想像通りそのお姿すべてをスクリーンにさらすのは物語全体のうちホンのわずか。これぞ千両役者、徹底してモッタイをつけたジラシ作戦。前回大いにひんしゅくを買ったエメリッヒ版の反省もあってか今回とりあえず“着ぐるみ感”だけは確保されていて合格。それでも海を渡るやお肉中心の食生活になるのかお腹の周りに皮下脂肪がぐるり。
でも実際のところ彼が食しつづけていたのは放射能。太平洋上を探し求めてたどりついたのが日本の原発。地震(らしきもの)が起きたり、リアルな津波の場面があったり“我々日本人としてはここから何かを読みとらなくては”的な強迫観念が多少顔をのぞかせるのも事実。まあこのあたりは観る側の自由、深読みすればキリがないということです。
渡辺謙はいままで通りの彼だったけど、ジュリエット・ビノシュ(ご存知「ポンヌフの恋人」)やサリー・ホーキンス(ウディ・アレン「ブルー・ジャスミン」の奔放な妹)など、およそゴジラ映画には縁のなさそうな役者が脇を固めていたのが面白かった。元祖ゴジラ・アクターとしてリスペクトされた宝田明がどこかで顔を出していたらしいけどわからず。みなさん探して見てください。
摩天楼を駆けめぐっていた前回のゴジラほど今回西海岸のゴジラは動きまわらず。これって東海岸のチームにいたときはやたら活躍するも、西海岸のチームではもひとつだった我らが誇るアナザー・ゴジラ松井秀喜を意味してるのか?そしてあまりにもあっさりなエンディングこそかっての東宝映画にたいするオマージュ?こういう深読みができるのも我々日本人の特権ですね。
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