mixiユーザー(id:2938771)

2015年02月04日13:41

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あのこれ(その2)

 あの頃は、と、読み手の都合も考えずに筆者は書く。書き手としては最低の表現である。筆者の今の年齢も知らなければ、筆者がいつ頃、どんな仕事をしていたのかも知れない人にとっては、筆者が「あの頃」と、書いても、それがいつの時代なのか分からないのだ。それでも筆者は、平気で「あの頃」と、書いている。そうした曖昧さが好きなのだ。
 しかし、その曖昧な表現さえもが筆者の中でずれて来ている。筆者が「あの頃」と書くのは、筆者の中では「今から三十年近く前」という表現だった。ところが、最近になって、それが適当でない、と考えるようになった。三十年ではなく、三十五年を過ぎようとしているからなのだ。つまり、そろそろ四捨五入するなら、三十年ではなく四十年前になるということなのだ。
 さて、そうしたことを認識してもらって、ここからは筆者の「あの頃」は、三十五年前ぐらい、と、そう思ってもらうことにしよう。
 あの頃、筆者は一日に何杯ものコーヒーを飲んでいた。そんなにコーヒーが好きだったのかと言えば、そうではない。一日に何杯もの飲み物ということであれば、ホットコーヒーしかなかったのだ。それだけの量のジュースを飲んでいたのでは腸が持たなかったからだ。甘い飲み物では太る。それも問題だった。
 仕方なく飲んでいたコーヒーを好きになった。好きだと思うしかなかったのだ。味など分からなかった。そもそも味などどうでもよかったのだ。
 そんなコーヒーにも、苦い甘いがあった。
 もっとも苦かったのは、そう、あの頃のことだ。
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