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2010年06月12日22:13

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つらい別れ(『Mother』第9話)

奈緒「お母さん…
   …こんなだったかな(葉菜の手を握りしめて)
   少し、小さくなった」
葉菜「…あなたが、大きくなったのよ!」

警察官たちに囲まれた中、
万感を込めて見つめ合う二人の瞳から流れる涙。
こんな理不尽な逮捕があるものだろうか。

この緊迫したなかで、初めて葉菜さんは「奈緒!」と呼びかけ、
奈緒も初めて「お母さん」と呼びかけたのだった。
再会してから、意識的にお互い
「あなた」としか呼んでいなかったのに。

折に触れ見せる葉菜さんの言葉や行動は、
決して「うっかりさん」ではなく、
よく状況を見て行動する肝の据わったひとのものだったけれど、
この時初めて動転した。
「奈緒!奈緒!」とおろおろと呼びかけながら、
両手をせいいっぱい彼女のほうに伸ばして駆け寄る姿。
そんな葉菜さんに奈緒が「お母さん…」と答える。
その言葉の重み。二人の今までの積み重ね。
胸に迫って、見ている私も滂沱の涙。

まだ謎はあきらかにされていないけれど、
昔牢につながれていたという葉菜さんの犯した罪は、
可愛い我が子・奈緒のためだったのではないかと殆ど確信している。
離れ離れに暮らしたのに、
何故か同じ「道なき道」に導かれてしまった奈緒。
彼女の行動が罪だとしても、
それは間違いなく継美ちゃんのためにしたこと。
目の前で繰り返されるこの悲劇に、
葉菜さんはどんなに辛かっただろう。
かつての自分と奈緒、今の奈緒と継美が二重うつしになる。

「お母さーん!お母さーん!」
と泣きじゃくりながらすがりつく継美を、
奈緒から引き離さなければならない辛さ。
こんな残酷があるだろうか。
引き剥がされるように遠ざけられた継美の手が、
ついさっきの葉菜さんと同じように、
両手ともせいいっぱい奈緒に向けて伸ばされている。

天に向けての咆哮のようだった「つぐみーー!!」の叫びと、
両手を振っていつまでも車の走り去った方角に、
「おかあさーん!」と呼ぶ幼な子の声が呼応するラスト。
観終わって数日たっても、時間はその時のままとまっている。
三人の迫真の演技に打ち抜かれてしまったのだ。

このドラマのクオリティの高さには毎回感嘆しているけれど、
この逮捕劇に至る一連の場面は、本当に映画を見ているようだった。
感情の”ため”がとても大事にされていると思う。
今回、このラストのクライマックスに視聴者が完全集中できるように、
本来ならエンディングロールとして流す
キャスト、スタッフ名などを冒頭に回し、
主題歌も途中に入れて、演技画面だけを見せ切っていた。
いかにここが大切で、気合いが入っていたか。
作り手の矜持を強く感じた。
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