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2021年09月29日16:28

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生涯編集者、その1

 作家という人は、作家とは何かについて考えたりしないように思う。学者はその学問の本質について考えることはあるだろうが、そもそも学者とは何か、と、そこは考えていないように思う。医者は医療とは病院とは、と、そこは考えているだろうが医者とは何か、と、そこについては考えることがないように思う。作家はものを書く人で、学者は研究する人で医者は病気を診て治療する人なのだ。料理人は料理を作る人、運転手は運転する人、歌手は歌う人、ボクサーはボクシングする人で、画家は絵を描く人だ。
 ところが、編集者だけは、たいていの、そして、ある程度仕事が出来るということを前提として、編集者とは何か、と、それについて考えているはずなのだ。編集者は校閲者ではない。校閲をすることがあるというだけで、その専門家ではない。たいていの出版社では、編集者より校閲の人のほうが偉そうで格好良いように筆者は思っていた。筆者ぐらいバカでもエロ本の編集者ぐらいにはなれるが、筆者ぐらいバカだとエロ本でも校閲は出来なかったりする。また、編集者はデザインをする。書籍だろうと雑誌だろうとサイトだろうとデザインする。しかし、編集者はデザイナーではない。編集者は文章も書く、取材記事程度は自分で書く、エロ本では、作家が穴を空けたページの小説ぐらいなら自分で書いて穴を埋めたりもする。しかし、小説を書いてさえ、編集者は作家ではない。
 たいていの編集者は写真を撮るがカメラマンではない。たいていの編集者は企画を考え出版社、あるいは、自分の会社にプレゼンするが編集者はプロデューサーではない。たいていの編集者は書評をするが書評家ではない。たいていの編集者は買い物をするが何とかイーツではない。たいていの編集者は叱られているがクレーム処理人ではない。たいていの編集者は眠いが怠け者ではない。たいていの編集者はクライアントか会社の上司か借金取りに追いかけられたり、追い詰められたりしているが編集者は逃亡者ではない。
 さて、では、編集者とは何なのか。たかがエロ本とエロ雑誌しか編集して来なかった筆者だが、それでも、編集者の端の方のぶら下がりの一人として、そこについて考えてみたい。
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