてくれた大学教授を訪ねるが、
その教授はもうとっくに退官したと告げられてしまう。
むなしく踵を返そうとして、入口付近に置かれていた求人雑誌に目をとめ、
必死であちこち電話をするのだが、なかなかうまくいかない。

<越中島の東京海洋大学>
この大学の建物は、ひと目見ただけでも、
昭和の初めごろの建築だろうなと思える、私好みのつくり。
ロケ地ガイドによれば、ここは東京海洋大学越中島キャンパス。
http://www.e.kaiyodai.ac.jp/
(東京都江東区越中島2-1-6)
http://loca.ash.jp/info/2010/d201004_mother.htm
→ロケ地034

調べてみると、やはり昭和7年(1932年)築。
ああ、以前月島にあった水産研究所も同じ頃出来た建物だった、と思い出す。
映画『ワンダフルライフ』(1999年)の撮影地だと知って、
てくてく歩いて見に行ったものだった。
月島もここからそう遠くないエリアだ。
駒場東大の駒場寮も同じ頃の建築だったと記憶する。
昭和ヒトケタ建築のスクラッチタイルの外観は、
何故こんなに味わい深いのだろう。
ここはドラマや映画の撮影に使われることが多いとのこと。

<海の日イベント>
土曜日くらいなら構内に入れるかな、とHPを見てみると、
ちょうど海の日(7月19日)に一般公開のイベントがあるという。
http://www.kaiyodai.ac.jp/event/1101/14060.html
”NHK大河ドラマ「龍馬伝」に東京海洋大学から貸し出した
六分儀等の船具を紹介”だの、
持ち船のひとつである「やよい」号で、東京湾クルーズだの、
滅多にない機会だし面白そう。来訪するのはこの日に決定。

海の日当日、朝から暑い暑いなかを、早めに越中島へ。
「越中島」という地名は、江戸時代初期に、
大川河口の中洲地帯に旗本榊原「越中守」照清の屋敷があったため、
俗に中州が「越中島」と呼ばれていたことによるとか。

一番最寄りの越中島駅は、JRには珍しく地下駅だが、
海洋大学にぴったり隣接して、まさにこの大学のためにあるような駅。
でも私は都合上、地下鉄東西線の門前仲町から黒船橋を渡り、
清澄通りを月島方面へと歩いて大学正門へ。
正門前は親子連れの方々ですでに長蛇の列。
東京湾クルーズは毎回大変な人気だというが、
なんとか最後の運航に受け付けてもらえた。

<一号館>
受付の机が並んでいたのが、まさにロケ撮影のあった一号館。
入口前の大きく立派な車寄せ、というか玄関ポーチのかたちは、
駒場公園内の旧前田侯爵邸をも連想させられる。

しばらくは受付前がごった返していたので、
史跡めぐりなどの動きを見つつ、落ち着くのを待ってから中に入って見た。
ちなみにこの一号館は、史跡めぐりの筆頭。
第二次世界大戦中の大空襲にも焼けず、終戦後一時は芸軍に接収され、
警察予備隊(現防衛省)が使用していた時もあったとか。

入って少し先の右手に階段あり。
この時代の建築らしい広くゆったりした手すりで、先は丸みがある。
ドラマではこの上から、白衣姿の助手(ではなく、今だと「助教」ですね)
らしき男性があわただしく降りてきて、
廊下で待っている奈緒に教授は退官したと告げ、そそくさと去る。
階段の手すり下には、アールデコ調の金属製意匠もあって洒落ている。

一階の中央の廊下はゆったりした幅。
奈緒はこの廊下の角に立って待っていた。
廊下はまっすぐ裏口のドアまで通じていて、そちらにも階段。
廊下壁の下半分はスクラッチタイルが貼られている。

すげない返事に戸惑い、玄関を出ようとしてふと振り返る奈緒。
そこに置かれた求人情報誌のラックはもちろん小道具だろうが、
振返った彼女の後ろに見える玄関ポーチの柱や丸いアーチ、
開かれた白い木枠のガラス扉や、ガラス壁にあしらわれた
細長い蜂の巣のような金属の意匠も、確かにこの内側からのアングル。
同じあたりから写真を撮ってみた。

<東京湾クルーズ>
特別に一般公開された図書館を見学したり、
百周年記念資料館で、さまざまな船の部品などを眺めながら時を過ごし、
ようやく15時10分運航の「やよい号」に乗船。
乗船者は皆、黄色いライフジャケットを着ける。
構内には隅田川につながる「ポンド」があり、ここが港となっている。
ちいさな船ながら、船出はやはり気分が高まる。
見送るスタッフたちが手を振ってくれて、皆々振り返しながら出発。

隅田川は広い大きな川。たくさんの船と行き交う。
橋のデザインもひとつひとつユニークで面白いが、勝鬨橋はまた格別。
進む船からも伸びゆくスカイツリーがはっきり見えた。
高いビルと古い景色が両立する不思議さ。
見おぼえのある隅田川テラス。
あの壁の向こうには『空気人形』の公園があるのだ。
自分が今、どこの世界に居るのか、とらえどころのない気分。

ところどころで、他の持ち船の説明などもあり。
そうだ、今乗っているのは、船乗りをめざすひとたちの学校の船なのだ、
ということを実感する。
途中、ぐんぐんスピードがあがり、何度も舳先からの水しぶきをかぶったけれど、
本当に暑い中だったから、浴びたひとも悲鳴ではなく歓声をあげている。
きらきらひかる波。
約50分の航海だったけれど、確かに別の世界への旅をしたのだと感じた。

ポンドから正門へと向かうと、左手の隅田川沿いの地面に、
巨大な明治丸が威容を誇っている。現存する我が国最古の鉄船とか。
うつくしかった。船はいいなあ。

*写真は左から順に
・一号館玄関内側から外をのぞむ
・一号館玄関側階段
・一号館一階廊下
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