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2015年02月16日16:10

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「フォックスキャッチャー」〜静かなトライアングル

デュポン財閥の御曹司によるレスリング五輪金メダリスト射殺事件という1996年に起きた実話を映画化。ちょうど一週間後に発表となる、アカデミー賞作品賞ノミネート8作には惜しくももれたものの、監督賞(ベネット・ミラー「カポーティ」「マネーボール」)・主演男優賞(スティーヴ・カレル)・助演男優賞(マーク・ラファロ)の3部門でノミネート。

レスリングをテーマにした話と聞くと、熱血きわまる汗と涙のスポ根的なものを想像しがちだけど、これはまさに対極の位置、そう、終わってみたら奇妙な静けさばかりが印象に残る作品でした。メインキャストの3人の男たちはみな非常に抑圧されていて、余計なことはほとんど話すことなく(すなわちムダなセリフはなく)、その沈黙が全編にわたって緊張感をもたらしておりました。

その3人のなかでもやはりデュポンを演じたスティーヴ・カレルに注目。「40歳の童貞男」「奥様は魔女」「リトル・ミス・サンシャイン」…。このひとって完全にコメディエリアの男優だったはず。今回はエキセントリックな男を完璧に演じており、あのオチャラケキャラとはまったく別人のよう。セリフを口にするときよりも、黙ったまま中空を見つめているときの彼がもっともこわかったのです。

3人の心の動き、微妙にカタチを変えていくトライアングルをなぞっていくのがこの作品の味わいかただとは思うのですが、なぜラストの悲劇に至ったかは観る側の解釈次第(まあ実話なのでそこはとっくに解明されているだろうけど)。全編静けさが貫く作品だけにときおり流れる音楽が印象的。デヴィッド・ボウイのあの曲とボブ・ディランのあの曲は実にうまくハマっておりました。   
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