ついに配信スタート。
リメイク版「新幹線大爆破」。
期待しつつも不安ありあり、でしたけど、うん、面白かったですぞ。
これはやはり劇場公開して欲しいなあ。配信オンリーなんてもったいないでしょうよ。なんならIMAXでやってくださいな。こう言うのはでかい劇場の極上の音響で見せるべきなんですわ。
泣きを売りにしたのとか、ホレたハレたの映画はもういいから。こういう「手に汗握るー!気分上がるー!」な娯楽作品こそ、もっと作られるべきなのよ。
今回の「大爆破」はオリジナルとは趣を異にし、犯人VS国鉄・警察ではなく、爆弾VSJR東日本と言う構図になってます。なのでひたすらメカニック描写で押しまくり。しかも今回は前作と違ってJRの全面協力で作られているので、ちょっと考えられないようなアングルの絵なんかも使われていて、おお、と思ってしまいます。
その一方で前作の優れたアイディアはしっかり踏襲。
あの浜松駅での上下線入れ替えの件りのサスペンスは場所を変えてはいるもののきちんと取り入れられていて、しかもこちらもかなりドキドキします。
さらに、乗客救出の手段として、前作では「技術的に不可能」と一蹴されたアイディアが大胆に取り入れられているのも特筆もの。未見の方のために伏せておきますが、これはまあ、相当なものですよ。ここでもメカ描写の細密さが光ります。
最初は憎まれキャラっぽく登場した政府関係者が途中から「共に乗客救出に全力を尽くす同志」になっていく、というのも、定石通りではありますが気分良し。
ここからは、苦言。
前作も、脚本家の猪俣勝人が「この作品、終始乗客の描写が稚拙」と批判されてましたが、本作も残念ながらそう言わざるを得ないです。
幾人かの乗客のバックボーンが途中で示され、それによって数々の衝突やトラブルが誘発されたりするんですが、それらがあまり効果を上げていないです。おそらく脚本執筆時には井手雅人の「三十六人の乗客」を参考にしたのでしょうが、どうもうまくいってないですね。
後半の展開に至っては唐突さが目立ち、かなり勢いが削がれています。特に犯人の造形については賛否が分かれるでしょう。ああいう形でオリジナルの設定を持ち込むのはどうかなあ。正直、あまり意味がないように思えます。そもそもあれ、オリジナルを観てないと何が何だかわからないですよ。
オリジナルにおける犯人像は「高度経済成長から切り捨てられたり、学生運動の変質と衰退で人間不信に陥ったりして社会から疎外された男たちが、日本政府を相手に虚しい反乱を仕掛ける」というものでしたが、今回はその辺りが不明瞭でしたね。
まあ、色々言いましたけど、本作は見応えたっぷり、骨太のサスペンス・アクション大作であることは間違いなし。こういうのをテレビやPC、スマホの画面でしか観られないって、おかしいでしょう。
しつこいけれど、繰り返し言います。
これは劇場でやってくださいよ!
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