普通に本屋で買った新版である。新刊書店で好きなSF作家を見つけると、無性に嬉しい。
・歌おう、感電するほどの喜びを! レイ・ブラッドベリ
1948年から69年にかけての短編を18本収録。この人に限っては、どの時期の作品でも古びるということがない。発表された時点である種のなつかしさに満ちているのがブラッドベリの作風だ。懐古というよりは郷愁に近い。特定の時代や文化に対する郷愁なら読者が限定されるが、ブラッドベリが描き出すのは、人生そのものに対する郷愁なのだ。だからいつ誰が読んでも、それなりの感銘をうけるはずだ。
『明日の子供』生まれた我が子は、青いピラミッドだった。異次元の影響を受けた子供を育てるため、両親はある決断をする。突拍子もない発端から感動のラストへ。一時期子育てマンガが流行ったことがあったが、本作は子育てSFだ。稀少なテーマである。
『夜のコレクト・コール』火星植民地最後の在住者である老人は、五十年間電話を待っていた。ついにかかってきた電話の相手とは。孤独と哀愁に満ちた美しい一遍である。
表題作は、母を亡くした一家がロボットのおばあちゃんを購入する。AIと人間の心温まるストーリーだ。こういうのに弱い。恥ずかしながら落涙した。
『ニコラス・ニックルビーの友はわが友』作家になれなかった男と少年が友情を結ぶ。切なくて、何やら身につまされる。クリエイターを志したことのある人は必読だ。
『大力』人気者だったガキ大将も、もう三十歳だ。いつまでも楽しくはしゃいでいたいのに、周囲はどんどん冷淡になっていく。SFファンやオタク気質の人は、全員共感するだろう。
ピンと来ない作品もあるが、合う作品は何度でも読み返したくなる。★★★★
ログインしてコメントを確認・投稿する