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2016年04月03日09:40

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ちはやと美輪さん

 昨日はTOHOシネマズ新宿にて「ちはやふる」を観賞後、新国立劇場で美輪明宏の「毛皮のマリー」初日に駆けつけるという、異様に中身の濃い時間を過ごしました。


 最初はスルーするつもりだった「ちはやふる 上の句」ですが、これは観ておいてよかった!
 面白い!

 観賞後、原作の1〜2巻を買って読んでみたところ、映画版の脚色が実に巧みであることがよくわかりました。
 特に感心したのは、主人公たちの子供時代(単行本1巻から2巻の3分の1に相当)の部分をばっさりカットして、いきなり高校入学→かるた部創設へと話を進めているところ。友情だの絆だのといったウェットな描写をそこそこに抑えて「七人の侍」的仲間集めをコミカルかつ軽快に見せてるのが、いいです。
 
 原作の設定を微妙に変え、脇の登場人物の出し入れの順番をシャッフルし、恐らくは原作ファンには強く印象に残っているであろう名台詞を、違う状況ながら的確に披露するなど、大変工夫を凝らした脚本は評価に値しますね。

 物語自体は「のだめカンタービレ」と「シコふんじゃった」をミックスしたようなものでさほど新味はありませんが、それでいいんです。こういう王道ストーリーは変にいじらない方がよろしい。話の運びとディテール描写に腐心し、そして魅力的なキャラクターさえ描出できれば、作品は十分面白くなるんです。
 特に本作はキャラクターが実にいいですね。広瀬すず演じるちはやの常軌を逸した「カルタ馬鹿」ぶりと、上白石萌音演じるかなちゃんの、これまた常軌を逸した「古典馬鹿」ぶりが最高に愉快で、そして清々しかったです。

 それはそうと・・・最近はヒロインに“白目を剥かせる”ってのが流行ってるんですかね?
 本作でも広瀬すずが「のだめ」の上野樹里ばりに白目をひん剥いてました。


 その後、カミさんと合流して「毛皮のマリー」を鑑賞。

 いやー、これ・・・、いいんですかね?
 思い切り猥雑でえげつなくて奇妙奇天烈でギンギラギンなこの芝居、新宿とか下北沢あたりで観るにはぴったりだと思うんですよ。それがまあ・・・、違和感ありあり。
 新国立劇場でまさか石井輝男のエログロ映画を観た後のような心持ちになるとは思いませんでしたなあ(あ、これ、ホメてます)。

 明確な物語が特になく、異様な見世物小屋的ムードに彩られた舞台なんですが、下賎で意地汚いくせに変に「常識」を振りかざしたがる世間への怒りが根底にあり、とても見応えがありましたよ。
 LBGTに奇異の目を向け「あれは不自然だ。異常だ」などと言いながら、二束三文で売ってるような花の種を蒔いて喜んでいるという矛盾に対する憤りは、初演の1967年よりも21世紀の現代にこそ相応しいような気がします。

 時代が進んでも、人間はちっとも進歩しない。いや、むしろ馬鹿になっている。
 そんな現状への美輪明宏の諦念が見える舞台でした。
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