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2010年07月11日22:45

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目黒大塚山あたり(『Mother』ロケ地) *鈴原家

何度も出て来た奈緒の実家・鈴原家。
葉菜に家に帰るよう勧められ、奈緒が継美の手を引いて、
”母”として初めて実家を訪れるのは第4話の初め。
(第3話ラストでは藤吉駿輔が先に様子を見に来ている)
「大きなおうち」と継美が感嘆する通り、堂々たる洋風住宅。

当初ロケ地ガイドには
”個人住宅なので放映中は情報公開を控えさせていただきます”とあって、
事情はもちろん納得できたのだが、
あれはどこなんだろうというのは放映中ずっと気になっていた。
家の前には坂道があり、4話冒頭では奈緒と継美が、
奈緒の逮捕後、鈴原家前がマスコミで騒然となる第10話では耕平が、
坂道を上がって家の前までやってくる。

最初に第4話を見た時はまだ気付かなかったのだが、
10話でこの坂道を見た時は、あれ?と思った。
この高台からはるか向こう、画面中央に小さく突き出た円筒形の建物。
この特徴あるかたちと色は、中目黒のアトラスタワーではないだろうか。
中目黒駅のすぐそばに立つ45階建てのマンション。
http://www.atlas-club.com/bukken/nakameguro.php

実を言うと中目黒あたりは今までそう馴染みがなかったのだが、
ロケ地めぐりの一環で初めて別所坂児童遊園に行った時、
高台からの眺めでこのタワーは突出して目立ち、脳裏に焼き付いたのだ。
おそらく間違いないとは思ったものの、それだけでこの坂の特定は出来ない。
高いランドマークは四方八方から見とおせるのだから、
タワーを中心点として円周上のすべてが候補地と言える。

この家の大きさ立派さから、最初は旧山手通りにほど近い
渋谷区鉢山町だとか南平台町あたりかとも思ったのだが、
そのあたりは大きい住宅ばかりが並ぶ高級住宅地だし、道幅も広い。
画面を良く観れば、回りは結構庶民的なつくりのおうちだし、
坂道の幅も狭くこぢんまりとしているからそれは有り得ない。

放映後すぐにロケ地ガイドに出るのかな、と心待ちにしていて、
ようやく情報がアップされたのは、一週間もたった頃。
http://loca.ash.jp/info/2010/d201004_mother.htm
→ロケ地001

目黒区目黒四丁目だったのか。なるほど!
載っている大まかな地図であたりをつけると、中町通りの大塚山公園付近か。
このあたりは歩いたことがなかったので早速行ってみたのだが、
すぐにすらっと分ったわけではなく、いささか難儀した。

歩いていけそうなところは自分の足で歩いてみるのが私のモットー。
職場は目黒区駒場なのだし、仕事帰りに行ってみようと考えた。
旧山手通り経由で代官山あたりまでならよく歩いていたから、
そこからさらに駒沢通りを下り、祐天寺のところから寺の脇を下って、
中町側から隣接する目黒四丁目へ、と地図を見て道筋を読んだ。
しかし目黒区はアップダウンが相当激しい。
この蒸し暑い時期に1時間以上歩き通して予想以上に体力を消耗し、
肝心のあたりで集中力が落ちて、見つけられぬうちに陽が落ちてしまった。

別の日には恵比寿から三田、目黒一丁目〜三丁目を経て、
ようやく四丁目にたどりついたところで時間切れ。
これもいったん下ってまたずんずん上る、結構きついコース。
途中目黒川と交通量の多い山手通りも渡らねばならない。
とにかく四丁目は高台なのである。
三度目の正直でその道を探し当て、実際に家の前の坂に立った時、
まさにあのアトラスタワーが見渡せる景色を目の当たりにして、
ああ、ここだ!と感激してしまった。
画面のカメラ位置からは分らなかったけれど、
ちょっと角度を変えると、アトラスタワーの後方にもう一本タワーが見える。
こちらは渋谷のセルリアンタワー。

個人のお宅だから番地などは表示しないでおくけれど、
煉瓦の煙突のある、本当に立派で素敵な一軒家。
この坂道からは遠景も印象的だが、
手前の部分で言えば電信柱や電線も結構目立つ。
いろんな屋根の色、塀の色が重なり合っていて、画面の密度が濃い。
坂の下のほうには古びた木造のお宅や塀などもあって、たいへん私好み。
ここも良い場所だなあ、と嬉しくなる。
振り返って、藤吉駿輔が隠し撮りのために立っていた家の角や、
奈緒と継美が分別ごみを出しに行った、
家の向かいにある電信柱の根方のごみ集積所も確認。

ようやく余裕も出て、周辺を散策。
近くには東急バスも通る中町通りがあり、「大塚山」というバス停がある。
そこからほど近い大塚山公園は傾斜に沿っていて、
中町通り沿いの正門と下の出入り口は高低差が激しい。
昔は径10m高さ5mの大きな円墳(古墳)もあったそうで、
それが地名の由来となっていたらしい。
現在はただ「目黒四丁目」という住所表示だけれど、
こういう昔の地名は、細かいところに結構残っているものだ。

ごみ出しの場面では、通学中の小学生たちが目の前を通って、
継美がそれをじっと見つめ、奈緒もそれを気遣わしげに見ていた。
もちろんドラマのなかの町はあちこちコラージュされた架空の世界だが、
地図で見ると、この周辺にある小学校は隣の中町にある「油面小学校」のみ。
同町には「油面公園」や「油面地蔵通り」もあるので、
この”油面(あぶらめん)”という地名のいわれをちょっと調べてみた。
江戸時代、このあたりでは菜種の栽培が盛んで、菜の花畑が広がっており、
採れた油を灯明用として寺院に献納し、その代わりに租税が免除されていたので、
そこから“油免”、転じて“油面”となったという説があるとか。

油を納めていたのは、増上寺やその流れをくむ祐天寺とのこと。
そうか、祐天寺はすぐそこだものね、と納得。
やはり周辺を歩いていると、そういう位置関係がすっと腑に落ちる。
そういえば第3話のなかで、実家に帰ってこない奈緒を案じた藤子さんが、
奈緒の部屋の机の引き出しから、彼女の高校時代の学生証を取り出し、
見つめているそれが一瞬画面にアップで出るのだけれど、
それによれば高校の住所は「東京都目黒区祐天寺」になっていた。
鈴原家の住所のほうは「渋谷区西原5丁目」で架空の場所だけれど
(実際の西原は三丁目までしかない)、
虚実の狭間で思いがけずご縁があったようで、なんだか感慨深い。

帰りはさすがに足がくたびれて、大塚山バス停から目黒駅行きに乗った。
中町通りから目黒通りに出て、目黒寄生虫館の前や大鳥神社前を過ぎ、
目黒川にかかる風格あるデザインの目黒新橋(昭和8年)を経て、
権之助坂を上って目黒駅に着く。
それにしても別所坂といい、目黒駅近くの山手線沿いの道といい、
目黒近辺のロケも多かったのだなあ、と改めて思う。

*写真は左から順に
・鈴原家への坂を上る奈緒と継美(第4話)
・鈴原家への坂を上る耕平(第10話)
・坂の実景
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