1984年の公開時はジョナサン・デミなんて名前をもちろん知らず、とにかくこのシンプルな映像表現にぐいぐいと引き込まれた。やがてビデオ/DVD化、ショップのモニターに流れたときも思わず足を止めてけっこうな時間見入ってしまった。単にステージをとらえているだけなのにどうしていつまでも魅力的な作品なんだろう。
この手の映像ドキュメンタリーにありがちな、バンドメンバーへのインタビューや観客のコメントなど、周辺部分はいっさい排除。やっぱりここはデヴィッド・バーン自身が十分に練りこんだ、ひとつとして同じものがない振付けというには奇妙すぎるステージアクションが、観る側を飽きさせることなく惹きつける最大の要因だと思う。
お気に入りのパートはやっぱりバンドの一体感が高みに達する「ライフ・デュアリング・ウォータイム」と「ワンス・イン・ア・ライフタイム」かな。そしてステージ前方でプレイするミュージシャンが折り重なって映る、下手(しもて)真横からまっすぐとらえたアングル、躍動感をモロに味わえる眺めは何度観てもワクワクしてしまう。
余談ながら黒門市場のカレー屋「パジャマラマ」マスター森さんの服飾専門学校卒業制作はこのビッグスーツを模したもの。とにかくこの88分は古今東西のライブ映像作品の最高峰にあると思っている。ただ、ここにきてその強力なライバル出現、それは「アメリカン・ユートピア」…というのはちょっとできすぎたオチだったかな。
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