低価格の生理用ナプキンを研究・開発しインド市場における大衆化に貢献、5億人の女性の日常を活性化させ国民的英雄となった男ラクシュミの物語。愛する新妻をその“実験台”とするいっぽう、市場拡大すべく協力を買って出たもうひとりの美しき女性の存在もあり…。ちなみに彼の登場以前、インドではナプキン1枚とペットボトルの水500mlがほぼ等価だったと。
予備知識なしで観たから、小さな町を舞台にしているせいもあって、初めのうちはいつ頃の実話なのかまったく分からず、ましてかの国における生理用品の進化の過程など知るよしもなし。まあ日本でのそれならば男の私でもなんとなく解ってはいるが。ところが「もういまはXXXX年なんだから」という主人公ラクシュミのセリフに彼我の差を知りがくぜん。
そしてこのラクシュミ、ヘンに愚直というのか、開発に試行錯誤を重ねる前半部分ではドジの繰り返し、思わずもうちょっと上手いことやれよとか、そんなこと最初からわかってるやん、などとツッコミを入れたくなってしまう。ところがだんだんとそのキャラが愛らしい存在に思え、クライマックスというべき国連本部での演説シーンの感動につながっていく。
いやいや、ボリウッド作品そのものが愚直の権化ではないかとエンドロールでしみじみ。ベタな笑い、情緒的すぎる音楽、稚拙なカメラアングル、たぶんこうなるだろうなと思っていたら、きっちりそこへ着地する展開が最大の快感を誘う。インド映画のお約束もきっちり、テーマそのものはちょっと引いてしまうけど、誰もが笑って泣ける一級のエンタメ作品だと思います。
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