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2010年06月15日01:39

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別所坂と児童遊園(『Mother』第6話ロケ地)

『Mother』の画面の緻密さは、役者さんたちの確かな演技力もさることながら、
「絵」として効果的な場所を、丹念にロケハンしていることにもよるだろう。
画面に映るのはほんの一瞬でもくっきりと脳裏に焼き付くのは、
本当によく選ばれ、ぎゅっと中身の濃い絵になっているからだと思う。

<6話タイトル直後の公園>
第6話「さよならお母さん」は、
室蘭から鈴原家に電話してきた仁美のせいで、
継美が奈緒の本当の子ではないことが分ってしまい、
奈緒が再び窮地に立たされるところから始まる。
タイトル前に、その電話直後の鈴原家のざわつきが描かれ、
タイトル後のファーストカットは、公園に居る奈緒と継美二人だけの姿。

このカットは、ほんのわずかながらとても印象的だった。
最初カメラが映し出すのはひと気のない公園。
そのままゆっくりパンしていくと、
思い詰めたように前方を見つめている奈緒の横顔がフレームインし、
そのそばで、奈緒とは反対側を向いてうつむき、
青い柵によりかかっている継美の小さな姿が見えてくる。
映っているのは10秒ちょっとくらいだが、
最初にフレームに入ってくる、石を埋め込んだコンクリートの斜面が、
画面を斜めに区切って不安定な気分をかきたて、
奈緒の表情と相俟って、緊迫感を醸し出す。

この公園の場所は、たしか放映後すぐには判明せず、
少したってから「別所坂児童遊園」(目黒区中目黒二丁目)
との情報がアップされた。
http://loca.ash.jp/info/2010/d201004_mother.htm 
→ロケ地056
小さな児童遊園らしく、大まかな地図ではあまりよく分らなかったが、
付近の最寄り駅を見てみると、中目黒からも恵比寿からも行けるようだ。
仕事帰りに足を伸ばすことも出来そうだな、と思って
先週火曜日(6月8日)に初めて行ってみた。

<恵比寿からの道筋>
JR恵比寿駅西口を出て、三井住友銀行とドトールの間にある
「恵比寿銀座」の通りをまっすぐ行く。
この道筋の左側には、よくいろんなドラマや映画のロケに使われる
レトロな喫茶店「喫茶銀座」がある。
耕史くんの出演した『恋におちたら』(2005)にも登場した。
・喫茶銀座(谷区恵比寿南1-3-9新井ビル1階)
http://www15.ocn.ne.jp/~ginza/

恵比寿南二丁目交差点と、恵比寿南三丁目交差点の二つの信号を渡ってゆく。
三丁目交差点を渡った角には、江戸時代中期の「道しるべ」がある。
正面に「南無阿弥陀仏」、台座に「道講中」、
左面に「ゆうてん寺みち」、右面に「不動尊みち」と刻まれていて、
設置は安永八年という古いもの。
ここから道は上りになるが、上のほうには享保四年に設置されたという
馬頭観音さまの祠もあるし、ここが昔からの古道だということが分る。
とはいえ上るにつれて前方に見えてくるのは、
そそり立つ中目黒アトラスタワーの姿だし、
目指す別所坂のすぐ手前には、
ウエディングパーティなどを行うロビンズクラブがあるため、
この通りは今やロビンズ通りなどと呼ばれているらしい。
道はやや蛇行し、瀟洒なロビンズクラブが現れるのは、やや奥まったあたり。

・ロビンズクラブ(目黒区中目黒1-1-29)
http://www.robbins.co.jp/yebisu/

<別所坂>
ロビンズクラブ敷地の脇から、中目黒方面に下ってゆく別所坂が始まる。
「別所」とは、新しく開かれた土地だとか、
行き止まりの場所などという意味の言葉らしい。
古い庚申塔や、江戸時代に富士講の一種としてここにつくられた
新富士の由来を書いた看板などがあって、歴史を感じさせられる。

最初は少し階段となっており、車では行き来できない。
その先もかなり急勾配で、しかもうねうねと蛇行するため、
足弱のひとは難儀しそうなことに配慮してか、手すりが設けられている。
左に右に折れながら下りてゆくと、結構古びたお宅も見受けられ、
青いトタン塀や瓦など、なかなか興味深い眺めながら、
回りには大きなマンションなどもあり。

<階段のぼって児童遊園へ>
坂を降り切る前に、左手に細い階段があらわれる。
脇の白い壁に「別所坂児童遊園」の黒いプレート。
石段の手前の門扉には、夕方7時で閉門することが書いてある。
児童遊園に入るためにはこの段のてっぺんまで登らなくてはならない。
いち、に、さん、と数えながら段をのぼってゆく。
97段のぼって視界が開けた。

・別所坂児童遊園(目黒区中目黒2-1-15)  
http://megupa.net/06_nakameguro/06nm_082_bessyozaka.html

あ、ここだ。まさにここだ!
黄土いろというか、やや赤みがかった色に塗られた斜面は
幅広のすべり台として使われるらしい。
斜面の両脇に、もう一段高いところまでのぼる階段(20段)があり、
ロッククライミングのようにつかんで登れる埋め込み石も、
両階段のわきにそれぞれある。
斜面の下は砂場。上のほうには継美ちゃんがもたれていた青い柵。
4年前に改装して色々整理されたらしく、色合いはシンプルですっきりしている。
それにしても誰がこんなに上手い場所を見つけてくるんだろう。
感嘆してしまう。

登って来た方角を振り返ると、
地上45階建てのアトラスタワーを中心に中目黒方面が見渡せて、
見晴らしは抜群に良い。
昔は富士山もよく見えた場所だとか。
でも児童遊園というわりには遊具は少ないし、トイレも水飲み場もないし、
子どもが遊ぶにはいささか現実的じゃないような。
なんだか隠れ家めいていて、大人のデート向きかもしれない。
もっともすぐそばの高いマンションからの目は気になるけれど。

<中目黒の台地>
高台の土地は、古くから御用地として利用されてきた歴史があるらしい。
すぐ近くには防衛研究所の広い敷地があるけれど、
江戸時代には幕府の砲薬製造所、明治時代には政府の火薬製造所、
昭和に入ってからは海軍技術研究所としての歴史を経て、
今に至っているとのこと。
すぐそばの東京共済病院も、かつての海軍共済組合病院。
土地の歴史につい思いを馳せてしまう。

・防衛研究所
http://www.nids.go.jp/access/index.html

<「さかみち」は別所坂>
最初に行った8日には、児童遊園の写真を撮って満足して帰ったのだが、
継美ちゃんの「かえりみちノート」の言葉を採録するために、
再び6話を見返した時、目印のひとつ「さかみち」の急坂は、
この別所坂だったのではないか、という気持ちが強まってきた。

「かえりみち」

あおいろのでんしゃ

なみのもようのバス

まっすぐのエスカレーター

てつないだかいだん

52かいだてのビル

みどりいろのでんしゃ

キディーランド

おこってるみたいなマネキンにんぎょう

ペンギンのかんばん

*さかみち

ほどうきょう

ころんだところ

28ばん

本日(14日)再び確認しに行ったら、大当たり。
手すりと電柱の位置も手掛かりとなったが、
まさに上から下る、最初の蛇行のあたり。
一瞬のイメージ映像なのに、これも良い絵だなあ。
スタッフさん、本当に素晴らしい。

*写真は左から順に

・別所坂児童遊園
・「さかみち」画面写真
・蛇行する別所坂
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