自分の話をしたがる女。一般論で語りたがる男。どちらがいいというわけではないのだが、そうした特徴は昔のサロンにはあった。
読書感想会でさえ「私の場合はね」と、主人公でも作者でもなく自分の人生の場合について話をするのが女だったのだ。それに対し「小説というものは」と、主人公の考えでも作者の考えでもない一般論にしたがるのが男だった。
ところが、いつの頃からだったろうか。自分話ばかりしたがる男たちがサロンに増えた。
今日の晩飯、昨日の生活、隣人の愚痴、そうした話は、いわゆる井戸端会議と言われたものなのだ。自分の会社の愚痴を言うのも女の特徴だった。男はすぐに「最近の若い者は」と、一般論にしてしまうものだったのだ。
今のサロンでは「最近の若い者は」という話をしている時でさ「うちの会社でも」と、自分の話を男がしはじめる。
今日の晩飯、昨日の生活にしか興味がなければ小説はいらない、テレビがあればそれでいいのだ。芸術はいらない、ご飯があればそれでいいのだ。
退屈過ぎる今のSМを変えたい、と、そうサロンで言った女がいた。自分の彼のSМではなく、SМそのものを変えるのか、と、筆者は驚いた。本当に男と女は逆転してしまったのだろうか。
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