昨日観た「チャッピー」でどうもモヤモヤした気持ちになったので、今日は久しぶりにジョン・バダム監督の1986年作「ショート・サーキット」を観てみました。こちらも自我を持ったロボットの話でしたので。
ディズニー作品かと思うくらい健全で楽しく、それでいてアメリカ合衆国というものに対する疑問と皮肉が込められた、とても愉快な作品でした。能天気な展開の中に「生命」とは何か?「死」とは何か?という普遍的な問いが潜んでいるのも見逃せません。
冒頭、軍需企業体「ノヴァ」が開発した新型軍事ロボットのデモンストレーションが描かれます。わずか5体のロボットはあっと言う間に戦車や装甲車、トラックを破壊。社長や技術者は鼻高々になります。
この後、社長は列席者の女性議員に「このロボットをパラシュート降下させて行動させれば、モスクワも簡単に破壊できます」と言うのですが、議員の答えはこうでした。
「それがあなた方の考える『安全保障』なの?」
やられる前にやれ。敵を徹底的に殲滅せねば我々の国に平和はこない。こう考える人ってアメリカに限らずどこにでもいますよね。もちろん日本にも。
他国の人間を殺しまくり、生活基盤を破壊せねば得られない平和とか安全ってあり得るのか? そこまではやらなくとも、自国の軍隊をさほど必要もないのによその国へ送り込んで、それが本当に安全保障とやらに繋がるのか?
軍事力の積極的な行使は何も生み出さない。それはハイコスト・ハイリスクの、極めて効率の悪いギャンブルでしかないということを、我々はいい加減気づくべきではないか。
先の台詞は20世紀からの、21世紀に生きる我々に対する重要な問いであるように思えます。
今から30年近く前に作られた映画なのでテクノロジー描写にはさすがに今昔の感がありますが、その根底に流れているものは全く古びておりませんね。
今度はバリー・レビンソンの「トイズ」を観たくなってきたなあ。
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