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2024年08月31日17:30

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「愛に乱暴」〜悪気のない悪意

江口のりこの独壇場。春先に彼女が主演と言っていい「あまろっく」、続いて「お母さんが一緒」そして本作が控えていると知り、ひょっとしたらことしの邦画は彼女の年になるのではと勝手に推測、その思いを十分に確信した緊張感あふれる秀作。吉田修一の同名小説が原作。監督はCMクリエイター出身の森ガキ侑大。

郊外の一戸建で暮らす桃子(江口のりこ)は、石けん教室の講師もこなす主婦。出張の多い会社員の夫・真守(小泉孝太郎)、母屋でひとり暮らす義母・照子(風吹ジュン)とともに、一見キチンとした生活。しばらくは何も起きず淡々とした日々が描かれ、観る側がやや退屈を覚えたあたりにきてささいなほころびが表面化する。

ほころびが目立つにつれて、観る側はごくありふれた家族同士のやりとりの端々から、会話の底に潜む悪意を少しずつ味わっていく。セリフを最後まで語らせることなく、桃子の持つ無表情という名の表情によって想像力を喚起させる巧みな演出。やがては彼女のなかに潜んでいた狂気が、じわじわと顔をのぞかせてくる。

錯乱した日常はいまに始まったことにあらずと、終盤に用意された小道具いくつかはかえって物語を複雑にしてしまったような。なんでも原作小説はもっと枝葉部分が多く、これでもすっきりさせたほうとか。ともあれ江口のりこのスクリーン占拠率半端なく、現時点でこれを彼女の代表作と言わずして何を…という強烈な印象が残りました。


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