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2017年10月08日17:15

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北斎 −富士を超えて−@あべのハルカス美術館

今回は北斎晩年の30年に焦点をあてたということ、その30年とは60歳から90歳。江戸時代後期、当時これはおそろしく長寿な人生だったはず。そして代表作である「富岳三十六景」は70代前半の作品群、いまの時代におきかえれば90歳をすぎたあたりに代表的な創造物を残したクリエイターということになるか。人生まだまだ先は長い、あきらめてはいけないということ。

その「富岳三十六景」にはけっこうな人だかり。そして海外で“日本または日本文化”のアイコンとしてたびたび引用される「神奈川沖浪裏」(“The Great Wave”という英題で知られている)にはやはり多くひとの視線が集中。日本人にはあまりにもなじみのありすぎるこの構図、冷静に見つめるとサーファーだけが喜びそうな、かなり大胆な波のとらえかただと思う。

作風は思っていたよりずっと多彩。いわゆる日本画らしい、淡い落ち着いた色彩の掛け軸作品もあれば、21世紀日本アニメ文化の源流とも言えそうなチャーミングなものもあり。オランダの会社から依頼されたという作品は、コントラストもくっきりしたかなりポップでコミカルなもの、さまざまなタッチの作品を同時並行的に世に問いていたとわかる。

虎や鯉や龍(ってセ・リーグみたいですが)をメインとして動物を描いたものも多く、それらが発する眼差しというか目つきが鋭くそして優しく、時代とともに少しずつ変わっていくのが面白い。とにかくイマの言いかたで表現すれば、大衆性と芸術性を兼ねそなえた職人的天才画家、その多彩な表現に圧倒されっぱなしのトータル202点でありました。
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